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「櫻草」第218號掲載
(予定)
2025年11・12月號
課題句 「美」、冬日和

「櫻草」第217號掲載
(予定)
2025年9・10月號
当季雑詠
課題句 「名」、案山子

「櫻草」第216號掲載
2025年7・8月號
当季雑詠
課題句 「知」、草いきれ
町の道知りぬき自在夏燕 | 如 雨 |
機知に富む友は今なく法師蝉 | 游 悦 |
青春を語りし野小屋草いきれ | 游 悦 |
幾万の生命ひしめく草いきれ | 如 雨 |

「櫻草」第215號掲載
2025年5・6月號
当季雑詠
課題句 「世」、蝸牛
父母の世にうつかり長居昼寝覚 | 如 雨 |
来世にも望みをつなぐ柿若葉 | 游 悦 |
でで虫の歩を慈しむ歳となり | 如 雨 |
縁側をひとり遊びの蝸牛 | 游 悦 |

「櫻草」第214號掲載
2025年3・4月號
当季雑詠
課題句 「成」、長閑
大願は成らず絵馬打つ春疾風 | 如 雨 |
為せば成る父子合作の巣箱かな | 游 悦 |
覚えある訛りガイドの声長閑 | 如 雨 |
旅長閑思ひおもひの足湯かな | 游 悦 |

「櫻草」第213號掲載
2025年1・2月號
当季雑詠
課題句 「見」、氷
初暦佳きことあらむまだ見ぬ日 | 游 悦 |
装はず何に見栄張る老の春 | 如 雨 |
雷に似るカート引く音氷点下 | 如 雨 |
軒先の氷柱に映る朝陽かな | 游 悦 |

「櫻草」第212號掲載
2024年11・12月號
当季雑詠
課題句 「分」、おでん
山半分明るく残し冬の雲 | 如 雨 |
おかへりと言はれ今日またおでん酒 | 如 雨 |
ここだけの話あちこちおでん酒 | 游 悦 |

「櫻草」第211號掲載
2024年9・10月號
当季雑詠
課題句 「行」、曼珠沙華
行く末にわづかな願ひ鰯雲 | 如雨 |
怠れる考妣の回忌曼珠沙華 | 如雨 |
曼珠沙華手折らず触れず去りがたく | 游悦 |

「櫻草」第210號掲載
2024年7・8月號
当季雑詠
課題句 「意」、空蝉
庭下駄に敵意なき眼の蜥蜴居る | 如 雨 |
夏芝居意中の人へ札投げて | 游 悦 |
空蝉の威風あざむくその軽さ | 如 雨 |
プーチンもいづれ空蝉我もまた | 游 悦 |

「櫻草」第209號掲載
2024年5・6月號
当季雑詠
課題句 「後」、夏めく
打水の後気まぐれな通り雨 | 如 雨 |
香煙に太き二の腕夏めきぬ | 如 雨 |
食膳に青物野菜夏めける | 游 悦 |

「櫻草」第208號掲載
2024年3・4月號
当季雑詠
課題句 「心」、山笑ふ
心まで消せぬ黒板卒業子 | 游 悦 |
薄氷(を踏めば童心らしきもの | 如 雨 |
地震(に明けしこの年もまた山笑ふ | 如 雨 |
人間の営みは些事山笑ふ | 游 悦 |

「櫻草」第207號掲載
2024年1・2月號
当季雑詠
課題句 「一」、寒の雨
句作りの一老生や去年今年 | 游 悦 |
手術室妻眠りてむ寒の雨 | 如 雨 |

「櫻草」第206號掲載
2023年11・12月號
当季雑詠
課題句 「丸」、枯葉
崩れずに尽きし炭団の丸さかな | 如 雨 |
枯菊を焚けば漂ふ掉尾の香 | 如 雨 |
枯菊やいずれ我が身もかくあらむ | 游 悦 |

「櫻草」第205號掲載
2023年9・10月號
当季雑詠
課題句 小鳥
もどかしき見えざる小鳥揺るる枝 | 如 雨 |
誰も来ぬコロナ病棟小鳥来る | 游 悦 |

「櫻草」第204號掲載
2023年7・8月號
当季雑詠
課題句 「坂」、残暑
汗ぬぐひ大倒木の坂降ろし | 游 悦 |
杖の身を励ます四葩(女坂 | 如 雨 |
湧きさうな句ごころ掠む残暑かな | 如 雨 |
陽も人も疲れ切つたる残暑かな | 游 悦 |

「櫻草」第203號掲載
2023年5・6月號
当季雑詠
課題句 「中」、植田
山中と思ふ静けさ夏座敷 | 如 雨 |
狭き田に機械蠢く田植中 | 柏 葉 |
早苗田の隅に仕上げの二三本 | 如 雨 |
ゴム長の音も吸ひ込む植田かな | 游 悦 |

「櫻草」第202號掲載
2023年3・4月號
当季雑詠
課題句 「土」、花曇
土塊を除ければ芽ざすクロッカス | 如 雨 |
撤去せし屋敷の跡に土筆萌ゆ | 游 悦 |
花曇立て込む墓苑紫雲舞ふ | 柏 葉 |
己が影失せまた淡く花曇 | 如 雨 |
酒蔵の匂ひほのかに花曇 | 游 悦 |
「櫻草」第201號掲載
2023年1・2月號
当季雑詠
課題句 「出」、悴む
転げ出る両目の達磨どんと焼 | 如 雨 |
出港の銅鑼の音高き冬の空 | 柏 葉 |
悴める電話訥々語を繋ぐ | 如 雨 |
悴んでおれずミルクを待つ赤子 | 游 悦 |

「櫻草」第200號掲載
2022年11・12月號
当季雑詠
課題句 「上」、冬の月
離れても故郷と同じ冬の月 | 游 悦 |
池の面に浮かぶ沈黙冬の月 | 柏 葉 |

「櫻草」第199號掲載
2022年9・10月號
当季雑詠
課題句 「気」、鬼城忌
炎昼の奈良の狂気に仰天す | 游 悦 |
俳句とは生き直すこと鬼城の忌 | ―〃― |

「櫻草」第198號掲載
2022年7・8月號
当季雑詠
課題句 「音」、瀧
民衆の本音を聴かず夏戦争 | 游 悦 |
フイヨルドの絶壁を這ふ滝幾千 | 游 悦 |
辿り来て山の冷気や滝の音 | 柏 葉 |

「櫻草」第197號掲載
2022年5・6月號
当季雑詠
課題句 「地」、雨蛙
蟻地獄切なき生の営みよ | 柏 葉 |
風薫る地球踏みしめ赤子立つ | 游 悦 |
雨蛙鳴く三小節もソプラノで | 游 悦 |
雨蛙捕らんと騒ぐ幼な児の | 柏 葉 |

「櫻草」第196號掲載
2022年3・4月號
当季雑詠
課題句 「学」、春昼
清明や医療目指して進学す | 游 悦 |
春昼や将棋仲間の長談義 | ―〃― |

「櫻草」第195號掲載
2022年1・2月號
当季雑詠
課題句 「笑」、福寿草
籠り癖笑顔の絶えし初詣 | 柏 葉 |
生真面目に生きて傘寿や福寿草 | 游 悦 |
福寿草庭の日溜り一人占め | 柏 葉 |

「櫻草」第194號掲載
2021年11・12月號
当季雑詠
課題句 「石」、重ね著
冬の海千石船の夢語り | 柏 葉 |
厚着して恐れずに行く夜の街 | 游 悦 |

「櫻草」第193號掲載
2021年9・10月號
当季雑詠
課題句 「大」、竹の春
漆黒の夜空を焦がす大火祭 | 柏 葉 |
街中に遺る井桁や竹の春 | 柏 葉 |
嵯峨野路の少年僧や竹の春 | 游 悦 |

「櫻草」第192號掲載
2021年7・8月號
当季雑詠
課題句 「眼」、雲の峰
半眼に構へる翁能舞台 | 游 悦 |
水の面に雲の峰立つ山の湖 | 柏 葉 |

「櫻草」第191號掲載
2021年5・6月號
当季雑詠
惜春のトランペットを沖に向け | 游 悦 |
青葉潮ときに大波岩を食む | 柏 葉 |
課題句 初夏
初夏の風鬱積の穂を吹き払ひ | 柏 葉 |
初夏の香をリュックに詰めて山下る | 游 悦 |

「櫻草」第190號掲載
2021年3・4月號
当季雑詠
課題句 「靴」、雉
直訴なを隔靴掻痒マスク越し | 游 悦 |
雉の声谺して山広ごりぬ | 柏 葉 |
喉元を震わす雉の声哀し | 游 悦 |

「櫻草」第189號掲載
2021年1・2月號
当季雑詠
課題句 「初」、薄氷
初心には戻れぬ齢去年今年 | 游 悦 |
日と水の危うきあはひ薄氷 | 游 悦 |
薄氷の表を撫づる風の朝 | 柏 葉 |

「櫻草」第188號掲載
2020年11・12月號
課題句 「橋」、山眠る
身も竦む冬の吊り橋荒磯波 | 柏 葉 |
眠る山残照惜しみなく灌ぐ | ―〃― |
七村を湖底に沈め山眠る | 游 悦 |

「櫻草」第187號掲載
2020年9・10月號
当季雑詠
新涼や始発電車の発車音 | 游 悦 |
秋の水掬ヘば消ゆる白き雲 | 柏 葉 |
課題句 「雲」、秋の声
雲海の切れて十勝の大平原 | 游 悦 |
千本の樹木の吐息秋の声 | 游 悦 |

「櫻草」第186號掲載
2020年7・8月號
当季雑詠
漁火の遠く近くに夜の秋 | 柏 葉 |
立泳ぎ平泳ぎあり森林浴 | 游 悦 |
課題句 「窓」、扇
峡の宿窓に飛び交ふ蛍の灯 | 柏 葉 |
白扇を開き廷内見渡しぬ | 游 悦 |

「櫻草」第185號掲載
2020年5・6月號
当季雑詠
萍のひとりごちたる水面かな | 游 悦 |
五月雨や口数多き傘の列 | 柏 葉 |
課題句 「風」、若楓
大南風(巌を砕く波の音 | 柏 葉 |
追風も逆風もあり鯉のぼり | 游 悦 |
鼓笛隊送り出したる若楓 | 游 悦 |
木洩れ日はさざ波のごと若楓 | 柏 葉 |

「櫻草」第184號掲載
2020年3・4月號
当季雑詠
課題句 「喫茶店」、春めく
流氷を眺めつ浦の喫茶店 | 游 悦 |
喫茶店の隅貸切の春句会 | 柏 葉 |
マネキンの右手しなやか春めきて | 游 悦 |

「櫻草」第183號掲載
2020年1・2月號
当季雑詠
課題句 「道」、寒雀
逃げ道を絶たれし熊の声哀し | 游 悦 |
日当りを命の糧と寒雀 | 柏 葉 |

「櫻草」第182號掲載
2019年11・12月號
当季雑詠
米粒のまだ生きているきりたんぽ | 游 悦 |
冬立ちぬ車窓に尖る波の音 | 柏 葉 |
課題句 「海」、大根干す
領海をものともせずに鯨行く | 游 悦 |
眠れるだけ山はいいさと冬の海 | 柏 葉 |
作務衣僧の手並鮮やか大根干す | 柏 葉 |
大根干す村村まはる配達夫 | 游 悦 |

「櫻草」第181號掲載
2019年9・10月號
当季雑詠
一列の稲架を残して村老いつ | 游 悦 |
水澄むや掬へば雲の乱れたる | 柏 葉 |
課題句 爽やか、「川」
天の川渡れば宇宙への旅路 | 柏 葉 |
爽やかにポプラ並木を歩きけり | 游 悦 |

「櫻草」第180號掲載
2019年7・8月號
当季雑詠
課題句 余花、「手紙」
雷鳴を引連れ夕立急襲す | 柏 葉 |
滲む汗初手合わせの「7六歩」 | 柏 葉 |

「櫻草」第179號掲載
2019年5・6月號
当季雑詠
課題句 余花、「手紙」
九十九折登りきたれば余花の艶 | 柏 葉 |
北国の崩れし崖に余花一樹 | 游 悦 |

「櫻草」第178號掲載
2019年3・4月號
課題句 彼岸、「庵」
セピア色の写真の母や彼岸来る | 游 悦 |
かの人の面影浮かぶ入彼岸 | 柏 葉 |

「櫻草」第177號掲載
2019年1・2月號
課題句 寒稽古、初午

「櫻草」第176號掲載
2018年11・12月號
当季雑詠
課題句 柿落葉、葛湯
老いてなほ艶やか彩柿落葉 | 柏 葉 |
虫喰ひの疵は勲章柿落葉 | 游 悦 |
使命終へ満足顔の柿落葉 | 弁 慶 |
葛湯して喜寿の五体を癒しけり | 游 悦 |
夜の黙葛湯を啜る音温し | 柏 葉 |

「櫻草」第175號掲載
2018年9・10月號
当季雑詠
秋うらら古書棄てむとて読み耽る | 柏 葉 |
声聞かぬ村に入りけり稲の花 | 如 雨 |
課題句 秋の蚊、鳥威
鳥威知恵の限りを学校田 | 柏 葉 |
鳥威吊す一家に殺意なく | 游 悦 |

「櫻草」第174號掲載
2018年7・8月號
当季雑詠
課題句 喜雨・桐一葉
喜雨去りて七色の彩夕景色 | 柏 葉 |
たましひといふ語反芻桐一葉 | 如 雨 |
桐一葉園遊会の果てし庭 | 柏 葉 |
職を辞す委細語らず桐一葉 | 游 悦 |

「櫻草」第173號掲載
2018年5・6月號
当季雑詠
編集の緊張ほぐす桜漬 | 三鬼堂 |
蕗を剥くたちまち迷ひ吹つ切れて | 游 悦 |
課題句 新緑・五月闇
新緑や緑溢るる穂高道 | 弁 慶 |
木の株を借り新緑の香をまとふ | 如 雨 |
窓全開新緑の香を取り込めり | 游 悦 |
別れ来て友の訃に堪ふ五月闇 | 如 雨 |
迫りくる雨の匂ひや五月闇 | 游 悦 |

「櫻草」第172號掲載
2018年3・4月號
当季雑詠
恐竜のほかは知らずに入学す | 游 悦 |
雪解道出会ふふたりの国訛り | 如 雨 |
国訛り飛び交ふ世界植木市 | 弁 慶 |
課題句 水温む・甘茶
さざ波の光幾千水温む | 如 雨 |
碧眼も交じりてそそぐ甘茶かな | 游 悦 |

「櫻草」第171號掲載
2018年1・2月號
当季雑詠
大年やポストに落とす二百枚 | 如 雨 |
離陸待つ窓それぞれの初明り | 柏 葉 |
湯豆腐や湯気と言葉を入り混ぜて | 游 悦 |
課題句 初空・冴返る
友を送る般若心経冴返る | 柏 葉 |
整へる町の静寂や冴返る | 如 雨 |

「櫻草」第170號掲載
2017年11・12月號
当季雑詠
風遊ぶ罅(割れし田の小春かな | 如 雨 |
手のひらに宇宙の重さ寒卵 | 游 悦 |
紅葉づるや桜は古木支柱して | 三鬼堂 |
竹庭の根の張る小径初時雨 | 柏 葉 |
課題句 立冬・水鳥
鋸の枝の切り口冬に入る | 弁 慶 |
冬立ちぬ前掛け替ふる石地蔵 | 如 雨 |
水鳥の水尾(に崩れし入り日かな | 如 雨 |
水鳥の着水探る長き脚 | 柏 葉 |

「櫻草」第169號掲載
2017年9・10月號
当季雑詠
畦切れば躍り上がりて落し水 | 游 悦 |
お銚子の音はつらつと今年酒 | 如 雨 |
課題句 鰯雲・秋の野
鰯雲無常の世情思ひけり | 弁 慶 |
大空も心も満たす鰯雲 | 游 悦 |
ハーモニカ秋の野はもう俺のもの | 游 悦 |
秋の野を分けてSL走り行く | 三鬼堂 |
傾ぐ日や一気に秋の野の褪する | 如 雨 |
秋の野や土石流跡癒えぬまま | 柏 葉 |

「櫻草」第168號掲載
2017年7・8月號
当季雑詠
課題句 病葉、新涼
病葉を踏めば微かな痛みあり | 游 悦 |
新涼や片付け急ぐ海の家 | 三鬼堂 |
新涼や一番ホーム発車音 | 游 悦 |
新涼や糊の利きたるシャツに変へ | 柏 葉 |

「櫻草」第167號掲載
2017年5・6月號
当季雑詠
洋間から妻のソプラノ夕薄暑 | 游 悦 |
読みふけて五月の朝の寝ぎたなく | 如 雨 |
課題句 草茂る
河童棲む淵の静かに草茂る | 三鬼堂 |
草茂る錆びしレールの転車台 | 柏 葉 |
草茂る堤防民を救はざる | 游 悦 |

「櫻草」第166號掲載
2017年3・4月號
当季雑詠
一山を覆ひ尽くして芝桜 | 游 悦 |
一病は生くる道すぢ春立ちぬ | 如 雨 |
風ごとにひととき舞ひて枝垂梅 | ―〃― |
六年の避難や解除青き踏む |
游 悦 |
廃村は菜の花の中鎮まれり | 柏 葉 |
課題句 (独活)、鳥の巣
鳥の巣の雛の総立ち親帰る | 游 悦 |
巣鳥鳴くや宅地に変はる町の山 | 如 雨 |

「櫻草」第165號掲載
2017年1・2月號
当季雑詠
耐へて咲くその日が佳き日寒椿 | 柏 葉 |
春寒や何か訝し世の流れ | ―〃― |
課題句 春を待つ・雪間
枝先に命の兆春を待つ | 如 雨 |
海光の春待つ色に変はりけり | 游 悦 |
少年の夢始まりぬ雪間から | 柏 葉 |
うつくしきときの始まり雪間かな | 如 雨 |
猟犬の嗅ぎ回りいる雪間かな | 三鬼堂 |

「櫻草」第164號掲載
2016年11・12月號
当季雑詠
靴底にやはらかきもの冬落葉 | 游 悦 |
説明を居並ぶマスク同意せず | ―〃― |
落つる日や細くなりたる枯野道 | 如 雨 |
こと成らず十一月も終りけり | ―〃― |
課題句 時雨・咳
庭石を鮮やかにして時雨去る | 如 雨 |
湯に入れば信濃のかをり初しぐれ | 柏 葉 |
演奏の終るを待ちて咳払い | 游 悦 |
ふる里も咳には訛無かるべし | 如 雨 |
咳一つ座の雰囲気を解しけり | 柏 葉 |

「櫻草」第163號掲載
2016年9・10月號
当季雑詠
身に入むや猫白きまま老いにけり | 如 雨 |
敬老日齢は胸に閉ぢ込めて | ―〃― |
通勤の足をとどめし金木犀 | 游 悦 |
飴色のとんぼ飛びゐし廃耕田 | 柏 葉 |
課題句 冬近し
冬近し嵯峨野の奥の石仏 | 如 雨 |
朝市の出店も疎ら冬近し | 柏 葉 |

「櫻草」第163號 掲載
2016年7・8月號
当季雑詠
汗飛ばし檄をとばして演出す | 游 悦 |
海沿ひに三陸を行く夏帽子 | ―〃― |
慣るるまで居酒屋暗し夏夕べ | 如 雨 |
夏草や地球の裏の聖火燃ゆ | ―〃― |
青雲のこころざし見る雲の峰 | 弁 慶 |
課題句 打水・カンナ
みちのくの城下の町や水を打つ | 弁 慶 |
カンナ燃ゆ残りわづかな赤ワイン | 如 雨 |
地震のあとの崖地にカンナ二三本 | 游 悦 |

「櫻草」第161號
2016年5・6月號
当季雑詠
暮れなづむ道花水木歩をゆるめ ○ | 如 雨 |
眼裏に紅の残像花疲れ○ | 游 悦 |
課題句 蕗・釣堀
厨より蕗の香のする朝寝覚め | 游 悦 |
蕗を剥く手に皺深し茜雲 | 柏 葉 |
寺でらの境に蕗の生ひ競ふ | 如 雨
|
釣堀の鮒は隣を好むらし | ―〃― |
(当季雑詠の ○ 印は2選者に選ばれた句です。)

「櫻草」第160號
2016年3・4月號
当季雑詠
亡き友の名残る名簿春寒し ○ | 如 雨 |
子の手紙また読み返す日永かな | 游 悦 |
春の日や音一つなき禅の | 弁 慶 |
課題句 蜆・しゃぼん玉
晩節にふさわしきもの蜆汁 | 游 悦 |
濡れまいとしても膝上蜆採 | 如 雨 |
溜息も吹けば虹色しやぼん玉 | ―〃― |
石鹸玉青く震へて飛び立てり | 游 悦 |
(当季雑詠の ○ 印は2選者に選ばれたものです。)

「櫻草」第159號
2016年1・2月號
当季雑詠
冬すでに急須の口の湯気の濃し | 如 雨 |
幸せが肩を寄せ合ふ福寿草 | 游 悦 |
木々の揺れためらひがちに春の風 | 柏 葉 |
課題句 千両・野焼
千両や笑顔の揃ふ八畳間 | 游 悦 |
何もない庭はすがすが実千両 | 弁 慶 |
清し朝神棚祀る実千両 | 柏 葉 |
大阿蘇の一山覆ふ野焼かな | ―〃― |
端山より吹かれ来し香や野焼塵 | 如 雨 |

「櫻草」第158號
2015年11・12月號
当季雑詠
実家(のなき年齢となりけり秋深し | 如 雨
|
七五三いま人生は上り坂 | 游 悦
|
流星の地球の裏へ急ぎけり | 柏 葉 |
川岸の岩につかまる木の葉かな | 弁 慶
|
課題句 冬紅葉・障子
この世をば燃やし尽くすか冬紅葉 | 游 悦
|
色を重ね装ふ一樹冬紅葉 | 如 雨
|
吉野山奥駈道や冬紅葉 | 弁 慶
|
たまゆらの日影まばゆき白障子 | 如 雨
|
後ろ手に障子を閉めて慟哭す | 游 悦
|

「櫻草」第157號
2015年9・10月號
当季雑詠
無月らしきのふの月を惜しみけり | 如 雨
|
戦なき七十年の秋高し | ―〃― |
新涼や車掌の右手高々と | 游 悦 |
課題句 水澄む・末枯
水澄みて空に一点千切れ雲 | 柏 葉
|
末枯(の庭をいたはる夜の雨 | 如 雨
|
夕日射す釧路湿原末枯れて | 游 悦
|

「櫻草」第156號
2015年7・8月號
当季雑詠
なに在りし街か日盛る津浪跡 | 如 雨 |
向日葵に心の奥を照らされて | 游 悦
|
忘却を憎むてふ人原爆忌 | ―〃― |
梅雨滂沱国の形の変はりゆく | 柏 葉 |
念力に頼つて凌ぐ暑さかな | 弁 慶 |
課題句 天道虫・芙蓉
寸分の隙無き甲天道虫 | 游 悦
|
七つ星良き名を得たり天道虫
| 如 雨
|
天道虫飛び立つ姿わが励み | 弁 慶
|
輝ける生命はひと日酔芙蓉 | 如 雨
|

「櫻草」第155號
2015年5・6月號
当季雑詠
人待つや駅の端なる遅桜 | 如 雨 |
地の水を吸ひて浄める水芭蕉 | 游 悦 |
課題句 茄子苗・夏帽子
下町の茄子苗並ぶ花屋かな | 三鬼堂 |
実ひとつ付く茄子苗も買ひにけり | 如 雨
|
大空の英気を吸つた茄子の苗 | 弁 慶
|
夏帽子とりて無住寺由緒書 | 如 雨
|

「櫻草」第154號
2015年3・4月號
当季雑詠
亀鳴くや子は妖怪の夢を見る | 弁 慶 |
水温む流るる草と歩みけり | 如 雨 |
暦では春と伝へて雪予報 | ―〃― |
遺棄されし村をさまよふ牛朧 | 游 悦
|
小さき子も翼ひろげて卒業す | ―〃― |
課題句 芹・うららか
朝粥の芹の香満つる仏間かな | 游 悦
|
幼き日飢ゑに堪へ兼ね芹を摘む | 弁 慶
|
うららかや豊かな流れ隅田川 | 弁 慶 |

「櫻草」第153號
2015年1・2月號
当季雑詠
課題句 数の子・下萌(
数の子を噛めば小樽の波の音 | 游 悦
|
奥の歯を入れて数の子音軽し | 如 雨
|
数の子や真珠のやうな味がする | 弁 慶
|
下萌や人盗りし浜荒るるまま | 如 雨
|
下萌や野外授業の河川敷 | 游 悦
|
大阿蘇の午喜びて下萌ゆる | 弁 慶 |
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