宮城野萩の校章

東北大鬼城句会例会記録ⅩⅠ

村 上 谿 聲 主 宰 の 同 窓 句 会 例 会

このページは第100回('22/1)から第112回('22/11)までの記録です。
(2022年5月、例会記録Ⅹを分割、本ページを作成)

なお、赤字表示の第100回('22/1)は通信句会です。

▽このページの末尾

これ以前の例会記録

例会記録Ⅰ第 1~ 9回('05/ 7~'06/11)
例会記録Ⅶ第61~69回('15/ 7~'16/11)
例会記録Ⅱ第10~20回('07/ 1~'08/ 9)
例会記録Ⅷ第70~78回('17/ 1~'18/ 5)
例会記録Ⅲ第21~30回('08/11~'10/ 5)
例会記録Ⅸ第79~87回('18/ 7~'19/11)
例会記録Ⅳ第31~40回('10/ 7~'12/ 1)
例会記録Ⅹ第88~99回('20/ 1~'21/11)
例会記録Ⅴ第41~51回('12/ 3~'13/11)
例会記録ⅩⅠ第100~111回('22/ 1~'23/11)
例会記録Ⅵ第52~60回('14/ 1~'15/ 5)
例会記録ⅩⅡ第112~………回('24/ 1~……)


誤字、表記違いあるいは作者名の誤り等に気づかれましたらお知らせください。


お断り: ブラウザはMicrosoft Edgeを想定しています。Firefox や Google Chrome 等では、指定フォントが変わったり背景の色が出なかったり、また、ルビや表など形式が崩れるところ等があります。



  
鈴木蓮囲池選(場外)下記の句の作者が未詳です。
お気づきの方はお申し出でください。
若鮎の瀬頭叩き上り初む 2014年5月23日 第54回句会
  (於:鬼城草庵)
浮き浮きと人も芽吹きぬ縄のれん  2014年3月28日 第53回句会






千両2

第111回句会  

2023年11月24日
兼 題:秋深し・時雨・冬支度・「実」(要季語)。当季雑詠。

会員の互選の結果です。選者の配列は俳号の50音順です。(次回以降一人ずつ繰り下げます)

☆ お気づきの点がありましたらご連絡ください ☆


印は特選に選ばれた作品です。
特選以外は原則清記順の記載で、順位ではありません。


<白石玄舟 選>
はんなりの和服の人や初時雨  三甫
剃る髭に白の交じりて秋深し如雨
今日少し明日また少し冬支度游悦
一些事に一つの仔細日記果つ游悦
いづこにか音ひとつして時雨かな如雨

<三浦三甫 選>
無辜殺戮止める術なし冬兆す  茂睡
郷友の報せ懐かし雪時雨越庵
今日少し明日また少し冬支度游悦
庭師との植木談義や秋深む玄舟
新米に母の笑顔が付いて来る玄舟

<岩渕如雨 選>
今日少し明日また少し冬支度  游悦
お浄土に電話架けたし冬支度越庵
庭師との植木談義や秋深む玄舟
新米に母の笑顔が付いて来る玄舟
一些事に一つの仔細日記果つ游悦

<大立目茂睡 選>
秋深し湯宿の廊下さまよひて 游悦
今日少し明日また少し冬支度游悦
一些事に一つの仔細日記果つ游悦
捨てがたきものの言い訳冬支度如雨
いづこかに音ひとつして時雨かな如雨

<奥山游悦 選>
空き家かと見えしが確と冬構 如雨
剃る髭に白の交じりて秋深し如雨
友垣の訃報相次ぐ秋深し茂睡
白き富士夕には黒く秋深し三甫
無辜殺戮止める術なし冬兆す茂睡

<平山越庵 選>
空き家かと見えしが確と冬構  如雨
はんなりの和服の人や初時雨三甫
二十年開けぬ箱開け冬用意如雨
白き富士夕には黒く秋深し三甫
祭り笛繰り返すだけ人の世も游悦




<高点句再掲>
4点 今日少し明日また少し冬支度 游悦
3点 一些事に一つの仔細日記果つ游悦
2点 はんなりの和服の人や初時雨 三甫
2点 空き家かと見えしが確と冬構 ☆☆如雨
2点 無辜殺戮止める術なし冬兆す 茂睡
2点 剃る髭に白の交じりて秋深し如雨
2点 庭師との植木談義や秋深む玄舟
2点 白き富士夕には黒く秋深し三甫
2点 新米に母の笑顔が付いて来る玄舟
2点 いづこにか音ひとつして時雨かな如雨
1点 秋深し湯宿の廊下さまよひて 游悦
    他の1点句 ‥‥ 6句

※ 出句者が少なくなりましたので特選1点句も再掲しています。



印は互選で特選に選ばれた句です。(☆☆、☆☆☆は多重特選)

△TOP




案山子


第110回句会  

2023年9月22日
兼 題:雁渡し・温め酒・石榴・「足(脚)」(要季語)。当季雑詠。

会員の互選の結果です。選者の配列は俳号の50音順です。(次回以降一人ずつ繰り下げます)

☆ お気づきの点がありましたらご連絡ください ☆


印は特選に選ばれた作品です。
特選以外は原則清記順の記載で、順位ではありません。


<三浦三甫 選>
往けぬ地の銘柄を選り温め酒  如雨
温め酒兄の遺愛の素焼皿游悦
健脚も今はてくてく秋暑し游悦
星月夜宇宙の涯ほその裏に游悦
雲流る恥じらふやうに宵の月玄舟

<岩渕如雨 選>
人類のあとは誰の世虫すだく 游悦
温め酒兄の遺愛の素焼皿游悦
雨去りて新涼そっと顔を出し柏葉
陽の強き病院の庭秋立ちぬ三甫
百日忌寺の案内や雁渡し越庵

<深谷柏葉 選>
青空を指で拡げて葡萄狩り 游悦
夕立や太き雨脚慌し茂睡
虫の音や静かに下りる夜の帳玄舟
人類のあとは誰の世虫すだく游悦
こほろぎの囁くやうに軒の下玄舟

<大立目茂睡 選>
駆け足で来たれ皆待つ秋の風 如雨
故山笑む総帆展帆秋日和越庵
雨去りて新涼そっと顔を出し柏葉
新涼は吝嗇風のありやなし如雨
青空を指で拡げて葡萄狩り游悦

<奥山游悦 選>
百日忌寺の案内や雁渡し 越庵
常ならば暑さ連れ去る野分あと茂睡
陽の強き病院の庭秋立ちぬ三甫
虫の音や静かに下りる夜の帳玄舟
夕陽さす塀に足掛け柘榴もぐ三甫

<平山越庵 選>
夕陽さす塀に足掛け柘榴もぐ  三甫
駆け足で来たれ皆待つ秋の風如雨
虫の音や静かに下りる夜の帳玄舟
往けぬ地の銘柄を選り温め酒如雨
城跡の橡の葉擦れや雁渡し如雨

<白石玄舟 選>
温め酒兄の遺愛の素焼皿 游悦
駆け足で来たれ皆待つ秋の風如雨
雨去りて新涼そっと顔を出し柏葉
往けぬ地の銘柄を選り温め酒如雨
城跡の橡の葉擦れや雁渡し如雨




<高点句再掲>
3点 温め酒兄の遺愛の素焼皿 游悦
3点 駆け足で来たれ皆待つ秋の風 如雨
3点 往けぬ地の銘柄を選り温め酒 如雨
3点 雨去りて新涼そっと顔を出し柏葉
3点 虫の音や静かに下りる夜の帳玄舟
2点 夕陽さす塀に足掛け柘榴もぐ 三甫
2点 百日忌寺の案内や雁渡し 越庵
2点 人類のあとは誰の世虫すだく 游悦
2点 青空を指で拡げて葡萄狩り 游悦
2点 陽の強き病院の庭秋立ちぬ三甫
2点 城跡の橡の葉擦れや雁渡し如雨
    1点句 ‥‥ 8句




印は互選で特選に選ばれた句です。(☆☆、☆☆☆は多重特選)

△TOP




きゅうり

第109回句会  

2023年7月28日
兼 題:炎天・合歓の花・「首」(要季語)。当季雑詠。

会員の互選の結果です。選者の配列は俳号の50音順です。(次回以降一人ずつ繰り下げます)

☆ お気づきの点がありましたらご連絡ください ☆


印は特選に選ばれた作品です。
特選以外は原則清記順の記載で、順位ではありません。


<岩渕如雨 選>
炎天が好きと宣ふ仏かな 越庵
首尾問はず飛び入り歓迎夏芝居游悦
縄文の人面土器や蝸牛越庵
炎天や小さき陰に犬静か茂睡
かわせみが砲門の先朝陽浴び三甫

<大立目茂睡 選>
炎天が好きと宣ふ仏かな 越庵
列をなす乙女の首に浮かぶ汗玄舟
四年ぶり炎暑に戻る祭りかな三甫
縄文の人面土器や蝸牛越庵
合歓の葉の眠る(かたへ)に花のゑみ如雨

<奥山游悦 選>
耳鳴りの癒えたるごとく蝉時雨  如雨
連なれる黙祷の日日炎天下如雨
鰻屋に行く気も萎ゆる暑さかな茂睡
縄文の人面土器や蝸牛越庵
かわせみが砲門の先朝陽浴び三甫

<平山越庵 選>
炎天や故山の威容さへふて寝  如雨
蝉鳴かずいのち危ふき暑さかな茂睡
冷酒酌む藍色深き江戸切子游悦
合歓の葉の眠る傍に花のゑみ如雨
かわせみが砲門の先朝陽浴び三甫

<白石玄舟 選>
連なれる黙祷の日日炎天下  如雨
亡き人に頬触れられて合歓の花越庵
冷酒酌む藍色深き江戸切子游悦
炎天や小さき陰に犬静か茂睡
合歓の葉の眠る傍に花のゑみ如雨

<三浦三甫 選>
冷酒酌む藍色深き江戸切子 游悦
連なれる黙祷の日日炎天下如雨
古里の祭囃子を夢に聞く玄舟
新盆や歎異抄聴く人多し越庵
炎天や木陰の球児水補給玄舟





<高点句再掲>
3点 連なれる黙祷の日日炎天下 如雨
3点 冷酒酌む藍色深き江戸切子 游悦
3点 縄文の人面土器や蝸牛越庵
3点 合歓の葉の眠る傍に花のゑみ如雨
3点 かわせみが砲門の先朝陽浴び三甫
2点 炎天が好きと宣ふ仏かな ☆☆越庵
2点 炎天や小さき陰に犬静か茂睡
1点 炎天や故山の威容さへふて寝 如雨
1点 耳鳴りの癒えたるごとく蝉時雨 如雨
    他の1点句 ‥‥ 9句

※ 出句者が少なくなりましたので特選1点句も再掲しました。



印は互選で特選に選ばれた句です。(☆☆、☆☆☆は多重特選)

△TOP




花菖蒲



第108回句会  

2023年5月26日(金)
兼 題:涼風・鈴蘭・「先」(要季語)。当季雑詠。

会員の互選の結果です。選者の配列は俳号の50音順です。(次回以降一人ずつ繰り下げます)


印は特選に選ばれた作品です。
特選以外は原則清記順の記載で、順位ではありません。


<深谷柏葉 選>
五月雨や軒先借りて電話かけ 三甫
涼風に腕を晒して老いを知る游悦
鈴蘭の連なる花に個々の幸越庵
老いらくの無為は愉しみ夕端居如雨
微かなる香り届けて青田風玄舟

<大立目茂睡 選>
思ひ出す顔出ぬ名前風暑し 如雨
涼風に腕を晒して老いを知る游悦
鈴蘭の一粒ごとの気品かな游悦
涼風やカーテン吹かれきてしぼむ如雨
電車過ぐあとを涼風埋めに来る如雨

<奥山游悦 選>
微かなる香り届けて青田風 玄舟
涼風の先へ先へと蝶は舞ひ茂睡
鈴蘭の連なる花に個々の幸越庵
電車過ぐあとを涼風埋めに来る如雨
老いらくの無為は愉しみ夕端居如雨

<平山越庵 選>
涼風の先へ先へと蝶は舞ひ 茂睡
思ひ出す顔出ぬ名前風暑し如雨
先行きは天に任せて夏御輿游悦
暗雨中蟇を轢きたる(やま)しさや茂睡
木下闇樹の根(あらは)に道覆ふ柏葉

<白石玄舟 選>
先行きは天に任せて夏御輿 游悦
思ひ出す顔出ぬ名前風暑し如雨
涼風に腕を晒して老いを知る游悦
鈴蘭の一粒ごとの気品かな游悦
老いらくの無為は愉しみ夕端居如雨

<三浦三甫 選>
菖蒲湯や父の背流す小さき手 玄舟
涼風に腕を晒して老いを知る游悦
岩燕川面掠めて遡上せり柏葉
見るたびに色の濃くなる柿若葉游悦
糸とんぼ風の吹くたび居場所変へ柏葉

<岩渕如雨 選>
涼風に腕を晒して老いを知る 游悦
鈴蘭の一粒ごとの気品かな游悦
鈴蘭の連なる花に個々の幸越庵
鈴蘭の花に託せし我が想ひ玄舟
微かなる香り届けて青田風玄舟




<高点句再掲>
5点 涼風に腕を晒して老いを知る 游悦
3点 思ひ出す顔出ぬ名前風暑し 如雨
3点 微かなる香り届けて青田風 玄舟
3点 鈴蘭の一粒ごとの気品かな游悦
3点 鈴蘭の連なる花に個々の幸越庵
3点 老いらくの無為は愉しみ夕端居如雨
2点 涼風の先へ先へと蝶は舞ひ 茂睡
2点 先行きは天に任せて夏御輿 游悦
2点 電車過ぐあとを涼風埋めに来る如雨
1点 菖蒲湯や父の背流す小さき手 玄舟
1点 五月雨や軒先借りて電話かけ 三甫
    他の1点句 ‥‥ 7句

※ 出句者が少なくなりましたので特選1点句も再掲しました。



印は互選で特選に選ばれた句です。(☆☆、☆☆☆は多重特選)

△TOP




さくら一輪イラスト

第107回句会  

2023年3月24日
兼 題:彼岸・囀・「寛」(要季語)。当季雑詠。

会員の互選の結果です。選者の配列は俳号の50音順です。(次回以降一人ずつ繰り下げます)


印は特選に選ばれた作品です。
特選以外は原則清記順の記載で、順位ではありません。


<大立目茂睡 選>
芽吹かんとする老木の細き枝 游悦
幾年の無沙汰を詫ぶる彼岸かな玄舟
囀や愛の会話を憚らず如雨
囀の擬音似気(にげ)無き夜の駅如雨
行く雲や父往ぬ年齢となる彼岸如雨

<奥山游悦 選>
野遊や今年もまみゆ土佐水木 越庵
風来ればひととき舞ひて枝垂梅如雨
やはらかき土踏み春を得し心地如雨
声抑へ寛解告ぐる木の芽雨茂睡
雨戸繰り空見上ぐれば春の月玄舟

<平山越庵 選>
やはらかき土踏み春を得し心地 如雨
山峡の谷をも揺する春一番柏葉
蝶々の纏はり来たり初彼岸茂睡
春昼も寛ぎのなき戦地かな游悦
酔ひたくて里恋しくて木の芽和え游悦

<白石玄舟 選>
行く雲や父往ぬ年齢となる彼岸 如雨
風来ればひととき舞ひて枝垂梅如雨
囀りや高き樹の陰恋の影柏葉
声抑へ寛解告ぐる木の芽雨茂睡
芽吹かんとする老木の細き枝游悦

<三浦三甫 選>
雨戸繰り空見上ぐれば春の月 玄舟
幾年の無沙汰を詫ぶる彼岸かな玄舟
囀りや高き樹の陰恋の影柏葉
春風やふと口ずさむ「早春賦」玄舟
行く雲や父往ぬ年齢となる彼岸如雨

<岩渕如雨 選>
声抑へ寛解告ぐる木の芽雨 茂睡
囀りや高き樹の陰恋の影柏葉
語り部の指組み祈る空襲忌越庵
芽吹かんとする老木の細き枝游悦
老ゆるとは霞の奥に迷ふこと柏葉

<深谷柏葉 選>
語り部の指組み祈る空襲忌 越庵
春一番追はれて帰る通夜の道茂睡
囀や愛の会話を憚らず如雨
鶯の声も慕はし(はは)の里玄舟
芽吹かんとする老木の細き枝游悦



<高点句再掲>
4点 芽吹かんとする老木の細き枝 游悦
3点 声抑へ寛解告ぐる木の芽雨 茂睡
3点 行く雲や父往ぬ年齢となる彼岸 如雨
3点 囀りや高き樹の陰恋の影柏葉
2点 やはらかき土踏み春を得し心地 如雨
2点 語り部の指組み祈る空襲忌 越庵
2点 雨戸繰り空見上ぐれば春の月 玄舟
2点 風来ればひととき舞ひて枝垂梅如雨
2点 幾年の無沙汰を詫ぶる彼岸かな玄舟
2点 囀や愛の会話を憚らず如雨
1点 野遊や今年もまみゆ土佐水木  越庵
    他の1点句 ‥‥9句

※ 出句者が少なくなりましたので特選1点句も再掲しました。



印は互選で特選に選ばれた句です。(☆☆、☆☆☆は多重特選)
互選数に場外選は含みません。

△TOP




兎2

第106回句会  

2023年1月27日(金)
兼 題:春近し、寒牡丹、笑(要季語)。当季雑詠。

会員の互選の結果です。選者の配列は俳号の50音順です。(次回以降一人ずつ繰り下げます)


印は特選に選ばれた作品です。
特選以外は原則清記順の記載で、順位ではありません。


<奥山游悦 選>
咲き満つも日影さびしき冬ざくら 如雨
微笑みて語る来し方屠蘇の酔如雨
大三角しかと位置取り寒に入る如雨
年ごとに思ひ出細る賀状かな玄舟
風に鳴る新しき絵馬春近し如雨

<平山越庵 選>
雨ありて陽のありて映ゆ寒牡丹 玄舟
どの枝も日の粒浴びて春近し游悦
微笑みて語る来し方屠蘇の酔如雨
大三角しかと位置取り寒に入る如雨
朝練の友待つ少女寒の入り貞風

<白石玄舟 選>
風に鳴る新しき絵馬春近し 如雨
微笑みて語る来し方屠蘇の酔如雨
ぬかづきて声をかけたき寒牡丹游悦
藁苞にそっと顔出す寒牡丹三甫
蒲団干す彼方に富士や春近し茂睡

<三浦三甫 選>
転びし子母を見上げて初笑ひ 如雨
初詣で悴む指をしゃんとさせ柏葉
ぬかづきて声をかけたき寒牡丹游悦
蒲団干す彼方に富士や春近し茂睡
冬ざれの野に残されし薔薇一輪柏葉

<岩渕如雨 選>
知辺なき古里は今雪のなか 玄舟
冬空へ園児の声のありったけ貞風
年ごとに思ひ出細る賀状かな玄舟
春近しニコライ堂の立ち話越庵
受験生太平洋の初明り貞風

<松本貞風 選>
知辺なき古里は今雪のなか 玄舟
池の面に浮かぶ沈黙冬の月柏葉
令夫人膝に掌を添へ冬牡丹越庵
子等の笑む賀状の一家上り坂游悦
身辺の一つ欠けゆく去年今年游悦

<深谷柏葉 選>
藁苞にそっと顔出す寒牡丹 三甫
微笑みて語る来し方屠蘇の酔如雨
知辺なき古里は今雪のなか玄舟
転びし子母を見上げて初笑ひ如雨
風に鳴る新しき絵馬春近し如雨

<大立目茂睡 選>
朝練の友待つ少女寒の入り 貞風
冬空へ園児の声のありったけ貞風
知辺なき古里は今雪のなか玄舟
冬晴れや川面に響く触れ太鼓三甫
子等の笑む賀状の一家上り坂游悦



<高点句再掲>
4点 知辺なき古里は今雪のなか ☆☆玄舟
4点 微笑みて語る来し方屠蘇の酔如雨
3点 風に鳴る新しき絵馬春近し 如雨
2点 藁苞にそっと顔出す寒牡丹 三甫
2点 朝練の友待つ少女寒の入り 貞風
2点 転びし子母を見上げて初笑ひ 如雨
2点 冬空へ園児の声のありったけ貞風
2点 ぬかづきて声をかけたき寒牡丹游悦
2点 大三角しかと位置取り寒に入る如雨
2点 年ごとに思ひ出細る賀状かな玄舟
2点 子等の笑む賀状の一家上り坂游悦
2点 蒲団干す彼方に富士や春近し茂睡
1点 咲き満つも日影さびしき冬ざくら 如雨
1点 雨ありて陽のありて映ゆ寒牡丹 玄舟
    他の1点句 ‥‥ 9句

※ 出句者が少なくなりましたので特選1点句も再掲しています。



印は互選で特選に選ばれた句です。(☆☆、☆☆☆は多重特選。

△TOP




千両2

第105回句会  

2022年11月25日
兼 題::冬日和・枯野・冬木立。当季雑詠。

会員の互選の結果です。選者の配列は俳号の50音順です。(次回以降一人ずつ繰り下げます)


印は特選に選ばれた作品です。
特選以外は原則清記順の記載で、順位ではありません。


<白石玄舟 選>
成らざりし夢数知れず帰り花 如雨
余生とは削ぎ落とすこと冬木立游悦
池の面に浮かぶ沈黙冬の月柏葉
冬ざれや色なき径の延々と柏葉
老の坂事無く過ぎよ冬紅葉如雨

<三浦三甫 選>
冬来る天の営み赤き月 茂睡
老いの身にとりわけ嬉し冬日和游悦
ひとり行く枯野の道の入日かな玄舟
枯野行く太古の風が吹いてをり游悦
冬木立空蒼きほど凛として柏葉

<岩渕如雨 選>
余生とは削ぎ落とすこと冬木立 游悦
酸い蜜柑嫌ひと妻の呉れにけり茂睡
池の面に浮かぶ沈黙冬の月柏葉
年の暮れ延寿の鐘が鳴り響く三甫
今日よりは青空広し冬木立茂睡

<深谷柏葉 選>
縁側の茶飲みに集ふ冬日和 玄舟
老いの身にとりわけ嬉し冬日和游悦
余生とは剥ぎ落とすこと冬木立游悦
日の入りを遮るやうに冬木立玄舟
老の坂事無く過ぎよ冬紅葉如雨

<大立目茂睡 選>
高齢者コートを駈ける冬日和 三甫
ジャンパーの声の飛び交ふ魚市場游悦
枯野行く太古の風が吹いてをり游悦
空広く町並近く冬木立如雨
冬木立空蒼きほど凛として柏葉

<奥山游悦 選>
己が影細く枯野をゆく齢 如雨
冬を待つ我を鍛えし坂の町三甫
冬来る天の営み赤き月茂睡
成らざりし夢数知れず帰り花如雨
冬木立空蒼きほど凛として柏葉



<高点句再掲>
3点 余生とは剥ぎ落とすこと冬木立 游悦
3点 冬木立空蒼きほど凛として柏葉
2点 冬来る天の営み赤き月 茂睡
2点 成らざりし夢数知れず帰り花 如雨
2点 老いの身にとりわけ嬉し冬日和游悦
2点 池の面に浮かぶ沈黙冬の月柏葉
2点 枯野行く太古の風が吹いてをり游悦
2点 老の坂事無く過ぎよ冬紅葉如雨
1点 縁側の茶飲みに集ふ冬日和 玄舟
1点 己が影細く枯野をゆく齢 如雨
1点 高齢者コートを駈ける冬日和 三甫
    他の1点句 ‥‥ 9句

※ 出句者が少なくなりましたので特選1点句も再掲しています。



印は互選で特選に選ばれた句です。(☆☆、☆☆☆は多重特選)

△TOP




案山子


第104回句会  

2022年9月30日(金)
兼 題:新酒・鈴虫・「灯」(要季語)。当季雑詠。

会員の互選の結果です。選者の配列は俳号の50音順です。(次回以降一人ずつ繰り下げます)


印は特選に選ばれた作品です。
特選以外は原則清記順の記載で、順位ではありません。


<三浦三甫 選>
古都の旅思ひ出を酌む今年酒 玄舟
灯台のすつくと立てり秋夕焼游悦
蘊蓄は敢へて語らず新酒注ぐ如雨
老松を労るやうに夜半の月玄舟
気を張りて祭りの太鼓どん!と打つ柏葉

<岩渕如雨 選>
老松を労るやうに夜半の月 玄舟
こほろぎの声凛々と夜の深む柏葉
灯台のすつくと立てり秋夕焼游悦
梅花藻の影を落として水澄めり游悦
道東の旅の終はりに秋刀魚鮨游悦

<松本貞風 選>
秋の夜や思いめぐらす最短詩 三甫
灯火を消して秋思の今日を閉づ如雨
亡き友の想ひに耽る夜長かな玄舟
老松を労るやうに夜半の月玄舟
米寿まで命惜しまむ今年酒如雨

<深谷柏葉 選>
古都の旅思ひ出を酌む今年酒 玄舟
名を問へば「はる」といふ子や秋の暮れ貞風
秋の夜や思ひめぐらす最短詩三甫
蘊蓄は敢へて語らず新酒注ぐ如雨
老松を労るやうに夜半の月玄舟

<大立目茂睡 選>
名月や横顔に見る老い哀し 玄舟
秋涼し鬼城の句あり吉良の寺三甫
こほろぎの声凛々と夜の深む柏葉
灯火を消して秋思の今日を閉づ如雨
梅花藻の影を落として水澄めり游悦

<奥山游悦 選>
机の灯消せば微かに秋時雨 如雨
こほろぎの声凛々と夜の深む柏葉
老松を労るやうに夜半の月玄舟
名月や横顔に見る老い哀し玄舟
米寿まで命惜しまむ今年酒如雨

<白石玄舟 選>
蘊蓄は敢へて語らず新酒注ぐ 如雨
桝満たす木曽の新酒の香りかな游悦
こほろぎの声凛々と夜の深む柏葉
灯火を消して秋思の今日を閉づ如雨
梅花藻の影を落として水澄めり游悦





<高点句再掲>
5点 老松を労るやうに夜半の月 玄舟
4点 こほろぎの声凛々と夜の深む柏葉
3点 蘊蓄は敢へて語らず新酒注ぐ 如雨
3点 灯火を消して秋思の今日を閉づ如雨
3点 梅花藻(ばいかも)の影を落として水澄めり游悦
2点 古都の旅思ひ出を酌む今年酒 ☆☆玄舟
2点 秋の夜や思いめぐらす最短詩 三甫
2点 名月や横顔に見る老い哀し 玄舟
2点 灯台のすつくと立てり秋夕焼游悦
2点 米寿まで命惜しまむ今年酒如雨
1点 机の灯消せば微かに秋時雨 如雨
    他の1点句 ‥‥ 6句

※ 出句者が少なくなりましたので特選1点句も再掲しています。



印は互選で特選に選ばれた句です。(☆☆、☆☆☆は多重特選)

△TOP




きゅうり

第103回句会  

2022年7月29日(金)
兼 題:雲海・登山・「核」(要季語)。当季雑詠。

通信句会と同様に全員事前に投句。

会員の互選の結果です。選者の配列は俳号の50音順です。(次回以降一人ずつ繰り下げます)


印は特選に選ばれた作品です。
特選以外は原則清記順の記載で、順位ではありません。



<岩渕如雨 選>
雲海の切れて渺々北大地 游悦
白茫茫雲海の中濡れそぼち茂睡
雲海に迫る天守や嶽の城柏葉
日盛りの古都の悪夢や銃二発游悦
波の音遠く微かに夜の秋柏葉

<深谷柏葉 選>
風鈴の音が誘ふ子の夢路 玄舟
せせらぎに緑鮮やか時の鐘三甫
動くものただ波ばかり大暑かな如雨
野は灼くる核ほのめかす独裁者游悦
すべからく不要不急よ梅雨籠如雨

<大立目茂睡 選>
日盛りの古都の悪夢や銃二発 游悦
辿り来て山の冷気や瀧の音柏葉
動くものただ波ばかり大暑かな如雨
風鈴の音が誘ふ子の夢路玄舟
原爆忌短き影の祈りかな如雨

<奥山游悦 選>
雲海に捨てたる憂さの待つ下界 如雨
葉隠れに何か覗きし登山みち玄舟
動くものただ波ばかり大暑かな如雨
雲海に迫る天守や嶽の城柏葉
久闊を叙して一献夏座敷玄舟

<白石玄舟 選>
雲海に捨てたる憂さの待つ下界 如雨
雲海の切れて渺々北大地游悦
動くものただ波ばかり大暑かな如雨
波の音遠く微かに夜の秋柏葉
虹消えて残るは窓の老ふたり游悦

<三浦三甫 選>
喚声の絶えざる校庭梅雨晴れ間 柏葉
梅雨明けて蝉声もなく猛暑来る茂睡
ビオロンの音色優しき星月夜柏葉
風鈴の音が誘ふ子の夢路玄舟
久闊を叙して一献夏座敷玄舟



<鈴木蓮囲池 お気に入り句選
動くものただ波ばかり大暑かな 如雨
雲海に捨てたる憂さの待つ下界―〃―
すべからく不要不急よ梅雨籠―〃―
原爆忌短き影の祈りかな―〃―
辿り来て山の冷気や瀧の音柏葉
雲海に迫る天守や嶽の城―〃―
喚声の絶えざる校庭梅雨晴れ間―〃―
まどろめば刈草の香の四囲に満つ茂睡
雲海の切れて渺々北大地游悦
尾根を行く豆つぶのごと登山帽―〃―
野は灼くる核ほのめかす独裁者―〃―
日盛りの古都の悪夢や銃二発―〃―
虹消えて残るは窓の老ふたり―〃―
古里の風の便りに夏見舞玄舟
 
(作者別にまとめ、互選選者掲載順にしました)
今回をもって蓮囲池さんの選は終ります。
長い間お世話になり、御礼申し上げます。ありがとうございました。

< 近  詠 >
麦秋や恵みの沃野は修羅の原蓮囲池
フィフティーンの怒涛のトライ夏盛ん―〃―
滝堕ちて人生不可解の声を聞く―〃―




<高点句再掲>
4点 動くものただ波ばかり大暑かな如雨
3点 風鈴の音が誘ふ子の夢路 玄舟
2点 雲海に捨てたる憂さの待つ下界 ☆☆如雨
2点 雲海の切れて渺々北大地 游悦
2点 日盛りの古都の悪夢や銃二発 游悦
2点 雲海に迫る天守や嶽の城柏葉
2点 久闊を叙して一献夏座敷玄舟
2点 波の音遠く微かに夜の秋柏葉
1点 喚声の絶えざる校庭梅雨晴れ間 柏葉
    他の1点句 ‥‥10句

※ 出句者が少なくなりましたので特選1点句も再掲しました。



印は互選で特選に選ばれた句です。(☆☆、☆☆☆は多重特選)
互選数に場外選は含みません。

△TOP




花菖蒲



第102回句会  

2022年5月27日(金)
兼 題:走り梅雨・新緑・若(要季語)。当季雑詠。

通信句会と同様に全員事前に投句。

会員の互選の結果です。選者の配列は俳号の50音順です。(次回以降一人ずつ繰り下げます)


印は特選に選ばれた作品です。
特選以外は原則清記順の記載で、順位ではありません。


<松本貞風 選>
いつさいを広き青田に忘れけり 如雨
走り梅雨そんなに早く来なくても柏葉
麦秋の川辺散歩にサイレンが三甫
戦火あと民の慟哭聖五月游悦
初夏の古都鎌倉殿に導かれ玄舟

<深谷柏葉 選>
命ある虫曳く蟻のたぢろがず 如雨
砲声の熄まざる大地緑さす茂睡
戦火あと民の慟哭聖五月游悦
六法に若き我の字沖縄忌如雨
新緑に光る白壁過疎の村三甫

<大立目茂睡 選>
命ある虫曳く蟻のたぢろがず 如雨
いつさいを広き青田に忘れけり如雨
夏きざす幼き日々と妣の笑み玄舟
若葉マークおづおづ右折走り梅雨如雨
五月晴れ紫の花七種摘む貞風

<奥山游悦 選>
砲声の熄まざる大地緑さす 茂睡
いつさいを広き青田に忘れけり如雨
青嵐吊り橋にある人の影柏葉
六法に若き我の字沖縄忌如雨
若葉マークおづおづ右折走り梅雨如雨

<白石玄舟 選>
砲声の熄まざる大地緑さす 茂睡
柿若葉空の蒼さを身に纏ひ柏葉
命ある虫曳く蟻のたぢろがず如雨
戦火あと民の慟哭聖五月游悦
新緑に光る白壁過疎の村三甫

<三浦三甫 選>
命ある虫曳く蟻のたぢろがず 如雨
訪れし古都も慌てる走り梅雨玄舟
寝ころぶや新緑の野は僕のもの游悦
雨滂沱紫陽花の花時を得て柏葉
若葉マークおづおづ右折走り梅雨如雨

<岩渕如雨 選>
老若はわずかな差なり雲の峰 游悦
砲声の熄まざる大地緑なす茂睡
青嵐吊り橋にある人の影柏葉
戦火あと民の慟哭聖五月游悦
新緑に光る白壁過疎の村三甫


<鈴木蓮囲池 お気に入り句選
休まずに働く農婦子供の日貞風
五月晴れ紫の花七種摘む―〃―
青嵐吊り橋にある人の影柏葉
雨滂沱紫陽花の花時を得て―〃―
砲声の熄まざる大地緑さす茂睡
戦火あと民の慟哭聖五月游悦
泥流も果てて浄らな水芭蕉―〃―
新緑を訪ね出で湯のひとり旅玄舟
行く春や愛書繙く若さ失す―〃―
初夏の古都鎌倉殿に導かれ―〃―
新緑に光る白壁過疎の村三甫
命ある虫曳く蟻のたぢろがず如雨
人忙し薄暮の駅の走り梅雨―〃―
六法に若き我の字沖縄忌―〃―
若葉マークおづおづ右折走り梅雨―〃―
 
(作者別にまとめ、互選選者掲載順にしました)

< 近  詠 >
開帳の本尊薄暑の世を照らす蓮囲池
童心に帰る堤のつくしんぼ―〃―
父の日や灘一本に数珠を揉み―〃―



<高点句再掲>
4点 命ある虫曳く蟻のたぢろがず ☆☆☆如雨
4点 砲声の熄まざる大地緑さす ☆☆茂睡
4点 戦火あと民の慟哭聖五月游悦
3点 いつさいを広き青田に忘れけり 如雨
3点 若葉マークおづおづ右折走り梅雨如雨
3点 新緑に光る白壁過疎の村三甫
2点 青嵐吊り橋にある人の影柏葉
2点 六法に若き我の字沖縄忌如雨
1点 老若はわずかな差なり雲の峰 游悦
    他の1点句 ‥‥ 9句


※ 出句者が少なくなりましたので特選1点句も再掲しています。




印は互選で特選に選ばれた句です。(☆☆、☆☆☆は多重特選)
互選数に場外選は含みません。

△TOP




さくらイラスト


第101回句会  

2022年3月25日(金)
兼 題:春の宵・燕・「笑」(要季語)。当季雑詠。

通信句会と同様に全員事前に投句。

会員の互選の結果です。選者の配列は俳号の50音順です。
(次回以降一人ずつ繰り下げます)


印は特選に選ばれた作品です。
「高点句再掲」を含め、特選以外は原則清記順の記載で、順位ではありません。


<深谷柏葉 選>
春の宵はるか流浪の民想ふ  游悦
春眠を咎むるもなき八十路かな茂睡
春宵の明りほのかや火灯窓(くわ(か) とうまど)如雨
石仏の苔も柔らに春の雨玄舟
訪ひに香りふくらむ沈丁花玄舟

<大立目茂睡 選>
衣擦れと雛の笑むこゑ夢うつつ  游悦
ウクライナ同じ月見え春の風三甫
春宵の明りほのかや火灯窓如雨
春陽浴び園児待つ間の笑い声三甫
連翹の一枝丸く垣の外如雨

<奥山游悦 選>
笑ひ皴刻みしひとや月朧  茂睡
学び舎の面影残す老い桜柏葉
石仏の苔も柔らに春の雨玄舟
訪ひに香りふくらむ沈丁花玄舟
春陽浴び園児待つ間の笑い声三甫

<白石玄舟 選>
春の宵はるか流浪の民想ふ  游悦
春宵の明りほのかや火灯窓(かとうまど)如雨
閉店の軒に主待つ燕の巣茂睡
月影に愛でられ淡し春燈如雨
花曇り散るには早き日暮れかな柏葉

<三浦三甫 選>
絵馬掛くる児に幸あれと梅匂ふ  玄舟
閉店の軒に主待つ燕の巣茂睡
学び舎の面影残す老い桜柏葉
赤ワイン妻にも勧む春の宵茂睡
春の宵はるか流浪の民想ふ游悦

<岩渕如雨 選>
石仏の苔も柔らに春の雨  玄舟
思ひ出を携へて行く京の春玄舟
閉店の軒に主待つ燕の巣茂睡
ときに荒れときに沈黙春の海柏葉
露を悪みオデッサワイン抜く春寒し茂睡

・貞 風、柏 葉、如 雨は欠席出句です。


<鈴木蓮囲池 お気に入り句選
学び舎の面影残す老い桜柏葉
春眠を咎むるもなき八十路かな茂睡
閉店の軒に主待つ燕の巣―〃―
赤ワイン妻にも勧む春の宵―〃―
知床の番屋に迫る斑雪山游悦
義理がたく三陸に来る初燕―〃―
春の宵はるか流浪の民想ふ―〃―
絵馬掛くる児に幸あれと梅匂ふ玄舟
石仏の苔も柔らに春の雨―〃―
春宵の明りほのかや火灯窓如雨

(作者別にまとめ、互選選者掲載順にしました)

< 近  詠 >
たんぽぽの小径童謡の近づき来蓮囲池
万葉歌口ずさみつつ草を摘む―〃―
草青む蛇笏龍太の谷問に―〃―




<高点句再掲>
3点 春の宵はるか流浪の民想ふ ☆☆游悦
3点 石仏の苔も柔らに春の雨 玄舟
3点 春宵の明りほのかや火灯窓(かとうまど)如雨
3点 閉店の軒に主待つ燕の巣茂睡
2点 学び舎の面影残す老い桜柏葉
2点 訪ひに香りふくらむ沈丁花玄舟
2点 春陽浴び園児待つ間の笑い声三甫
1点 絵馬掛くる児に幸あれと梅匂ふ 玄舟
1点 笑ひ皴刻みしひとや月朧 茂睡
1点 衣擦れと雛の笑むこゑ夢うつつ 游悦
       他の1点句 ‥‥ 9句

※ 出句者が少なくなりましたので特選1点句も再掲しました。



印は互選で特選に選ばれた句です。(☆☆、☆☆☆は多重特選)
互選数に場外選は含みません。

△TOP




寅張り子


第100回句会  

2022年1月28日(金)
兼 題:湯ざめ、初句会、白菜。当季雑詠。

会員の互選の結果です。選者の配列は俳号の50音順です。
(次回以降一人ずつ繰り下げます)


印は特選に選ばれた作品です。
「高点句再掲」を含め、特選以外は原則清記順の記載で、順位ではありません。


<大立目茂睡 選>
湯冷めする己が体のおそろしき 游悦
老いしとも未だとも覚ゆ屠蘇の酔如雨
初詣絶えて久しい下駄の音三甫
剥ぐほどに白菜の肌真白なる如雨
去年今年あと幾年を生くるとぞ游悦

<奥山游悦 選>
老いしとも未だとも覚ゆ屠蘇の酔 如雨
強風に耐へて身を張る冬薔薇(ふゆさうび)柏葉
剥ぐほどに白菜の肌真白なる如雨
中天にオリオンありて湯ざめかな如雨
パッティング洟水垂るる寒さかな茂睡

<白石玄舟 選>
凍て星の満天に散る過疎の里 柏葉
冬籠広辞苑繰る無聊かな如雨
息災がうれし八十路の初句会游悦
初詣絶えて久しい下駄の音三甫
湯豆腐の湯気にゆらめく夕明かり游悦

<三浦三甫 選>
息災がうれし八十路の初句会 游悦
老いしとも未だとも覚ゆ屠蘇の酔如雨
年新た安寧祈る寅土鈴玄舟
凍て星の満天に散る過疎の里柏葉
ひとときの読書に耽る湯ざめかな玄舟

<岩渕如雨 選>
九つの押し競まんじゅう滑り台  貞風
息災がうれし八十路の初句会游悦
年新た安寧祈る寅土鈴玄舟
音階はソの音ばかり跳ね落葉貞風
湯豆腐の湯気のゆらめく夕明かり游悦

<松本貞風 選>
初詣絶えて久しい下駄の音 三甫
老いしとも未だとも覚ゆ屠蘇の酔如雨
息災がうれし八十路の初句会游悦
いつの間に倅立派に鍋奉行茂睡
間合ひとり集ふ笑顔の初句会玄舟

<深谷柏葉 選>
湯豆腐の湯気のゆらめく夕明かり 游悦
息災がうれし八十路の初句会游悦
初写真子らの笑顔に希望あり三甫
剥くほどに白菜の肌真白なる如雨
音階はソの音ばかり跳ね落葉貞風

<鈴木蓮囲池 お気に入り句選
息災がうれし八十路の初句会游悦
真二つに白菜割れば芯燦々―〃―
湯豆腐の湯気のゆらめく夕明かり―〃―
間合ひとり集ふ笑顔の初句会玄舟
年新た安寧祈る寅土鈴―〃―
白き山雲に抱かるる眠りかな―〃―
初詣絶えて久しい下駄の音三甫
老いしとも未だとも覚ゆ屠蘇の酔如雨
冬籠広辞苑繰る無聊かな―〃―
剥ぐほどに白菜の肌真白なる―〃―
中天にオリオンありて湯ざめかな―〃―
白菜を割れば幅狭等圧線―〃―
白菜の皆縛られて身動がず貞風
庭木立枝に雪負ふ明けの空柏葉
強風に耐へて身を張る冬薔薇―〃―
凍て星の満天に散る過疎の里―〃―
けふの幸あすに繋げる寒夕焼―〃―
 
(互選選者掲載順に、作者別にまとめしました。)

< 近  詠 >
おでん鍋熱つあつ父の武勇伝蓮囲池
喜々として孫を相手の三が日―〃―
朝摘みの青さ目に沁む薺粥(なづながゆ)―〃―
  



<高点句再掲>
5点 息災がうれし八十路の初句会 游悦
4点 老いしとも未だとも覚ゆ屠蘇の酔 如雨
3点 初詣絶えて久しい下駄の音 三甫
3点 湯豆腐の湯気のゆらめく夕明かり 游悦
3点 剥くほどに白菜の肌真白なる如雨
2点 凍て星の満天に散る過疎の里 柏葉
2点 年新た安寧祈る寅土鈴玄舟
2点 音階はソの音ばかり跳ね落葉貞風
1点 湯冷めする己が体のおそろしき 游悦
1点 九つの押し競まんじゅう滑り台 貞風
    他の1点句 ‥‥ 9句

※ 出句者が少なくなりましたので特選1点句も再掲しました。



印は互選で特選に選ばれた句です。(☆☆、☆☆☆は多重特選)
互選数に場外選は含みません。

△TOP



これまでの例会の開催日、兼題等は「開催記録」にまとめてあります。





         

<  会      員  >

谿 聲けいせい村上 幹也
 (主宰)
2022年11月17日、お亡くなりになりました。
ご冥福をお祈り申し上げます。
玄 舟
げんしゅう
白石 紀彦 三 甫さんぽ三浦 器允 如 雨じょう岩渕 上
貞 風ていふう松本 貞 柏 葉はくよう深谷 武 茂 睡もすい大立目 茂
游 悦ゆうえつ奥山 興悦 越 庵えつあん平山 隆一 ‥‥‥‥‥‥

<長 期 休 会>
竹 風ちくふう加賀美 一 仲 安ちゅうあん中野 安弘 弁 慶べんけい武蔵 好彦
蓮囲池れんいち鈴木 練一  

(俳号50音順)

        
<物 故 会 員>   ご冥福をお祈り申し上げます。
修 人しゅうじん小川 修 '12年3月逝去 竹 林ちくりん内山 武司 '16年8月11日逝去
興 山こうざん伊東 興三'16年9月9日逝去 幸 風こうふう小林 幸司 '18年2月17日逝去
啓 窓けいそう高橋 啓悟'18年5月12日逝去 三鬼堂さんきどう合田 俊知'23年3月24日逝去


△TOP