宮城野萩の校章

東北大鬼城句会例会記録Ⅴ

村 上 谿 聲 主 宰 の 同 窓 句 会 例 会

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千両2

第51回句会

2013年11月22日(金)  於 :学士会館
兼 題:無月、栗飯、暮の秋、鷹、炎(要季語)。当季雑詠。

会員の互選の結果です。選者の配列順は俳号の50音順です。
  (次回以降一人ずつ繰り下げます)


印は特選に選ばれた作品です。
特選以外は原則清記順の記載で、順位ではありません。


作者未詳の句があります。お気づきの方はお知らせください。


<武蔵弁慶 選>
切り貼りの障子に夕日暮の秋 仲安
鷹の目は一点鋭く檻の中仲安
紅葉見て恋の炎を燃やすかも三甫
立山へ鷹の飛び立つ館跡越庵
先見えぬ世に据えたしや鷹の目を興山

<奥山游悦 選>
弔いて夜道を急ぐ無月かな 仲安
薪能炎に火照る寒稽古興山
山の端に無月寂しき鳴子郷竹林
菊を焚く千切れ炎の香を生みて如雨
明日を恃み佳酒をとりおく無月かな如雨

<伊東興山 選>
山の端に無月寂しき鳴子郷 竹林
吟詠の声透き通る無月かな游悦
去年の今雨月に酌みぬ月見酒幸風
不具合は不具合のまま暮の秋如雨
紅葉見て恋の炎を燃やすかも三甫

<小林幸風 選>
兎追うモンゴル大地鷹かける 竹林
切り貼りの障子に夕日暮の秋仲安
立山へ鷹の飛び立つ館跡越庵
護国寺の甍の錆や暮の秋游悦
先見えぬ世に据えたしや鷹の目を興山

<三浦三甫 選>
闘将の炎の勝利文化の日 貞風
鷹の目は一点鋭く檻の中仲安
会津への旅の始まり栗ご飯貞風
護国寺の甍の錆や暮の秋游悦
海人の灯の大きく見えし無月かな柏葉

<内山竹林 選>
曼珠沙華炎のごとく咲き闌けり 柏葉
吟詠の声透き通る無月かな游悦
薪能炎に火照る寒稽古興山
三陸を俯瞰せんとて鷹飛べり游悦
沈黙の眼に炎燃ゆ雪女郎游悦

<中野仲安 選>
菊を焚く千切れ炎の香を生みて 如雨
落ちもせず腐りもせずに烏瓜柏葉
三陸を俯瞰せんとて鷹飛べり游悦
沈黙の眼に炎燃ゆ雪女郎游悦
路歩く一息の間や暮の秋幸風

<松本貞風 選>
生きるとは羽ばたくことか鷹渡る 弁慶
切り貼りの障子に夕日暮の秋仲安
落ちもせず腐りもせずに烏瓜柏葉
弔いて夜道を急ぐ無月かな仲安
護国寺の甍の錆や暮の秋游悦

<深谷柏葉 選>
立山へ鷹の飛び立つ館跡 越庵
会津への旅の始まり栗ご飯貞風
栗飯をお裾分けよと声ひそめ仲安
新藁を燃してはかない炎かな弁慶
不具合は不具合のまま暮の秋如雨


<平山越庵 場外選
吟詠の声透き通る無月かな 游悦
落ちもせず腐りもせずに烏瓜柏葉
炎消し宮還る伊勢秋の闇未詳
新藁を燃してはかない炎かな弁慶
路歩く一息の間や暮の秋幸風
  (越庵さんは欠席投句です)

<岩渕如雨 場外選
落ちもせず腐りもせずに烏瓜柏葉
炎消し宮うつる伊勢秋の闇未詳
新藁を燃してはかない炎かな弁慶
護国寺の瓦の錆や暮の秋游悦
海人の灯の大きく見えし無月かな柏葉
  (如雨さんは欠席投句です)

< 鈴木蓮囲池 場外選
会津への旅の始まり栗ご飯  貞風
俯瞰せり綾なす秋の黒部ダム 未詳
能登までの海青々と昼焚火越庵
弔いて夜道を急ぐ無月かな仲安
立山へ鷹の飛び立つ館跡越庵
明日を恃み佳酒をとりおく無月かな如雨
護国寺の甍の錆や暮の秋游悦
海人の灯の大きく見えし無月かな柏葉

< 近  詠 >
金木犀武田の香りと偲びけり蓮囲池
烏瓜信玄館に朱を急ぐ―〃―
古舘の葎深々ちちろ鳴く―〃―
武士もののふの御霊は信濃神の留守―〃―
木の実落つ小波さざなみ二つ輪を結び―〃―




<互選句まとめ>
4点 落ちもせず腐りもせずに烏瓜柏葉
4点 護国寺の甍の錆や暮の秋游悦
3点 吟詠の声透き通る無月かな 游悦
3点 切り貼りの障子に夕日暮の秋 仲安
3点 会津への旅の始まり栗ご飯 貞風
3点 立山へ鷹の飛び立つ館跡 越庵
3点 新藁を燃してはかない炎かな弁慶
2点 山の端に無月寂しき鳴子郷  竹林
2点 菊を焚く千切れ炎の香を生みて 如雨
2点 弔いて夜道を急ぐ無月かな 仲安
 
    他の2点句 ‥‥ 10句
    1 点 句 ‥‥  7句
      (うち特選句 ‥‥  4句)
 


印は互選で特選に選ばれたものです。 (☆☆、☆☆☆は多重選)
2点句は特選に選ばれたもののみ記載しています。
蓮囲池氏選は特選のみ集計に加えました。


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案山子


第50回句会

2013年9月27日(金)  於 :学士会館
兼 題:鰯雲、案山子、蝗、胡桃、歌(要季語)。当季雑詠。

会員の互選の結果です。選者の配列順は俳号の50音順です。
  (次回以降一人ずつ繰り下げます)


印は特選に選ばれた作品です。
特選以外は原則清記順の記載で、順位ではありません。

<奥山游悦 選>
帽子だけ田より出でたる案山子かな 興山
胡桃取りここから先は獣道貞風
鰯雲鋤持つ婆と話し込み幸風
アナログの王者顔して案山子立つ柏葉
TPP思案貌なる案山子かな越庵

<平山越庵 選>
胡桃取りここから先は獣道 貞風
石を入れ師に叱られた蝗捕り弁慶
時忠の眠りし能登や雁渡る柏葉
見聞きしたことは語らぬ案山子かな游悦
蒼天に白き墨絵か鰯雲幸風

<伊東興山 選>
掴みたる蝗の貌のいかめしき 游悦
赤とんぼ少女静かに歌ひけり弁慶
酒に酔ひ叙情歌に酔ひ秋惜しむ游悦
蝗取り頭を低く息止めて仲安
刈り終えし田んぼにポツリ老案山子竹林

<小林幸風 選>
イプシロン夢の運び屋鰯雲仲安
いなご追う子らも少なき秋の暮三甫
胡桃割る地球の中を覗くごと游悦
お土産の胡桃を割りて時忘る興山
濁流に耐え十五夜の渡月橋貞風

<三浦三甫 選>
TPP思案貌なる案山子かな 越庵
時忠の眠りし能登や雁渡る柏葉
汚染水迷走重ね夏五輪柏葉
天高し歌声響く分校舎仲安
枝折れて悪童も落ち青胡桃越庵

<内山竹林 選>
千枚田娘が踊る案山子かな 弁慶
いなご追う子らも少なき秋の暮三甫
赤とんぼ少女静かに歌ひけり弁慶
トロール船沖に向かふや鰯雲游悦
イプシロン夢の運び屋鰯雲仲安

<中野仲安 選>
酒に酔ひ叙情歌に酔ひ秋惜しむ 游悦
鰯雲昔の旅を追ふ旅路柏葉
見聞きしたことは語らぬ案山子かな游悦
刈り終えし田んぼにポツリ老案山子竹林
枝折れて悪童も落ち青胡桃越庵

<松本貞風 選>
若人の大きなリュック鰯雲 弁慶
胡桃割る地球の中を覗くごと游悦
鰯雲昔の旅を追ふ旅路柏葉
酒に酔ひ叙情歌に酔ひ秋惜しむ游悦
アナログの王者顔して案山子立つ柏葉

<深谷柏葉 選>
定番のおやつは蝗幼立ち 貞風
見聞きしたことは語らぬ案山子かな游悦
女海人おっぺしの掛け声の譜か鰯雲 越庵
TPP思案貌なる案山子かな越庵
くるみ割る鴉の知恵に驚きぬ三甫

<武蔵弁慶 選>
TPP思案貌なる案山子かな 越庵
胡桃割り袋小路の実を出せり仲安
蒼天に白き墨絵か鰯雲幸風
秋の浜海アマちゃん歌ういつも夢竹林
歌姫の末路悲しき胡桃割る柏葉


<岩渕如雨 場外選
胡桃割る地球の中を覗くごと游悦
イベントの道案内に案山子立つ仲安
帽子だけ田より出でたる案山子かな興山
女海人の掛け声の譜か鰯雲越庵
案山子の眼流れる雲に動かざる幸風

<鈴木蓮囲池 場外選
鰯雲鋤持つ婆と話し込み 幸風
イベントの道案内に案山子立つ仲安
胡桃割り袋小路の実を出せり仲安
イプシロン夢の運び屋鰯雲仲安
歌姫の末路悲しき胡桃割る柏葉

< 近  詠 >
蛍飛ぶ世過ぎに浮沈あるごとく蓮囲池
七夕や老いの一願つつましく―〃―
浮き上がり鯉の大口酷暑吐き―〃―
狛犬の貌もゆるめり曼珠沙華―〃―




<互選句まとめ>
4点 TPP思案貌なる案山子かな ☆☆越庵
3点 酒に酔ひ叙情歌に酔ひ秋惜しむ 游悦
3点 イプシロン夢の運び屋鰯雲 仲安
3点 見聞きしたことは語らぬ案山子かな 游悦
3点 胡桃割る地球の中を覗くごと 游悦
2点 帽子だけ田より出でたる案山子かな 興山
2点 胡桃取りここから先は獣道 貞風
2点 鰯雲鋤持つ婆と話し込み 幸風
 
    他の2点句 ‥‥ 12句
    1 点 句 ‥‥ 14句
      (うち特選句 ‥‥  4句)
 


印は互選で特選に選ばれたものです。(☆☆、☆☆☆は多重選)
2点句は特選に選ばれたもののみ記載。


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金魚玉


第49回句会

2013年7月26日(金)  於 :学士会館
兼 題:梅雨、籐椅子、浴衣、蜥蜴、夏草。当季雑詠。

会員の互選の結果です。選者の配列順は俳号の50音順です。
  (次回以降一人ずつ繰り下げます)


印は特選に選ばれた作品です。
特選以外は原則清記順の記載で、順位ではありません。

<平山越庵 選>
櫓組む男衆の汗子らの夢 柏葉
浴衣着の女清しき小画廊柏葉
欝心蜥蜴ストレス在りしかと幸風
夜明け前東方眞紅梅雨明けぬ幸風
校庭は夏草茂り除染待ち仲安

<伊東興山 選>
はじらひの少女はじめて浴衣着て 游悦
戻り梅雨腕にべたつく新聞紙貞風
揺れ動く心浴衣の君二人貞風
夏草の匂ひ嗅ぎわけ牛来たる游悦
窓叩くわが家の蜥蜴逃げもせず仲安

<小林幸風 選>
一瞬の閃光残し蜥蜴去る 柏葉
気配知る忍者もどきの蜥蜴かな游悦
父母の墓を見守る蜥蜴かな弁慶
猫老いて処処に悠悠蜥蜴かな如雨
空梅雨に祭りの広場笑顔満つ竹林

<三浦三甫 選>
気配知る忍者もどきの蜥蜴かな 游悦
同期会浴衣姿で車座に仲安
亡き祖父の籐椅子いつも猫が占め仲安
校庭は夏草茂り除染待ち仲安
那古寺や坂東巡礼梅雨明ける越庵

<岩渕如雨 選>
掌中の薩摩切子や籐寝椅子 越庵
夏草の匂ひ嗅ぎわけ牛来たる游悦
寛ぎて我れ籐椅子と古び居り幸風
一瞬の閃光残し蜥蜴去る柏葉
夏草や居住制限村に入る貞風

<内山竹林 選>
夏草や休みの校舎響く声 興山
掌中の薩摩切子や籐寝椅子越庵
籐椅子にただ日暮待つ良き日かな如雨
校庭は夏草茂り除染待ち仲安
桃源郷今夏草の村と化す貞風

<中野仲安 選>
浴衣着の女清しき小画廊 柏葉
気配知る忍者もどきの蜥蜴かな游悦
夏草の匂ひ嗅ぎわけ牛来たる游悦
転寝の傘倒れ来る梅雨の駅如雨
夏草や居住制限村に入る貞風

<松本貞風 選>
孫子には玩具扱いトカゲの子 竹林
気配知る忍者もどきの蜥蜴かな游悦
極暑来逸る原発再稼働如雨
夏草の匂ひ嗅ぎわけ牛来たる游悦
那古寺や坂東巡礼梅雨明ける越庵

<深谷柏葉 選>
津波の跡夏草深く生い茂り 竹林
亡き祖父の籐椅子いつも猫が占め仲安
気配知る忍者もどきの蜥蜴かな游悦
夏草の匂ひ嗅ぎわけ牛来たる游悦
掌中の薩摩切子や籐寝椅子越庵

<武蔵弁慶 選>
那古寺や坂東巡礼梅雨明ける 越庵
籐椅子で腰の痛み和らぎぬ弁慶
色街の浴衣なつかし年老いて三甫
亡き祖父の籐椅子いつも猫が占め仲安
弟の魂魄そこに湯帷子越庵

<奥山游悦 選>
転寝の傘倒れ来る梅雨の駅 如雨
色街の浴衣なつかし年老いて三甫
名水の里もけだるき炎暑かな柏葉
遠太鼓浮き世を渡る浴衣かな幸風
桃源郷今夏草の村と化す貞風



<鈴木蓮囲池 場外選
櫓組む男衆の汗子らの夢柏葉
プノンペンからの朗報梅雨晴るる貞風
浴衣着の女清しき小画廊柏葉
転寝の傘倒れ来る梅雨の駅如雨
ころあひを計りて帰る梅雨の客游悦

< 近  詠 >
郭公に目覚めるホームに今日も生く蓮囲池
蛍飛ぶ世過ぎの浮沈見るごとし―〃―
書を伏せて網戸にすれば遠蛙―〃―
七夕や老いの一願つつましく―〃―
初蝉やようやく夏を掌にしたる―〃―
植田早やおたまじゃくしのマスゲーム―〃―


<互選句まとめ>
5点 気配知る忍者もどきの蜥蜴かな  游悦
5点 夏草の匂ひ嗅ぎわけ牛来たる游悦
3点 掌中の薩摩切子や籐寝椅子 越庵
3点 那古寺や坂東巡礼梅雨明ける 越庵
3点 浴衣着の女清しき小画廊 柏葉 
3点 転寝の傘倒れ来る梅雨の駅 如雨 
3点 亡き祖父の籐椅子いつも猫が占め 仲安
3点 校庭は夏草茂り除染待ち仲安
2点 一瞬の閃光残し蜥蜴去る 柏葉
2点 櫓組む男衆の汗子らの夢  柏葉
 
    他の2点句 ‥‥  3句
    1 点 句 ‥‥ 22句
      (うち特選句 ‥‥  4句)
 


印は互選で特選に選ばれたものです。(☆☆、☆☆☆は多重選)
2点句は特選に選ばれたもののみ記載。
場外選の選句数が5句ですので、「まとめ」の集計に反映しています。


△TOP




若葉の林


第48回句会

2013年5月24日(金)  於 :学士会館
兼 題:滴り、夏衣、蟻、若葉、光(要季語)。当季雑詠。


会員の互選の結果です。選者の配列順は俳号の50音順です。
  (次回以降一人ずつ繰り下げます)


印は特選に選ばれた作品です。
特選以外は原則清記順の記載で、順位ではありません。

<小林幸風 選>
万緑や護憲衝迫老師立つ 越庵
山寺の伽藍も隠す若葉かな仲安
八重の藤咲くや垂るるや中天に柏葉
怖怖おづおづと東尋坊の夏衣如雨
迷ひ蟻行きては戻り道具箱仲安

<三浦三甫 選>
夏衣君美しく見えし朝 竹林
闘牛の一歩も引かず汗光る游悦
昏れてなほ欅明るき若葉道如雨
大塔も崩す技あり蟻地獄弁慶
母娘音楽会へ夏衣仲安

<岩渕如雨 選>
京の宵は豆腐会席夏ごろも柏葉
五合目を通り過ぎしか滴れり游悦
山寺の伽藍を隠す若葉かな仲安
薄暑光稚児ややが見上げる赤信号弁慶
除染地に黙々として蟻の列越庵

<内山竹林 選>
復興へ滴り落つる汗ぬぐう 三甫
滴りて鍾乳洞の幾万世仲安
合掌すリアスの浜の夏衣幸風
除染地に黙々として蟻の列越庵
懸崖の滴りひかる苔の寺柏葉

<中野仲安 選>
免許証返す決断柳絮飛ぶ 柏葉
万緑や護憲衝迫老師立つ越庵
闘牛の一歩も引かず汗光る游悦
大塔も崩す技あり蟻地獄弁慶
懸崖の滴りひかる苔の寺柏葉

<松本貞風 選>
観音の慈愛に触れる若葉風 弁慶
滴りて鍾乳洞の幾万世仲安
風光る英世の生家猪苗代仲安
合掌すリアスの浜の夏衣幸風
迷ひ蟻行きては戻り道具箱仲安

<深谷柏葉 選>
闘牛の一歩も引かず汗光る 遊悦
昏れてなほ欅明るき若葉道如雨
二刀流初夏の日本を賑わわす三甫
合掌すリアスの浜の夏衣幸風
怖怖と東尋坊の夏衣如雨

<武蔵弁慶 選>
詔勅に蟻の行列足止める 三甫
復興へ滴り落つる汗ぬぐう三甫
遠景も近景もよし里若葉游悦
二刀流初夏の日本を賑わわす三甫
蟻の列この世の果てを目指しけり游悦

<奥山游悦 選>
昏れてなほ欅明るき若葉道 如雨
薄暑光稚児が見上げる赤信号弁慶
登校の一皮剥けて夏衣貞風
箱根路も天に突き出る若葉かな幸風
京の宵は豆腐会席夏ごろも柏葉

<平山越庵 選>
怖々と東尋坊の夏衣 如雨
滴りて鍾乳洞の幾万世仲安
免許証返す決断柳絮飛ぶ柏葉
一色の若葉秘めたる光合成貞風
詔勅に蟻の行列足止める三甫



<鈴木蓮囲池 場外選
免許証返す決断柳絮飛ぶ 柏葉
合掌すリアスの浜の夏衣 幸風
徳一の像は美男に里若葉 越庵
夏衣君美しく見えし朝竹林
闘牛の一歩も引かず汗光る遊悦
遠景も近景もよし里若葉遊悦
夏衣かえてうれしい孫の顔 調査中
除染地に黙々として蟻の列越庵
舞う風に残花を惜しむ老いの宴幸風
大塔も崩す技あり蟻地獄弁慶


<互選句まとめ>
3点 闘牛の一歩も引かず汗光る  游悦
3点 昏れてなほ欅明るき若葉道  如雨
3点 怖怖と東尋坊の夏衣 如雨
3点 滴りて鍾乳洞の幾万世 仲安
3点 合掌すリアスの浜の夏衣 幸風
2点 万緑や護憲衝迫老師立つ  越庵
2点 復興へ滴り落つる汗ぬぐう  三甫
2点 免許証返す決断柳絮飛ぶ  柏葉
2点 詔勅に蟻の行列足止める  三甫
2点 京の宵は豆腐会席夏ごろも  柏葉
 
    他の2点句 ‥‥  7句
    1 点 句 ‥‥ 11句
      (うち特選句 ‥‥  2句)
 


印は互選で特選に選ばれたものです。(☆☆、☆☆☆は多重選)
2点句は特選に選ばれたもののみ記載。
「まとめ」集計には場外選は選句数が多いので反映していません。


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さくら

第47回句会

2013年3月22日(金)  於 :学士会館
兼 題:春雷、蛙、菫、海苔、聞く(聞こゆ)(要季語)。当季雑詠。

会員の互選の結果です。選者の配列順は俳号の50音順です。
  (次回以降一人ずつ繰り下げます)


印は特選に選ばれた作品です。
特選以外は原則清記順の記載で、順位ではありません。

<三浦三甫 選>
被災地に未来を咲かせ菫草 幸風
春雷に噂話の途切れたる如雨
蛙鳴く読経の声と競い合へ仲安
春雷や提灯揺らす雷門弁慶
荒磯の海苔取る海女に雲の影仲安

<岩渕如雨 選>
農夫等の帰り支度や夕蛙 游悦
春疾風止まりしままの時計台柏葉
蛙鳴く読経の声と競い合へ仲安
春雷や提灯揺らす雷門弁慶
春雷の豊穣配る千枚田越庵

<内山竹林 選>
春いく度歌ひ継がるる「花は咲く」 柏葉
被災地に未来を咲かせ菫草幸風
海苔を掻き風雪生きる海女の群れ幸風
山登る岩場に楚々とすみれ草仲安
書に倦みてショパン聴きをり春の雷游悦

<中野仲安 選>
書に倦みてショパン聴きをり春の雷 游悦
迫り来る津波のうめきか春の雷竹林
宅地跡思入れ深きすみれ草興山
単座して闇夜に聞くや春嵐越庵
春雷の豊穣配る千枚田越庵

<松本貞風 選>
宅地跡思入おもいれ深きすみれ草 興山
迫り来る津波のうめきか春の雷竹林
海苔を掻き風雪生きる海女の群れ幸風
特上と聞き懇ろに海苔焙る如雨
春いく度歌ひ継がるる「花は咲く」柏葉

<深谷柏葉 選>
老境に入りて遍し朧月 貞風
先急ぐ人とのあわい花菫越庵
江戸前の通の話やあぶり海苔越庵
特上と聞き懇ろに海苔焙る如雨
春雷の豊穣配る千枚田越庵

<武蔵弁慶 選>
蛙鳴く読経の声と競い合へ 仲安
隕石の音に目覚める蛙かな三甫
農夫等の帰り支度や夕蛙游悦
大関の連敗嘆く初蛙越庵
犬とても踏むなよすみれ弱きもの如雨

<奥山游悦 選>
先急ぐ人とのあわい花菫 越庵
特上と聞き懇ろに海苔焙る如雨
義民の碑隠然とありすみれ草弁慶
犬とても踏むなよすみれ弱きもの如雨
水遣りを待ちくたびれて菫草貞風

<平山越庵 選>
年四つ土産の海苔を一人占め 貞風
普陀落の湯舟に聞きし遠霞柏葉
義民の碑隠然とありすみれ草弁慶
房総の海に春雷そちに去り仲安
ぬくもりに水場をのそり蛙かな興山

<伊東興山 選>
寝そびれてまだあの声の蛙かな 如雨
春の川ささやく歌を聞きにけり弁慶
春いく度歌ひ継がるる「花は咲く」柏葉
単座して闇夜に聞くや春嵐越庵
春雷の豊穣配る千枚田越庵

<小林幸風 選>
農夫等の帰り支度や夕蛙 游悦
年四つ土産の海苔を一人占め貞風
特上と聞き懇ろに海苔焙る如雨
義民の碑隠然とありすみれ草弁慶
谷越えのコースに聞こゆ初音かな竹林




<鈴木蓮囲池 場外選
春疾風止まりしままの時計台 柏葉
春雷に噂話の途切れたる 如雨
被災地に未来を咲かせ菫草幸風
農夫等の帰り支度や夕蛙游悦
特上と聞き懇ろに海苔焙る如雨
春いく度歌ひ継がるる「花は咲く」柏葉
春雷の豊穣配る千枚田越庵

< 近  詠 >
産土の花懐に還りけり蓮囲池
信玄の堀をめぐりて花筏―〃―
花篝軍歌発する一筵―〃―
神代桜吾もあやからむ喜寿の春―〃―
耕を待つ畦に水仙秀でたり―〃―


<互選句まとめ>
4点 特上と聞き懇ろに海苔焙る如雨
4点 春雷の豊穣配る千枚田越庵
3点 農夫等の帰り支度や夕蛙  ☆☆游悦
3点 蛙鳴く読経の声と競い合へ 仲安
3点 春いく度歌ひ継がるる「花は咲く」 柏葉
3点 義民の碑隠然とありすみれ草 弁慶
2点 先急ぐ人との間花菫 越庵
2点 年四つ土産の海苔を一人占め 貞風
2点 被災地に未来を咲かせ菫草 幸風
2点 宅地跡思入れ深きすみれ草 興山
2点 書に倦みてショパン聴きをり春の雷 游悦
 
    他の2点句 ‥‥  5句
    1 点 句 ‥‥ 15句
      (うち特選句 ‥‥  1句)
 


印は互選で特選に選ばれたものです。(☆☆、☆☆☆は多重選)
2点句は特選に選ばれたもののみ記載。
「まとめ」集計には場外選は選句数が多いので反映していません。


△TOP



雪だるま


第46回句会

2013年1月25日(金)  於 :学士会館
兼 題:寒梅・早梅、懐炉、雪達磨、初場所、声(要季語)。当季雑詠。


会員の互選の結果です。選者の配列順は俳号の50音順です。
  (次回以降一人ずつ繰り下げます)


印は特選に選ばれた作品です。
特選以外は原則清記順の記載で、順位ではありません。

<岩渕如雨 選>
初場所や未来を託す前相撲 仲安
雪だるま彩りひとつ松葉髭柏葉
時報ひとつ裏と表や明けの春柏葉
真夜中に動き出すかも雪達磨游悦
寒晴れや御霊と交わす経の声越庵

<内山竹林 選>
寒梅や藪の向ふに二輪咲く 興山
初場所や相撲甚句の声澄みぬ幸風
風化する想いを叱る雪達磨幸風
寒梅や大願成就絵馬に込め仲安
田作りにお箸をつけぬ三代目貞風

<中野仲安 選>
杣人の声透き通る冬木立 游悦
雪だるま彩りひとつ松葉髭柏葉
枕辺にカイロ抱き込む読書かな竹林
山眠る栄華誇りし谷戸の森竹林
城跡は碑ひとつ冬茜柏葉

<松本貞風 選>
城跡は碑ひとつ冬茜 柏葉
時報ひとつ裏と表や明けの春柏葉
人住まぬ隣りの屋敷梅早し游悦
山眠る栄華誇りし谷戸の森竹林
寒梅に恋のときめき感じけり弁慶

<深谷柏葉 選>
海鳴りて乙女の踊り野水仙 弁慶
誰に似し日陰者なる雪だるま如雨
寒梅や大願成就絵馬に込め仲安
形見分け終わりて旅の師走かな幸風
ひとり身のひび割れ痛む寒仕事竹林

<武蔵弁慶 選>
初場所や未来を託す前相撲 仲安
人住まぬ隣りの屋敷梅早し游悦
風化する想いを叱る雪達磨幸風
雪だるま朝の笑顔も泣き顔に仲安
田作りにお箸をつけぬ三代目貞風

<奥山游悦選(後日)>
初場所の触れに波打つ隅田川 三甫
早梅や二の腕細き早生れ如雨
父母の忌に赤きしるしを初暦如雨
庭先にふいに声なき雪女興山
日の没ればかたき髭剃る寝正月如雨

<平山越庵 選>
早梅や二の腕細き早生れ 如雨
海鳴りて乙女の踊り野水仙弁慶
風化する想いを叱る雪達磨幸風
初場所や昭和の逝けりまたひとつ柏葉
一万歩懐炉したため汗滲む興山

<伊東興山 選>
真夜中に動き出すかも雪達磨 游悦
早梅の蕾夕日に赤く映え幸風
懐炉抱きて秩父の夜祭大明り柏葉
寒晴れや御霊と交わす経の声越庵
雪だるま朝の笑顔も泣き顔に仲安

<小林幸風 選>
寒晴れや御霊と交わす経の声 越庵
声援を受けて箱根路冬木立仲安
仮設地の天気図今日も雪達磨貞風
父母の忌に赤きしるしを初暦如雨
懐炉抱き鬼怒川下り客二人仲安

<三浦三甫 選>
寒梅や大願成就絵馬に込め 仲安
声援を受けて箱根路冬木立仲安
初場所や未来を託す前相撲仲安
校庭に子等の力作雪だるま竹林
雪だるま朝の笑顔も泣き顔に仲安


<鈴木蓮囲池 場外選
戦争を問う人もなき師走選 三甫
父母の忌に赤きしるしを初暦 如雨
初場所の触れに波打つ隅田川 三甫
ひとり身のひび割れ痛む寒仕事 竹林
雪だるま彩りひとつ松葉髭柏葉
声援を受けて箱根路冬木立仲安
初場所や未来を託す前相撲仲安
仮設地の天気図今日も雪達磨貞風
城跡は碑ひとつ冬茜柏葉
風化する想いを叱る雪達磨幸風
杣人の声透き通る冬木立游悦

< 近   詠 >
雪積むやぼんやり妻のこと思う蓮囲池
別々に暮らす老後に寒の入り―〃―


<互選句まとめ>
3点 初場所や未来を託す前相撲 ☆☆仲安
3点 寒梅や大願成就絵馬に込め 仲安
3点 寒晴れや御霊と交わす経の声 越庵
3点 風化する想いを叱る雪達磨 幸風
3点 雪だるま朝の笑顔も泣き顔に 仲安
2点 城跡は碑ひとつ冬茜 柏葉
2点 海鳴りて乙女の踊り野水仙 弁慶
2点 早梅や二の腕細き早生れ 如雨
2点 真夜中に動き出すかも雪達磨 游悦
 
    他の2点句 ‥‥  7句
    1 点 句 ‥‥ 18句
      (うち特選句 ‥‥  3句)
 

印は互選で特選に選ばれたものです。(☆☆、☆☆☆は多重選)
2点句は特選を含むもののみ記載。
「まとめ」集計には場外選は選句数が多いので反映していません。


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千両2


第45回句会

2012年11月22日(金)  於 :学士会館
兼 題:冬至、侘助、空風(空つ風)、雁、旅(要季語)。当季雑詠。

会員の互選の結果です。選者の配列順は俳号の50音順です。
  (次回以降一人ずつ繰り下げます)


印は特選に選ばれた作品です。
特選以外は原則清記順の記載で、順位ではありません。

<内山竹林 選>
侘助の迎える門や代替わり 越庵
侘助の一輪ありし茶室かな柏葉
枯野原大地震の痕目の限り柏葉
子を叱る声切れぎれに空つ風游悦
三陸の漁師集ひし冬至かな游悦

<中野仲安 選>
駿河湾赤富士を背に雁の列 竹林
旅に見る浄土のしぶき秋の波竹林
旅に明け旅に暮れゐし冬帽子柏葉
子を叱る声切れぎれに空つ風游悦
山の湯に光陰仰ぐ冬至かな柏葉

<松本貞風 選>
子を叱る声切れぎれに空つ風 游悦
侘助の藁に包まる八幡宮弁慶
旅に見る浄土のしぶき秋の波竹林
侘助の迎える門や代替わり越庵
雁渡る高尾の嶺に声残し仲安

<深谷柏葉選(後日)>
侘助の迎える門や代替わり 越庵
捨て犬の人恋うて鳴く芒原貞風
旅心誘ふ如く小鳥来る游悦
子を叱る声切れぎれに空つ風游悦
鉢植の侘助咲きて手紙とる興山

<武蔵弁慶 選>
列車より名前が消えし初雁や 興山
落雁の湖水の灯り乱れ打ち貞風
諳んじる魔弾の射手や雁の群れ貞風
捨て犬の人恋うて鳴く芒原貞風
侘助の迎える門や代替わり越庵

<奥山游悦 選>
雁渡る高尾の嶺に声残し 仲安
雁来たる今の日本を何と見る弁慶
木漏れ日の光は弱し冬至かな仲安
空つ風街路の塵を払ふだけ弁慶
侘助の迎える門や代替わり越庵

<平山越庵 選>
落雁の湖水の灯り乱れ打ち 貞風
旅に明け旅に暮れゐし冬帽子柏葉
空風に満面砂の子供たち興山
冬至日や国産南瓜売り切れて貞風
鉢植の侘助咲きて手紙とる興山

<伊東興山 選>
雁渡る高尾の嶺に声残し 仲安
侘助の一輪ありし茶室かな柏葉
戸を叩く来者は誰ぞ空風仲安
冬日受く浄土立山見舞い旅越庵
枯野原大地震の痕目の限り柏葉



<鈴木蓮囲池 場外選
諳んじる魔弾の射手や雁の群れ 貞風
落雁の湖水の灯り乱れ打ち貞風
侘助の迎える門や代替わり越庵
子を叱る声切れぎれに空つ風游悦
雁渡る高尾の嶺に声残し仲安

<岩渕如雨 場外選
諳んじる魔弾の射手や雁の群れ貞風
戸を叩く来者は誰ぞ空風仲安
侘助や言葉少なきお茶の会游悦
子を叱る声切れぎれに空つ風游悦
ふるさとのまた遠退きて雁渡る越庵


<互選句まとめ>
6点 侘助の迎える門や代替わり ☆☆越庵
6点 子を叱る声切れぎれに空つ風 游悦
4点 雁渡る高尾の嶺に声残し  ☆☆仲安
3点 落雁の湖水の灯り乱れ打ち 貞風
3点 諳んじる魔弾の射手や雁の群れ  貞風
 
    2 点 句 ‥‥  7句
    1 点 句 ‥‥ 14句
      (うち特選句 ‥‥  2句)
 


印は互選で特選に選ばれたものです。(☆☆、☆☆☆は多重選)
2点句は特選に選ばれたもののみ記載。
「まとめ」は、場外選の選句数が各5句ですのでこれも含めて集計しています。


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すすき


第44回句会

2012年9月28日(金)  於 :学士会館
兼 題:秋の蝶、りんご、霧、花火、夜(要季語)。当季雑詠。


会員の互選の結果です。選者の配列順は俳号の50音順です。
  (次回以降一人ずつ繰り下げます)


印は特選に選ばれた作品です。
特選以外は原則清記順の記載で、順位ではありません。

<中野仲安 選>
山寺も仙人もみな霧の中 貞風
手花火の子の顔母に重なりぬ柏葉
朝の日を浴びて隙あり秋の蝶貞風
林檎剥く地球儀回す手の如く游悦
こきりこの調べを包む夜の霧越庵

<松本貞風 選>
志それぞれ抱く夜学かな 游悦
こきりこの調べを包む夜の霧越庵
イベントの開催告げる花火かな三甫
チベットを見る夢いまだりんご剥く弁慶
領海のいざこざ絶えず霧の中弁慶

<深谷柏葉 選>
観客の一瞬のもだ大花火 游悦
秋の蝶花の盛りに行き会えず竹林
林檎剥く地球儀回す手の如く游悦
こきりこの調べを包む夜の霧越庵
女子駅伝六区にりんご直売所貞風

<武蔵弁慶 選>
朱に混じり朱に染まぬ白曼珠沙華 柏葉
秋の蝶花の盛りに行き会えず竹林
秋の夜遠きを思ふ頃となり三甫
遠祖の渡来を問ふや遠花火貞風
山寺も仙人もみな霧の中貞風

<奥山游悦 選>
風吹きて傷をむきだす落林檎 興山
朝の日を浴びて隙あり秋の蝶貞風
読む本も厚きを選び夜長かな弁慶
野良猫のしつこく追ふや秋の蝶弁慶
山寺も仙人もみな霧の中貞風

<平山越庵 選>
志それぞれ抱く夜学かな 游悦
秋の蝶花の盛りに行き会えず竹林
手花火や五つの顔を赤く染め興山
林檎剥く地球儀回す手の如く游悦
山寺も仙人もみな霧の中貞風

<伊東興山 選>
残り花見えつ隠れつ秋の蝶 柏葉
朝霧のむこうに浮ぶ二人連れ三甫
朱に混じり朱に染まぬ白曼珠沙華柏葉
観客の一瞬の黙大花火游悦
秋の蝶健気に今年舞修め越庵

<三浦三甫 選>
遠花火その夜の妻のあでやかに 竹林
手花火の子の顔母に重なりぬ柏葉
読む本も厚きを選び夜長かな弁慶
こきりこの調べを包む夜の霧越庵
領海のいざこざ絶えず霧の中弁慶
<内山竹林 選>
夜の秋破天の雨の恵みかな 柏葉
手花火や五つの顔を赤く染め興山
北国の眠れぬ夜の霧笛かな游悦
こきりこの調べを包む夜の霧越庵
朱に混じり朱に染まぬ白曼珠沙華柏葉


<鈴木蓮囲池 場外選
手花火や五つの顔を赤く染め 興山
北国の眠れぬ夜の霧笛かな游悦
林檎剥く地球儀回す手の如く游悦
遠花火その夜の妻のあでやかさ竹林
女子駅伝六区にりんご直売所貞風

<岩渕如雨 場外選
朝の日を浴びて隙あり秋の蝶貞風
こきりこの調べを包む夜の霧越庵
朱に混じり朱に染まぬ白曼珠沙華柏葉
山寺も仙人もみな霧の中貞風
女子駅伝六区にりんご直売所貞風




<互選句まとめ>
6点 こきりこの調べを包む夜の霧越庵
5点 山寺も仙人もみな霧の中 貞風
4点 朱に混じり朱に染まぬ白曼珠沙華 柏葉
4点 林檎剥く地球儀回す手の如く游悦
3点 手花火や五つの顔を赤く染め  興山
3点 秋の蝶花の盛りに行き会えず 竹林
3点 朝の日を浴びて隙あり秋の蝶貞風 
3点 女子駅伝六区にりんご直売所貞風
2点 志それぞれ抱く夜学かな ☆☆游悦
2点 遠花火その夜の妻のあでやかさ 竹林
2点 観客の一瞬のもだ大花火 游悦
 
    他の2点句 ‥‥  4句
    1 点 句 ‥‥ 10句
      (うち特選句 ‥‥  2句)
 


印は互選で特選に選ばれたものです。(☆☆、☆☆☆は多重選)
2点句は特選に選ばれたもののみ「まとめ」に記載。
「まとめ」は、場外選の選句数が各5句ですのでこれも含めて集計しています。


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金魚玉



第43回句会

2012年7月27日(金)  於 :学士会館
兼 題:枇杷、飛魚(とびうお/あご)、噴水、片蔭かたかげ、歩・歩む(要季語) 。当季雑詠。

会員の互選の結果です。選者の配列順は俳号の50音順です。
  (次回以降一人ずつ繰り下げます)


印は特選に選ばれた作品です。
特選以外は原則清記順の記載で、順位ではありません。

<松本貞風 選>
豊穣の過ぎたる土地や枇杷落ちる 越庵
噴水に贅を尽くすやパリの街興山
滴りに歩むを忘るぶな*の道柏葉
手術後の一歩に惑ふ薄暑かな仲安
はまなす*や癒せぬままの海を負ひ柏葉
*「ぶな」は「ぶな」の字。以下同じ。
*「はまなす」は「はまなす」の字。以下同じ。

<深谷柏葉 選>
目薬の一滴涼し夕散歩 貞風
枇杷熟れて木登り名人揃ひけり貞風
手術後の一歩に惑ふ薄暑かな仲安
汚染土を人馬蹴散らし夏祭貞風
一日空け太る胡瓜の棘痛し越庵

<武蔵弁慶 選>
片蔭の平和公園囲碁将棋 貞風
噴水に贅を尽くすやパリの街興山
片蔭を選んで歩く老夫婦三甫
噴水や水が水をば押し上ぐる游悦
企業史に我が歩み読む夏の夕越庵

<奥山游悦 選>
片蔭の平和公園囲碁将棋 貞風
片蔭を求め一息杖片手仲安
目薬の一滴涼し夕散歩貞風
滴りに歩むを忘るぶな*の道柏葉
手術後の一歩に惑ふ薄暑かな仲安

<平山越庵 選>
汚染土を人馬蹴散らし夏祭 貞風
飛魚の目に映りたる海の青游悦
滴りに歩むを忘るぶな*の道柏葉
枇杷熟れて木登り名人揃ひけり貞風
片蔭にふと身を寄する節電季柏葉

<伊東興山 選>
汚染土を人馬蹴散らし夏祭 貞風
片蔭や配達夫らも息をつき游悦
噴水の描く七色子らはしゃぎ仲安
病愈え歩く喜び夏の朝游悦
噴水や水が水をば押し上ぐる游悦

<三浦三甫 選>
群青の海すれすれに飛魚の飛ぶ 柏葉
噴水の描く七色子らはしゃぎ仲安
黄金の枇杷香り満つ房総路仲安
片蔭をたどり子連れの人急ぐ興山
あご満つる西海の浜賑いて竹林

<内山竹林 選>
はまなす*や癒せぬままの海を負ひ 柏葉
群青の海すれすれに飛魚の飛ぶ柏葉
噴水の描く七色子らはしゃぎ仲安
乳母車片蔭に入れバスを待つ弁慶
黄金の枇杷香り満つ房総路仲安

<中野仲安 選>
汚染土を人馬蹴散らし夏祭 貞風
豊穣の過ぎたる土地や枇杷落ちる越庵
病愈え歩く喜び夏の朝游悦
企業史に我が歩み読む夏の夕越庵
噴水の飛沫に光る芝生かな弁慶



<鈴木蓮囲池 場外選
片蔭を求め一息杖片手仲安
片蔭や甕に醤油の量り売り越庵
目薬の一滴涼し夕散歩貞風
病癒え歩く喜び夏の朝 遊悦
手術後の一歩に惑ふ薄暑かな仲安
汚染度を人馬蹴散らし夏祭貞風
企業史に我が歩み読む夏の夕越庵


貞風幹事から清記段階の出句表を送っていただきましたので、場外で申し訳ありませんが、小生も仮の選をしてみました。
<岩渕如雨 場外選
滴りに歩むを忘るぶな*の道柏葉
手術後の一歩に惑ふ薄暑かな仲安
片蔭の途切れし坂を昇り行く竹林
汚染土を人馬蹴散らし夏祭貞風
はまなす*や癒せぬままの海を負ひ柏葉


<互選句まとめ>
4点 汚染土を人馬蹴散らし夏祭 ☆☆☆貞風
3点 噴水の描く七色子らはしゃぎ仲安
3点 滴りに歩むを忘るぶな*の道柏葉
3点 手術後の一歩に惑ふ薄暑かな 仲安
2点 片蔭の平和公園囲碁将棋 ☆☆貞風
2点 豊穣の過ぎたる土地や枇杷落ちる 越庵
2点 群青の海すれすれに飛魚の飛ぶ 柏葉
2点 目薬の一滴涼し夕散歩 貞風
2点 はまなす*や癒せぬままの海を負ひ 柏葉
 
    他の2点句 ‥‥  6句
    1 点 句 ‥‥ 10句
      (うち特選句 ‥‥  なし)
 


印は互選で特選に選ばれたものです。(☆☆、☆☆☆は多重選)
2点句は特選に選ばれたもののみ記載。
「まとめ」集計には場外選は選句数が多いので反映していません。


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雨蛙

第42回句会

2012年5月25日(金)  於 :学士会館
兼 題:山吹、磯遊び、白鷺、黒南風くろはえ、日食(要季語)。当季雑詠。

会員の互選の結果です。選者の配列順は俳号の50音順です。
  (次回以降一人ずつ繰り下げます)


印は特選に選ばれた作品です。
特選以外は原則清記順の記載で、順位ではありません。

<深谷柏葉 選>
山吹の花添ふ膳のおもてなし 貞風
きき(きの字きの字)として爺が気遣ふ磯遊び弁慶
  きの字の文字はwebではカバーされていません。上記は画像です。
喜寿傘寿数珠に繋がる磯遊び越庵
白鷺の冠羽の揺らぎ風変わる越庵
我にだけ微笑んでゐる濃山吹游悦

<武蔵弁慶 選>
黒南風に波入る町や米騒動 越庵
仏法僧民権悲史を語るごと越庵
黒南風や廃線航路の大錨柏葉
城跡に山吹散るや風の音柏葉
山吹を道灌偲び一枝折る仲安

<奥山游悦 選>
日食の影も金環青葉光 貞風
みちのくの水田に映える山吹や竹林
黒南風や廃線航路の大錨柏葉
白鷺の冠羽の揺らぎ風変わる越庵
山吹の花添ふ膳のおもてなし貞風

<平山越庵 選>
白鷺の鷲に放たる重さかな 貞風
日食に雲切れ安堵風薫る仲安
薄暑る川面野太き帯となり柏葉
黒南風を払うがごとく歌響く仲安
我にだけ微笑んでゐる濃山吹游悦

<高橋啓窓 選>
磯遊び妻しのばるゝ由比ケ浜 竹林
みちのくの水田に映える山吹や竹林
岸辺立つ白さぎ一羽何思う竹林
我にだけ微笑んでゐる濃山吹游悦
山吹の花添ふ膳のおもてなし貞風

<内山竹林 選>
きき(きの字きの字)として爺が気遣ふ磯遊び 弁慶
  きの字の文字はwebではカバーされていません。上記は画像です。
黒南風や大海原の無人船貞風
子らの声さえぎる波や磯遊び游悦
渓流にやまべ飛びはね水しぶき啓窓
山吹の花添ふ膳のおもてなし貞風

<中野仲安 選>
薄暑る川面野太き帯となり 柏葉
黒南風に行方ゆだねし帆掛け船游悦
黒南風や廃線航路の大錨柏葉
白鷺の冠羽の揺らぎ風変わる越庵
日輪の欠け始むるや五月富士柏葉

<松本貞風 選>
黒南風や廃線航路の大錨 柏葉
白鷺の「ろ」の字の首の動かざる游悦
金環ショー明けて歓喜の四十雀越庵
黒南風を払うがごとく歌響く仲安
山吹を道灌偲び一枝折る仲安


<鈴木蓮囲池 場外選
黒南風や大海原の無人船貞風
日食の影も金環青葉光貞風
黒南風に行方ゆだねし帆掛け舟遊悦
白鷺の「ろ」の字の首の動かざる游悦
黒南風や廃線航路の大錨柏葉




<互選句まとめ>
4点 黒南風や廃線航路の大錨  柏葉
4点 山吹の花添ふ膳のおもてなし 貞風
3点 白鷺の冠羽の揺らぎ風変わる 越庵
3点 我にだけ微笑んでゐる濃山吹 游悦
2点 薄暑昏る川面野太き帯となり 柏葉
2点 きき(きの字きの字)として爺が気遣ふ磯遊び 弁慶
 
    他の2点句 ‥‥  3句
    1 点 句 ‥‥ 16句
      (うち特選句 ‥‥  4句)
 

印は互選で特選に選ばれたものです。(☆☆、☆☆☆は多重選)
2点句は特選に選ばれたもののみ記載。
他の互選、作者が判明後の場外選ですので、「まとめ」には場外選は反映していません。


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さくら

第41回句会

2012年3月23日(金)  於 :学士会館

兼 題:冴え返る、花祭、啓蟄、梅、富士山(要季語)。当季雑詠。


会員の互選の結果です。選者の配列順は俳号の50音順です。
  (次回以降一人ずつ繰り下げます)


印は特選に選ばれた作品です。
特選以外は原則清記順の記載で、順位ではありません。

<武蔵弁慶 選>
啓蟄も吾関せずと磨崖仏 越庵
冴え返る着の身着のまま果てもなく貞風
啓蟄に顔出す虫の律義さよ三甫
地震あとの崖に一輪梅の花游悦
荒れ庭にのびて乱れて梅香る越庵

<奥山游悦 選>
山里が喜び動く啓蟄に 竹林
伊豆の海富士横切りて鳥帰る柏葉
囁かる富士山噴火春の地震貞風
冴え返る通夜の火だまり人だまり幸風
亡き友の大観の句や冴返る越庵

<平山越庵 選>
冴え返る通夜の火だまり人だまり 幸風
ジェット機を追いかけてゆく春の音貞風
花祭り雪多き地に春を呼ぶ三甫
練り歩く稚児の化粧や花祭り游悦
梅まつり今夜は酒とつぼみだけ興山

<伊東興山 選>
山中に梅一木の匂ひけり 柏葉
花祭り雪多き地に春を呼ぶ三甫
冴え返る池の鯉をも身じろがず弁慶
今日ばかり和尚愛嬌花御堂越庵
山里が喜び動く啓蟄に竹林

<小林幸風 選>
若水を汲みつつ仰ぐ真白富士 游悦
伊豆の海富士横切りて鳥帰る柏葉
練り歩く稚児の化粧や花祭り游悦
被災地の在りし日偲ぶ花祭り弁慶
軒端打つ夜の雨音冴え返る柏葉

<三浦三甫 選>
今日ばかり和尚愛嬌花御堂 越庵
海青しいで湯の街に梅香る仲安
若水を汲みつつ仰ぐ真白富士游悦
啓蟄も吾関せずと磨崖仏越庵
梅ひらく般若心経永久の旅貞風

<内山竹林 選>
地震あとの崖に一輪梅の花 游悦
啓蟄や土のぬくもり種を蒔く仲安
園児らが揃いて拝む花まつり興山
冴え返る通夜の火だまり人だまり幸風
降りじまひ祖母より聞きし涅槃西風越庵

<中野仲安 選>
梅ひらく般若心経永久の旅 貞風
啓蟄に顔出す虫の律義さよ三甫
冴え返る通夜の火だまり人だまり幸風
亡き友の大観の句や冴返る越庵
軒端打つ夜の雨音冴え返る柏葉

<松本貞風 選>
被災地の在りし日偲ぶ花祭り 弁慶
伊豆の海富士横切りて鳥帰る柏葉
啓蟄や草食む牛の目の光る游悦
地震あとの崖に一輪梅の花游悦
鎮魂の三・一一梅ひらく弁慶

<深谷柏葉 選>
若水を汲みつつ仰ぐ真白富士 游悦
冴え返る着の身着のまま果てもなく貞風
ジェット機を追いかけてゆく春の音貞風
降りじまに祖母より聞きし涅槃西風越庵
梅ひらく般若心経永久の旅貞風

<互選句まとめ>
4点 冴え返る通夜の火だまり人だまり 幸風
3点 若水を汲みつつ仰ぐ真白富士  ☆☆游悦
3点 地震あとの崖に一輪梅の花  游悦
3点 梅ひらく般若心経永久の旅  貞風
3点 伊豆の海富士横切りて鳥帰る 柏葉
2点 今日ばかり和尚愛嬌花御堂 越庵
2点 啓蟄も吾関せずと磨崖仏 越庵
2点 山里が喜び動く啓蟄に 竹林
2点 被災地の在りし日偲ぶ花祭り  弁慶
 
    他の2点句 ‥‥  3句
    1 点 句 ‥‥ 16句
      (うち特選句 ‥‥  4句)
 


印は互選で特選に選ばれた句です。(☆☆、☆☆☆は多重選)
2点句は特選に選ばれたもののみ記載。


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谿聲主宰作成「句会会報」は第18回例会まで作成されていますが、これは「開 催 記 録」からご覧になれます。('08.02.04)





<  会      員  >

谿 聲けいせい村上 幹也
 (主宰)
蓮囲池れんいち鈴木 錬一
幸 風こうふう小林 幸司 越 庵えつあん平山 隆一
貞 風ていふう松本 貞 仲 安ちゅうあん中野 安弘
弁 慶べんけい武蔵 好彦 如 雨じょう岩渕 上
(修 人)(しゅうじん)(小川 修)ご逝去 竹 林ちくりん内山 武司
竹 風ちくふう加賀美 一 興 山こうざん伊東 興三
三 甫さんぽ三浦 器允 啓 窓けいそう高橋 啓悟
游 悦ゆうえつ奥山 興悦 柏 葉はくよう深谷 武



(初 出 順)


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