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宮城野萩の校章 会員の『櫻草』当季雑詠・課題 入選俳句

当句会元主宰 故 村上谿聲氏が主宰していた五日会俳誌
『櫻草』の当季雑詠・課題句で入選した会員の句を紹介します

・『櫻草』当季雑詠・課題句で選者に選ばれた会員の句を掲載します。
『櫻草』購読者はどなたでも、当季雑詠・課題句に投句できます。
 どうぞ『櫻草』に投句してください。
・このページの俳句の配列は原則『櫻草』掲載順です。

※ 誤字、表記違い等がありましたら、ご連絡ください。

『櫻草』掲載全句、同誌同人自選の「青萍集」コーナ-所載句は、
2015年分を以て掲載を終了しました。



すすき

「櫻草」第217號掲載
(予定)

2025年9・10月號
当季雑詠

課題句   「名」、案山子

風鈴

「櫻草」第216號掲載

2025年7・8月號

当季雑詠
炎天に見送りもなき霊柩車游 悦
課題句   「知」、草いきれ
町の道知りぬき自在夏燕如 雨
機知に富む友は今なく法師蝉游 悦
青春を語りし野小屋草いきれ游 悦
幾万の生命ひしめく草いきれ如 雨

あやめ

「櫻草」第215號掲載

2025年5・6月號

当季雑詠
古民家に飼葉の匂ひ梅雨に入る 游 悦

課題句   「世」、蝸牛
父母の世にうつかり長居昼寝覚如 雨
来世にも望みをつなぐ柿若葉游 悦
でで虫の歩を慈しむ歳となり如 雨
縁側をひとり遊びの蝸牛游 悦


さくら

「櫻草」第214號掲載

2025年3・4月號

当季雑詠
引く波に心残して桜貝游 悦

課題句   「成」、長閑
大願は成らず絵馬打つ春疾風如 雨
為せば成る父子合作の巣箱かな游 悦
覚えある訛りガイドの声長閑如 雨
旅長閑思ひおもひの足湯かな游 悦


お屠蘇

「櫻草」第213號掲載

2025年1・2月號

当季雑詠
水仙や手紙の返事待つ余生游 悦

課題句   「見」、氷
初暦佳きことあらむまだ見ぬ日游 悦
装はず何に見栄張る老の春如 雨
雷に似るカート引く音氷点下如 雨
軒先の氷柱に映る朝陽かな游 悦


すすき

「櫻草」第212號掲載

2024年11・12月號

当季雑詠
早起きの覚悟薄らぎ冬に入る游 悦

課題句   「分」、おでん
山半分明るく残し冬の雲如 雨
おかへりと言はれ今日またおでん酒如 雨
ここだけの話あちこちおでん酒游 悦


曼珠沙華



「櫻草」第211號掲載

2024年9・10月號

当季雑詠
補聴器も眼鏡も外し盆踊游悦

課題句  「行」、曼珠沙華
行く末にわづかな願ひ鰯雲如雨
怠れる考妣(こうひ)の回忌曼珠沙華如雨
曼珠沙華手折らず触れず去りがたく游悦


風鈴

「櫻草」第210號掲載

2024年7・8月號

当季雑詠
淡淡と日日を押し出す心太游 悦

課題句  「意」、空蝉
庭下駄に敵意なき眼の蜥蜴居る如 雨
夏芝居意中の人へ札投げて游 悦
空蝉の威風あざむくその軽さ如 雨
プーチンもいづれ空蝉我もまた游 悦


あやめ

「櫻草」第209號掲載

2024年5・6月號

当季雑詠
隣家から嬰の泣き声夏来たる游 悦

課題句  「後」、夏めく
打水の後気まぐれな通り雨如 雨
香煙に太き二の腕夏めきぬ如 雨
食膳に青物野菜夏めける游 悦


さくら

「櫻草」第208號掲載

2024年3・4月號

当季雑詠
能登半島なによりうれし初燕游 悦

課題句  「心」、山笑ふ
心まで消せぬ黒板卒業子游 悦
薄氷(うすらひ)を踏めば童心らしきもの如 雨
地震(なゐ)に明けしこの年もまた山笑ふ如 雨
人間の営みは些事山笑ふ游 悦


わかたけ

「櫻草」第207號掲載

2024年1・2月號

当季雑詠
書かざりしこと思ひ出す古日記游 悦
課題句  「一」、寒の雨
句作りの一老生や去年今年游 悦
手術室妻眠りてむ寒の雨如 雨


すすき

「櫻草」第206號掲載

2023年11・12月號
当季雑詠
一些事に一つの仔細日記果つ游 悦

課題句  「丸」、枯葉
崩れずに尽きし炭団の丸さかな如 雨
枯菊を焚けば漂ふ掉尾の香如 雨
枯菊やいずれ我が身もかくあらむ游 悦

ぶどう

「櫻草」第205號掲載

2023年9・10月號
当季雑詠
新涼や手話でドローンの飛ぶ仕草游 悦

課題句  小鳥
もどかしき見えざる小鳥揺るる枝如 雨
誰も来ぬコロナ病棟小鳥来る游 悦

風鈴

「櫻草」第204號掲載

2023年7・8月號
当季雑詠
紫陽花の待ちたるやうな細き雨游 悦

課題句  「坂」、残暑
汗ぬぐひ大倒木の坂降ろし游 悦
杖の身を励ます四葩(よひら)女坂如 雨
湧きさうな句ごころ掠む残暑かな如 雨
陽も人も疲れ切つたる残暑かな游 悦

あやめ

「櫻草」第203號掲載

2023年5・6月號
当季雑詠
夏めくや大樹の蔭に乳母車游 悦
課題句  「中」、植田
山中と思ふ静けさ夏座敷如 雨
狭き田に機械蠢く田植中柏 葉
早苗田の隅に仕上げの二三本如 雨
ゴム長の音も吸ひ込む植田かな游 悦

さくら

「櫻草」第202號掲載

2023年3・4月號
当季雑詠
春眠や若き日の母よく笑ひ游 悦

課題句  「土」、花曇
土塊を除ければ芽ざすクロッカス如 雨
撤去せし屋敷の跡に土筆萌ゆ游 悦
花曇立て込む墓苑紫雲舞ふ柏 葉
己が影失せまた淡く花曇如 雨
酒蔵の匂ひほのかに花曇游 悦

わかたけ

「櫻草」第201號掲載

2023年1・2月號
当季雑詠
わだかまり消してくれたる庭の雪游 悦

課題句  「出」、悴む
転げ出る両目の達磨どんと焼如 雨
出港の銅鑼の音高き冬の空柏 葉
悴める電話訥々語を繋ぐ如 雨
悴んでおれずミルクを待つ赤子游 悦

もみじイラスト

「櫻草」第200號掲載

2022年11・12月號
当季雑詠
農に嫁し白菜括る日暮かな游 悦

課題句   「上」、冬の月
離れても故郷と同じ冬の月游 悦
池の面に浮かぶ沈黙冬の月柏 葉

すすき

「櫻草」第199號掲載

2022年9・10月號
当季雑詠
朝顔のこのむらさきを探しけり游 悦

課題句  「気」、鬼城忌
炎昼の奈良の狂気に仰天す游 悦
俳句とは生き直すこと鬼城の忌―〃―

風鈴

「櫻草」第198號掲載

2022年7・8月號
当季雑詠
炎昼の深き眠りや石舞台游 悦

課題句   「音」、瀧
民衆の本音を聴かず夏戦争游 悦
フイヨルドの絶壁を這ふ滝幾千游 悦
辿り来て山の冷気や滝の音柏 葉

あやめ

「櫻草」第197號掲載

2022年5・6月號
当季雑詠
梅酒より溶ける歳月琥珀色游 悦

課題句  「地」、雨蛙
蟻地獄切なき生の営みよ柏 葉
風薫る地球踏みしめ赤子立つ游 悦
雨蛙鳴く三小節もソプラノで游 悦
雨蛙捕らんと騒ぐ幼な児の柏 葉

さくら

「櫻草」第196號掲載

2022年3・4月號
当季雑詠
青饅や老板前の目のやさし游 悦

課題句  「学」、春昼
清明や医療目指して進学す游 悦
春昼や将棋仲間の長談義―〃―

わかたけ

「櫻草」第195號掲載

2022年1・2月號
当季雑詠
先客の児のはつらつと初湯かな游 悦

課題句  「笑」、福寿草
籠り癖笑顔の絶えし初詣柏 葉
生真面目に生きて傘寿や福寿草游 悦
福寿草庭の日溜り一人占め柏 葉

もみじ

「櫻草」第194號掲載

2021年11・12月號

当季雑詠
河豚刺の同心円の崩れゆく游 悦

課題句  「石」、重ね著
冬の海千石船の夢語り柏 葉
厚着して恐れずに行く夜の街游 悦

すすき

「櫻草」第193號掲載

2021年9・10月號
当季雑詠
自転車も寝かせ花野の人となる游 悦

課題句  「大」、竹の春
漆黒の夜空を焦がす大火祭柏 葉
街中に遺る井桁や竹の春柏 葉
嵯峨野路の少年僧や竹の春游 悦


風鈴

「櫻草」第192號掲載

2021年7・8月號
当季雑詠
部屋中を夕焼にしてギター弾く游 悦

課題句  「眼」、雲の峰
半眼に構へる翁能舞台游 悦
水の面に雲の峰立つ山の湖柏 葉


あやめ

「櫻草」第191號掲載

2021年5・6月號
当季雑詠
惜春のトランペットを沖に向け游 悦
青葉潮ときに大波岩を食む柏 葉

課題句  初夏
初夏の風鬱積の穂を吹き払ひ柏 葉
初夏の香をリュックに詰めて山下る游 悦


さくら

「櫻草」第190號掲載

2021年3・4月號
当季雑詠
外に出よ早春の陽を浴びに出よ游 悦

課題句  「靴」、雉
直訴なを隔靴掻痒マスク越し游 悦
雉の声谺して山広ごりぬ柏 葉
喉元を震わす雉の声哀し游 悦


赤べこ親子

「櫻草」第189號掲載

2021年1・2月號
当季雑詠
寒林の静寂の中へ耳ふたつ游 悦

課題句  「初」、薄氷
初心には戻れぬ齢去年今年游 悦
日と水の危うきあはひ薄氷游 悦
薄氷の表を撫づる風の朝柏 葉


すすき

「櫻草」第188號掲載

2020年11・12月號
課題句  「橋」、山眠る
身も竦む冬の吊り橋荒磯波柏 葉
眠る山残照惜しみなく灌ぐ―〃―
七村を湖底に沈め山眠る游 悦


もみじイラスト

「櫻草」第187號掲載

2020年9・10月號
当季雑詠
新涼や始発電車の発車音游 悦
秋の水掬ヘば消ゆる白き雲柏 葉

課題句  「雲」、秋の声
雲海の切れて十勝の大平原游 悦
千本の樹木の吐息秋の声游 悦


風鈴

「櫻草」第186號掲載

2020年7・8月號
当季雑詠
漁火の遠く近くに夜の秋柏 葉
立泳ぎ平泳ぎあり森林浴游 悦
課題句  「窓」、扇
峡の宿窓に飛び交ふ蛍の灯柏 葉
白扇を開き廷内見渡しぬ游 悦


あやめ

「櫻草」第185號掲載

2020年5・6月號
当季雑詠
萍のひとりごちたる水面かな游 悦
五月雨や口数多き傘の列柏 葉

課題句  「風」、若楓
南風(みなみ)巌を砕く波の音柏 葉
追風も逆風もあり鯉のぼり游 悦
鼓笛隊送り出したる若楓游 悦
木洩れ日はさざ波のごと若楓柏 葉


さくら

「櫻草」第184號掲載

2020年3・4月號
当季雑詠
一束の絵馬跳ねあがり春一番游 悦

課題句  「喫茶店」、春めく
流氷を眺めつ浦の喫茶店游 悦
喫茶店の隅貸切の春句会柏 葉
マネキンの右手しなやか春めきて游 悦


わかたけ

「櫻草」第183號掲載

2020年1・2月號
当季雑詠
森奥の老樹に冬芽たしかめり游 悦

課題句  「道」、寒雀
逃げ道を絶たれし熊の声哀し游 悦
日当りを命の糧と寒雀柏 葉


もみじイラスト

「櫻草」第182號掲載

2019年11・12月號
当季雑詠
米粒のまだ生きているきりたんぽ游 悦
冬立ちぬ車窓に尖る波の音柏 葉

課題句  「海」、大根干す
領海をものともせずに鯨行く游 悦
眠れるだけ山はいいさと冬の海柏 葉
作務衣僧の手並鮮やか大根干す柏 葉
大根干す村村まはる配達夫游 悦

すすき

「櫻草」第181號掲載

2019年9・10月號
当季雑詠
一列の稲架を残して村老いつ游 悦
水澄むや掬へば雲の乱れたる柏 葉

課題句  爽やか、「川」
天の川渡れば宇宙への旅路柏 葉
爽やかにポプラ並木を歩きけり游 悦


風鈴

「櫻草」第180號掲載

2019年7・8月號
当季雑詠
夏痩もせずに八十路の法螺話游 悦

課題句  余花、「手紙」
雷鳴を引連れ夕立急襲す柏 葉
滲む汗初手合わせの「7六歩」柏 葉


あやめ

「櫻草」第179號掲載

2019年5・6月號
当季雑詠
こどもの日集ひ草庵五日会三鬼堂

課題句  余花、「手紙」
九十九折登りきたれば余花の艶柏 葉
北国の崩れし崖に余花一樹游 悦


さくら

「櫻草」第178號掲載

2019年3・4月號

課題句  彼岸、「庵」
セピア色の写真の母や彼岸来る游 悦
かの人の面影浮かぶ入彼岸柏 葉


わかたけ

「櫻草」第177號掲載

2019年1・2月號
課題句  寒稽古、初午
黒白の帯入り乱れ寒稽古柏 葉


もみじイラスト

「櫻草」第176號掲載

2018年11・12月號
当季雑詠
小春日や友の見舞ひを固辞しけり游 悦

課題句  柿落葉、葛湯
老いてなほ艶やか彩柿落葉柏 葉
虫喰ひの疵は勲章柿落葉游 悦
使命終へ満足顔の柿落葉弁 慶
葛湯して喜寿の五体を癒しけり游 悦
夜の黙葛湯を啜る音温し柏 葉


すすき

「櫻草」第175號掲載

2018年9・10月號
当季雑詠
秋うらら古書棄てむとて読み耽る柏 葉
声聞かぬ村に入りけり稲の花如 雨

課題句  秋の蚊、鳥威
鳥威知恵の限りを学校田柏 葉
鳥威吊す一家に殺意なく游 悦


風鈴

「櫻草」第174號掲載

2018年7・8月號
当季雑詠
夏草や震災前のランドセル游 悦

課題句  喜雨・桐一葉
喜雨去りて七色の彩夕景色柏 葉
たましひといふ語反芻桐一葉如 雨
桐一葉園遊会の果てし庭柏 葉
職を辞す委細語らず桐一葉游 悦


あやめ

「櫻草」第173號掲載

2018年5・6月號
当季雑詠
編集の緊張ほぐす桜漬三鬼堂
蕗を剥くたちまち迷ひ吹つ切れて游 悦

課題句  新緑・五月闇
新緑や緑溢るる穂高道弁 慶
木の株を借り新緑の香をまとふ如 雨
窓全開新緑の香を取り込めり游 悦
別れ来て友の訃に堪ふ五月闇如 雨
迫りくる雨の匂ひや五月闇游 悦


さくら

「櫻草」第172號掲載

2018年3・4月號
当季雑詠
恐竜のほかは知らずに入学す游 悦
雪解道出会ふふたりの国訛り如 雨
国訛り飛び交ふ世界植木市弁 慶

課題句  水温む・甘茶
さざ波の光幾千水温む如 雨
碧眼も交じりてそそぐ甘茶かな游 悦


梅花

「櫻草」第171號掲載

2018年1・2月號
当季雑詠
大年やポストに落とす二百枚如 雨
離陸待つ窓それぞれの初明り柏 葉
湯豆腐や湯気と言葉を入り混ぜて游 悦

課題句  初空・冴返る
友を送る般若心経冴返る柏 葉
整へる町の静寂や冴返る如 雨


もみじイラスト

「櫻草」第170號掲載

2017年11・12月號
当季雑詠
風遊ぶ(ひび)割れし田の小春かな如 雨
手のひらに宇宙の重さ寒卵游 悦
紅葉づるや桜は古木支柱して三鬼堂
竹庭の根の張る小径初時雨柏 葉

課題句  立冬・水鳥
鋸の枝の切り口冬に入る弁 慶
冬立ちぬ前掛け替ふる石地蔵如 雨
水鳥の水尾(みを)に崩れし入り日かな如 雨
水鳥の着水探る長き脚柏 葉

すすき

「櫻草」第169號掲載

2017年9・10月號
当季雑詠
畦切れば躍り上がりて落し水游 悦
お銚子の音はつらつと今年酒如 雨

課題句  鰯雲・秋の野
鰯雲無常の世情思ひけり弁 慶
大空も心も満たす鰯雲游 悦
ハーモニカ秋の野はもう俺のもの游 悦
秋の野を分けてSL走り行く三鬼堂
傾ぐ日や一気に秋の野の褪する如 雨
秋の野や土石流跡癒えぬまま柏 葉


風鈴

「櫻草」第168號掲載

2017年7・8月號
当季雑詠
供物などなき野仏に夏薊如 雨

課題句  病葉、新涼
病葉を踏めば微かな痛みあり游 悦
新涼や片付け急ぐ海の家三鬼堂
新涼や一番ホーム発車音游 悦
新涼や糊の利きたるシャツに変へ柏 葉


あやめ

「櫻草」第167號掲載

2017年5・6月號
当季雑詠
洋間から妻のソプラノ夕薄暑游 悦
読みふけて五月の朝の寝ぎたなく如 雨

課題句  草茂る
河童棲む淵の静かに草茂る三鬼堂
草茂る錆びしレールの転車台柏 葉
草茂る堤防民を救はざる游 悦


さくら

「櫻草」第166號掲載

2017年3・4月號
当季雑詠
一山を覆ひ尽くして芝桜游 悦
一病は生くる道すぢ春立ちぬ如 雨
風ごとにひととき舞ひて枝垂梅―〃―
六年の避難や解除青き踏む 游 悦
廃村は菜の花の中鎮まれり柏 葉

課題句  (独活)、鳥の巣
鳥の巣の雛の総立ち親帰る游 悦
巣鳥鳴くや宅地に変はる町の山如 雨


わかたけ

「櫻草」第165號掲載

2017年1・2月號
当季雑詠
耐へて咲くその日が佳き日寒椿柏 葉
春寒や何か訝し世の流れ―〃―

課題句  春を待つ・雪間
枝先に命の兆春を待つ如 雨
海光の春待つ色に変はりけり游 悦
少年の夢始まりぬ雪間から柏 葉
うつくしきときの始まり雪間かな如 雨
猟犬の嗅ぎ回りいる雪間かな三鬼堂


もみじイラスト

「櫻草」第164號掲載

2016年11・12月號
当季雑詠
靴底にやはらかきもの冬落葉游 悦
説明を居並ぶマスク同意せず―〃―
落つる日や細くなりたる枯野道如 雨
こと成らず十一月も終りけり―〃―

課題句  時雨・咳
庭石を鮮やかにして時雨去る如 雨
湯に入れば信濃のかをり初しぐれ柏 葉
演奏の終るを待ちて咳払い游 悦
ふる里も咳には訛無かるべし如 雨
咳一つ座の雰囲気を解しけり柏 葉


すすき

「櫻草」第163號掲載

2016年9・10月號
当季雑詠
身に入むや猫白きまま老いにけり如 雨
敬老日齢は胸に閉ぢ込めて―〃―
通勤の足をとどめし金木犀游 悦
飴色のとんぼ飛びゐし廃耕田柏 葉

課題句  冬近し
冬近し嵯峨野の奥の石仏如 雨
朝市の出店も疎ら冬近し柏 葉


風鈴

「櫻草」第163號 掲載

2016年7・8月號
当季雑詠
汗飛ばし檄をとばして演出す游 悦
海沿ひに三陸を行く夏帽子―〃―
慣るるまで居酒屋暗し夏夕べ如 雨
夏草や地球の裏の聖火燃ゆ―〃―
青雲のこころざし見る雲の峰弁 慶

課題句  打水・カンナ
みちのくの城下の町や水を打つ弁 慶
カンナ燃ゆ残りわづかな赤ワイン如 雨
地震のあとの崖地にカンナ二三本游 悦


あやめ

「櫻草」第161號

2016年5・6月號  
当季雑詠
暮れなづむ道花水木歩をゆるめ 如 雨
眼裏に紅の残像花疲れ游 悦

課題句  蕗・釣堀
厨より蕗の香のする朝寝覚め游 悦
蕗を剥く手に皺深し茜雲柏 葉
寺でらの境に蕗の生ひ競ふ如 雨
釣堀の鮒は隣を好むらし―〃―

(当季雑詠の印は2選者に選ばれた句です。)








さくら

「櫻草」第160號

2016年3・4月號
当季雑詠
亡き友の名残る名簿春寒し 如 雨
子の手紙また読み返す日永かな游 悦
春の日や音一つなき禅の弁 慶

課題句  蜆・しゃぼん玉
晩節にふさわしきもの蜆汁游 悦
濡れまいとしても膝上蜆採如 雨
溜息も吹けば虹色しやぼん玉―〃―
石鹸玉青く震へて飛び立てり游 悦

(当季雑詠の印は2選者に選ばれたものです。)







わかたけ

「櫻草」第159號

2016年1・2月號
当季雑詠
冬すでに急須の口の湯気の濃し如 雨
幸せが肩を寄せ合ふ福寿草游 悦
木々の揺れためらひがちに春の風柏 葉

課題句  千両・野焼
千両や笑顔の揃ふ八畳間游 悦
何もない庭はすがすが実千両弁 慶
清し朝神棚祀る実千両柏 葉
大阿蘇の一山覆ふ野焼かな―〃―
端山より吹かれ来し香や野焼塵 如 雨






もみじ

「櫻草」第158號

2015年11・12月號
当季雑詠
実家(さと)のなき年齢となりけり秋深し如 雨
七五三いま人生は上り坂游 悦
流星の地球の裏へ急ぎけり柏 葉
川岸の岩につかまる木の葉かな弁 慶

課題句  冬紅葉・障子
この世をば燃やし尽くすか冬紅葉游 悦
色を重ね装ふ一樹冬紅葉如 雨
吉野山奥駈道や冬紅葉弁 慶
たまゆらの日影まばゆき白障子如 雨
後ろ手に障子を閉めて慟哭す游 悦






すすき

「櫻草」第157號

2015年9・10月號
当季雑詠
無月らしきのふの月を惜しみけり如 雨
戦なき七十年の秋高し―〃―
新涼や車掌の右手高々と游 悦

課題句  水澄む・末枯
水澄みて空に一点千切れ雲柏 葉
末枯(うらがれ)の庭をいたはる夜の雨如 雨
夕日射す釧路湿原末枯れて游 悦






風鈴

「櫻草」第156號

2015年7・8月號
当季雑詠
なに在りし街か日盛る津浪跡如 雨
向日葵に心の奥を照らされて游 悦
忘却を憎むてふ人原爆忌―〃―
梅雨滂沱国の形の変はりゆく柏 葉
念力に頼つて凌ぐ暑さかな弁 慶

課題句  天道虫・芙蓉
寸分の隙無き甲天道虫游 悦
七つ星良き名を得たり天道虫 如 雨
天道虫飛び立つ姿わが励み弁 慶
輝ける生命はひと日酔芙蓉如 雨







あやめ

「櫻草」第155號

2015年5・6月號
当季雑詠
人待つや駅の端なる遅桜如 雨
地の水を吸ひて浄める水芭蕉游 悦

課題句  茄子苗・夏帽子
下町の茄子苗並ぶ花屋かな三鬼堂
実ひとつ付く茄子苗も買ひにけり如 雨
大空の英気を吸つた茄子の苗弁 慶
夏帽子とりて無住寺由緒書如 雨






さくら

「櫻草」第154號

2015年3・4月號
当季雑詠
亀鳴くや子は妖怪の夢を見る弁 慶
水温む流るる草と歩みけり如 雨
暦では春と伝へて雪予報―〃―
遺棄されし村をさまよふ牛朧游 悦
小さき子も翼ひろげて卒業す―〃―

課題句  芹・うららか
朝粥の芹の香満つる仏間かな游 悦
幼き日飢ゑに堪へ兼ね芹を摘む弁 慶
うららかや豊かな流れ隅田川弁 慶






わかたけ

「櫻草」第153號

2015年1・2月號
当季雑詠
列島のひれ伏す上に冬将軍游 悦

課題句  数の子・下萌(したもえ)
数の子を噛めば小樽の波の音游 悦
奥の歯を入れて数の子音軽し如 雨
数の子や真珠のやうな味がする弁 慶
下萌や人盗りし浜荒るるまま如 雨
下萌や野外授業の河川敷游 悦
大阿蘇の午喜びて下萌ゆる弁 慶





入選句の記載順は「櫻草」掲載順です。

誤字、仮名遣いの誤り等がありましたらお知らせください。

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