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第9回句会
2006年11月24日(金) 於 :学士会館
兼題:達磨忌・ばった・大根引(大根)・柿・冬構
谿 聲 主 宰 選。 上段が特選、中段が佳作です。
大根引く大地あらがふこともなく | 如雨 |
<主宰評> 大根引きは全身をかけてやっと成功することもあれぱ、肥えた土地で簡単な場合もありそうだ。 | |
元禄の科白悲しき冬芝居 | 俊知 |
<主宰評> この冬芝居は冬十二月の顔見世の流れを指しているのであろう。人気のある芝居は科白が決め手のようである。 | |
冬構疎林の中の山家かな | 修人 |
<主宰評> 営々と山畑を耕して代々を生き抜いてきた家の冬構の様子が想像される。 | |
嶺の雪仰ぎ見急ぐ冬構 ☆ | 興山 |
<主宰評> 「嶺の雪」が気になることはなるが(季重ね)、冬構の動機としてはしっかりと詠まれた作品である。 | |
冬構十戸の村の息づかい ☆ | 蓮囲池 |
<主宰評> 牧歌的な雰囲気の残る「ふるさと日本」の、冬に備える雰囲気を「息づかい」とは見事な表現です。 | |
身を晒すばつたの羽化ははばからず | 貞風 |
<主宰評> 自然の情景や虫の営みをよく観察して、驚きとか不思義とかの心の助きを一句にしたてあげた。私はバッタの羽化するところを見たことがないが、面白い出会いである。 | |
玉座より飛蝗とび立つ草の国 | 隆一 |
<主宰評> 上五の玉座との措辞が下五の草の国とうまく連動している。 | |
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岩風呂の一灯点り森冷ゆる ☆ | 如雨 |
柿の実のみな残りをり昼雨戸 ☆ | -〃- |
大根を引く影長し粗莚 | -〃- |
城跡に日のまつたしやばつた飛ぶ ☆ | 修人 |
護摩焚ける薬王院の山紅葉 | -〃- |
大き手の「考える人」達磨の忌 | -〃- |
山小屋の冬眠告ぐる釘の音 | 弁慶 |
雨水の石打つ音や達磨の忌 | 俊知 |
山茶花を簪にしたり小唄塚 | -〃- |
柿茜鎌倉古道暮れ残る ☆ | 蓮囲池 |
消息のなきことがよし柿をむく | -〃- |
冬構人任せなり竹梯子 | 隆一 |
ばつた追う子らの顔面に夕日映え | 仲安 |
<特 別 参 加> | |
バツタ跳ぶ笛吹川の戦跡 | 遥女 |
磨ぎ汁を植木に残し夜半の月 | -〃- |
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<互選高点句・特選句よ り> | |
4点 冬構十戸の村の息づかい | 蓮囲池 |
4点 岩風呂の一灯点り森冷ゆる | 如雨 |
3点 柿の実のみな残りをり昼雨戸 | ―〃― |
3点 達磨忌やにはか信徒の普茶料理 | 谿聲 |
1点 願ひごと達磨とともに消えされり ☆ | 仲安 |
(1,2点句は互選特選となったのみ載せています。) |
上段が特選、次段が佳作、下段が互選句です。
☆印は互選で特選に選ばれたものです。(☆☆、☆☆☆は多重選)
主 宰 吟 村 上 谿 聲 |
毛の国は風を旨とし冬構 |
柿剥いて無聊をかこつ雨夜かな |
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第8回句会
2006年9月22日(金) 於 :学士会館
兼題:中元・台風・迎(送)火・
蜩・槿
'06年8月5日開催の『櫻草』同人会総会で、
岩渕如雨さんと小川修人さんがが同人に推挙されました。
谿 聲 主 宰 選。 上段が特選、中段が佳作です。
かなかなや宿題の山減りもせず | 蓮囲池 |
かなかなの鳴きだすのは、夏休も終りのころ、残る宿題の山に焦っているのは親ばかりなのであろう。 | |
絵日記の日々おとなびて花木槿 | -〃- |
幼かった子供がどんどん成長して行くに連れて、絵日記にも変化があったことに気づいたのである。 | |
噂して中元の麺すすりけり | -〃- |
あの人のことこの人のことと噂しながら素麺を啜る。若かりし日には想像もつかなかったことである。 | |
かなかなの高音競ひて暮れにけり ☆ | 修人 |
ひぐらし独特の鳴声と時間帯の特徴をしっかり捉えている。 | |
"立山"を常温で飲み霊送り | 隆一 |
日本アルプスを遠望して生まれ育ったふるさとのこと、先祖のことを酒を通して回顧するのも人生だ。 | |
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入谷より短冊つけてお中元 | 修人 |
台風の逸れて目覚めのででつぽう | -〃- |
人の世に迷ひつゞけて鰯雲 ☆☆ | 仲安 |
父の影若き日のまま門火焚く ☆ | 蓮囲池 |
道の辺の木槿にひかれ名馬塚 | 隆一 |
迎火に仏来たるらし夕の膳 | 俊知 |
台風やゐる處あり預け猪口 ☆ | 如雨 |
如何にして登り来らん抜け殻ぞ ☆ | 武司 |
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中元も二三となりて齢知る | 貞風 |
ひぐらしの声深まりし寺家の森 ☆ | 興山 |
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<互選高点句・特選句よ り> | |
4点 人の世に迷ひつゞけて鰯雲 | 仲安 |
4点 父の影若き日のまま門火焚く | 蓮囲池 |
3点 噂して中元の麺すすりけり | -〃- |
3点 ひぐらしの声深まりし寺家の森 | 興山 |
3点 野分過ぐ林檎の落ちて畑を染む | 俊知 |
(2点句は互選特選となったのみ載せています。) |
上段が特選、次段が佳作、下段が互選句です。
☆印は互選で特選に選ばれたものです。(☆☆、☆☆☆は多重選)
主 宰 吟 村 上 谿 聲 |
底紅のゆかしく映えて白木槿 |
馬追ひの儚く縋るうすみどり |
職退いて女房任せやお中元 |
△TOP

第7回句会
2006年7月28日(金) 於 :学士会館
兼題:夏の波・清水・閑古鳥・滝・蛍
谿 聲 主 宰 選。 上段が特選、中段が佳作です。
夏草を除けて確かむ歌碑の陰 | 如雨 |
流木や千里連なる夏の波 | -〃- |
一本の流木から千里連なる海の先を連想するとは、まさに椰子の実の藤村の詩情に 通じている。 | |
郭公の声やみ貨物列車来る | -〃- |
砂山を築けどさらふ夏の波 | 武司 |
昔、童謡を歌った記憶と、海での実体験とが綯い交ぜになっていて、共感を覚える 。 | |
薮中の小滝の虫にヤマメ飛ぶ ☆ | -〃- |
山女や岩魚は餌である昆虫類を空中捕獲する業を持つ。下五は「飛ぶ山女」として も良い。 | |
紺碧のマルタの海や夏の波 ☆ | 興山 |
名句が出来てイタリア旅行の思い出が蘇り、費用も若干回収されたと言う気分。 | |
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郭公の木霊となりぬ奥の院 ☆ | 修人 |
羽衣の滝うるはしく荒ぶれり | -〃- |
老鴬や旧友集ふ鬼城庵 | -〃- |
ゆらゆらとわが顔映る清水かな | -〃- |
供ふれば遺影微笑む麦の秋 | 遥女 |
夏の波浜昼顔に翳りなし | -〃- |
蛍火や愛蔵の書に憶への字 | -〃- |
山裾の小さき画廊夏椿 | -〃- |
最上川芭蕉拝みし糸の滝 | 弁慶 |
山清水旅路を重ねここにあり | -〃- |
蒼天に郭公の声澄みわたる | -〃- |
滝に立つ己小さきナイアガラ ☆ | 蓮囲池 |
朝市に旬を拾ひつ半夏生 | -〃- |
清水汲んで山気を点てる野点かな | -〃- |
放物線双曲線の蛍かな | -〃- |
閑古鳥下界は藁を焼く煙 | 貞風 |
何食わぬ蝉の合唱原爆忌 | -〃- |
結果待つ待合室の団扇急く | 仲安 |
入魂の墨清清し白絣 | 隆一 |
浮草の憂きこともなし夏の波 | 俊知 |
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<互選特選句より> | |
群青の海を溶かして夏の波 ☆☆ | 俊知 |
上段が特選、次段が佳作、下段が互選句です。
☆印は互選で特選に選ばれたものです。(☆☆、☆☆☆は多重選)
主 宰 吟 村 上 谿 聲 |
葉変は神の御業か半夏生 ☆☆ |
合宿の朝のしじまを閑古鳥 |
瀧涼し昔悲恋の物語 |
湖の闇より木々へ舞ふ蛍 |
滾々 |
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第6回句会
2006年5月26日(金) 於 :鬼城草庵
兼題:海棠・夏めく・
山女・祭
谿 聲 主 宰 選。 上段が特選、中段が佳作です。
緩る緩ると初夏の旅する八高線 | 修人 |
川べりに露天の出湯山女釣 | -〃- |
篠の子の指したる天の広さかな | 如雨 |
夏めくや山椒味噌を添ふ朝餉 | -〃- |
夏めいて兜の軸に祖父思ふ | 隆一 |
湯女の碑の若葉にこもり名も知れず | 貞風 |
雲に乗り子連れ雷神過ぎ行きぬ | 俊知 |
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それぞれの川の色持つ山女かな | 弁慶 |
串にさす掌に官能の山女かな | -〃- |
下山して川原の声の夏めきぬ | 貞風 |
うんちくを聞き惚れかじる山女かな | -〃- |
ぶらんこの若葉に届け靴飛ばし | -〃- |
母の日の母と居るとき温きかな | 青郎 |
山道の意外に近し雪解沼 | -〃- |
夏めくや駅が吐き出す羊群 | 蓮囲池 |
海棠に帰らぬ日々のありにけり | -〃- |
浮子一点山女の谷に入魂す | -〃- |
胸元に水晶一珠夏めける | -〃- |
鼻化粧稚子は祭に育つなり | -〃- |
浅草に飲みて日跨ぐ啄木忌 | 如雨 |
降り立てばすでに祭のなかにをり | -〃- |
連翹の枝ためらはず越境す | -〃- |
手術後の祝ひの膳に初鰹 | 仲安 |
山深しランプの下で山女焼く | -〃- |
亡き妻と孫連れてきし夏祭 | 武司 |
花突く目白の番隠れをり | -〃- |
苺摘む幼子吾を振り返る | 修人 |
旨さうな屋台に並ぶ祭かな | -〃- |
登り着く村社拝殿昼蛙 | 隆一 |
山門の奥に海棠花明かり | -〃- |
八重桜散りたる後も花むしろ | 竹風 |
上段が特選、次段が佳作です。
主 宰 吟 村 上 谿 聲 |
無愛想な苗売りにして頼みあり |
少年の山女掬ひし清流よ |
海棠や夢二の女想はせて |
木鐸の名こそ惜しみぬ桐の花 |
※ 「櫻草」2006年5・6月號(第101号)に特別参加の坂口青郎氏による
当句会の紹介記事が掲載されました。

第5回句会
2006年3月23日(木) 於 :学士会館
兼題:雪解・春の風邪・雉・雛・桃の花
谿 聲 主 宰 選。 上段が特選、中段が佳作です。
炭鉱の消えし空知や雪解川 | 修人 |
ふくろうの餌場ひろげし雪解かな | 俊知 |
三日後は桃花と笑むや紺がすり | 如雨 |
雪解やごうごうとして岸を食む | 蓮囲池 |
老いに耐え片目の雉の立ち居たり | -〃- |
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読みさしの厚き本憂し春の風邪 | 如雨 |
スカートの短き街や雪解けぬ | -〃- |
南無飯縄大権現や春の風邪 | 修人 |
雛まつり今年も嫁ぐこともなく | 貞風 |
雉の鳴くたきぎ拾いのなほ淋し | -〃- |
雪解水有磯海の幸運ぶ | 隆一 |
いさかいて睦みて姉妹雛祭 | 蓮囲池 |
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春分に鐘打つ子等の声はずむ | 武司 |
義貞が剣投げし崎春の波 | 弁慶 |
上段が特選、次段が佳作です。
主 宰 吟 村 上 谿 聲 |
山裾の無住寺の句碑桃の花 |
あなどりて朝までテレビ春の風邪 |
△TOP

第4回句会
2006年1月27日(金) 於 :学士会館
兼題:元旦・初日・初夢・初空・初便・書初・どんど等 新
年雑詠
谿 聲 主 宰 選。 上段が特選、中段が佳作です。
子規の里明治の雪もこんな雪 | 貞風 |
一匹とひとりと祝ふ雑煮かな | 俊知 |
静の舞このあたりかと初詣 | -〃- |
破魔矢手に贔屓見てゐる桟敷かな | -〃- |
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初鴉広き歩道をまた戻り | 如雨 |
箏の音ややはらに残る去年の酔ひ | -〃- |
初あかり物憂き年齢になりにけり | -〃- |
戌年に犬も着飾る初日かな | 弁慶 |
お正月乗る子ねだる子肩車 | 貞風 |
初便り天竺僧の願ひごと | 隆一 |
書初や天神様の軸の前 | -〃- |
古稀という塚に至れり松飾 | 蓮囲池 |
初雪に鉢植の枇杷傾きぬ | 武司 |
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どんど焼関西弁の孫も行く | 修人 |
小春日の陽を背に受けてうたたねす | 仲安 |
上段が特選、次段が佳作です。
主 宰 吟 村 上 谿 聲 |
若水やまだほの暗き庭稲荷 |
振りかぶり土打ち毀つ鋤始 |
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第3回句会
2005年11月22日(火) 於 :学士会館
兼題:七五三・初霜・達磨忌・茶の花・泥鰭掘る
谿 聲 主 宰 の 選 で す。
はつしもを長靴でふむ幼き日 | 弁慶 |
捨て去りし古里や今お茶の花 | 貞風 |
泥鰭掘る心も変る世も変る | -〃- |
ファミレスの客に祝はれ七五三 | 隆一 |
玄奘の学びし基壇冬温し | -〃- |
達磨忌や雪舟筆の目を思ふ | -〃- |
母の背で何の夢見る七五三 | 仲安 |
茶の花に触れ合ふ肩の二人かな | 蓮囲池 |
幾代の暖簾に生きて七五三 | -〃- |
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<主 宰 吟> | |
主人亡き茶の花垣や昼の閑 | 谿聲 |
裏ん川と呼びし用水泥鰭掘る | -〃- |
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第2回句会
2005年9月22日(木) 於 :学士会館
兼題:野分・萩・秋の蛇(穴惑)
主 宰 谿 聲 の 選 で す。
名月や孫に聴かせる本生譚 | 隆一 |
娑婆気か娑婆塞ぎかや穴惑 | -〃- |
鶏鳴や暗雲裂きて野分呼ぶ | -〃- |
萩一枝添へてわが家の月見かな | 仲安 |
湯くもりを拭けばみちのく萩の花 | 貞風 |
若き日の淡き心や萩の花 | 弁慶 |
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法師蝉己が出番を知つてをり | 谿聲 |
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第1回句会
2005年7月4日(月) 於 :学士会館
兼題:青田・雷・含羞草(
谿 聲 主 宰 の 選 で す。
房総の海に押し出す青田風 | 蓮囲池 |
含羞草愚直貫く生なりき | -〃- |
遠耳の母のつぶやき日雷 | -〃- |
雷や子犬とびこむ腕の中 | 幸風 |
段丘の青田の先に父居ます | 隆一 |
ふるさとは水旨くして青田かな | 俊知 |
遠雷やコード抜くべき抜かぬべき | 貞風 |
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頑なに青田見張りて小百姓 | 谿聲 |
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< 会 員 > | |||||
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谿 聲 : | 村上 幹也・ (主宰) |
蓮囲池 : | 鈴木 錬一・ | ||
幸 風 : | 小林 幸司・ | 隆 一 : | 平山 隆一・ | ||
俊 知: | 合田 俊知・ (「櫻草」同人) | 貞 風 : | 松本 貞・ | ||
仲 安 : | 中野 安弘・ | 弁 慶 : | 武蔵 好彦・ | ||
如 雨 : | 岩渕 上 | 武 司 : | 内山 武司 | ||
修 人 : | 小川 修 | 竹 風 : | 加賀美 一 | ||
興 山 : | 伊東 興三 | 青 郎 : | 坂口 二郎 (客人)(「櫻草」同人) | ||
遥 女 : | 小松 洋子 (客人) |
三 甫 : | 三浦 器允 | ||
郁 子 : | 村上 郁子 (客人)(「櫻草」同人) |
啓 窓 : | 高橋 啓悟 | ||
游 悦 : | 奥山 興悦 | ・・ | :・・ | ||
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