萩の香る宮城野

東北大鬼城句会例会記録Ⅳ

村 上 谿 聲 主 宰 の 同 窓 句 会 例 会

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例会記録Ⅱ第10~20回('07/ 1~'08/ 9)
例会記録Ⅷ第70~78回('17/ 1~'18/ 5)
例会記録Ⅲ第21~30回('08/11~'10/ 5)
例会記録Ⅸ第79~87回('18/ 7~'19/11)
例会記録Ⅳ第31~40回('10/ 7~'12/ 1)
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例会記録Ⅴ第41~51回('12/ 3~'13/11)
例会記録ⅩⅠ第100~111回('22/ 1~'23/11)
例会記録Ⅵ第52~60回('14/ 1~'15/ 5)
例会記録ⅩⅡ第111~………回('24/ 1~……)

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俵ねずみ


第40回句会

2012年1月27日(金)  於 :学士会館
兼 題:どんど・左義長、若水、枯蓮、初春、安達太良(要季語)。当季雑詠。


会員の互選の結果です。
選者の配列順は俳号の50音順です。
(次回以降一人ずつ繰り下げます)


印は特選に選ばれた作品です。

<奥山游悦 選>
踏み跡の形さまざまどんとかな 越庵
村継がな若きが混じるどんと焼き蓮囲池
安達太良の頭上に冠冬星座仲安
穏やかな日和もありぬ枯蓮如雨
慣れという恐さを残し年逝けり柏葉
初デートどんど炎に燃えにけり貞風

<鈴木蓮囲池 選>
風花や仮設へ二、三文を書く 貞風
どんどの災ひのそら燃え尽くす柏葉
若水を汲みて初心を思い出す三甫
如月に千の風舞う津波よだの浜竹林
枯蓮や水面の雲の流れ行く不明
左義長や懐旧の火を立ち上ぐる如雨

<平山越庵 選>
御仏の心のままに枯蓮 貞風
初春や千潮乗り来る九十九里蓮囲池
城跡の若水汲んで昂れり弁慶
如月に千の風舞う津波よだの浜竹林
風花や仮設へ二、三文を書く貞風
左義長や懐旧の火を立ち上ぐる如雨

<高橋啓窓 選>
安達太良は智恵子の空よ初霞 柏葉
初春や千潮乗り来る九十九里蓮囲池
辰年を迎える若井ありがたし越庵
初春や青松白砂波静か仲安
城跡の若水汲んで昂れり弁慶
被災地に祈りよ届けどんと焼き幸風

<小林幸風 選>
風花や仮設へ二、三文を書く 貞風
左義長の火の粉の舞ふや杜の闇游悦
初春や親と迎へし日の遥か如雨
どんと祭自治会総出賀詞の宴竹林
穏やかな日和もありぬ枯蓮如雨
松飾りどんとに投げて焼きいもが竹林

<三浦三甫 選>
初春や青松白砂波静か 仲安
若水の満ちたる桶や山の宿游悦
枯蓮の池に差し込む夕日かな啓窓
左義長の火の粉の舞ふや杜の闇游悦
山あいの雪の中から福寿草啓窓
風花や仮設へ二、三文を書く貞風

<岩渕如雨 選>
踏み跡の形さまざまどんとかな 越庵
左義長の火の粉の舞ふや杜の闇游悦
なにごともなき幸せや松七日柏葉
初春やふくしまからの留守電話貞風
蓮枯や不忍池のレクイエム幸風
初春や三陸の海鎮もりて游悦

<内山竹林 選>
初春や三陸の海鎮もりて 游悦
村継がな若きが混じるどんと焼き蓮囲池
手水鉢若水満ちて月の影仲安
箱根路の初春飾る山の神三甫
山あいの雪の中から福寿草啓窓
安達太良は智恵子の空よ初霞柏葉

<中野仲安 選>
湧き出る決意新たに若井汲む 蓮囲池
枯蓮に齢をよせて年を越す三甫
どんどの災ひのそら燃え尽くす柏葉
初春や三陸の海鎮もりて游悦
御仏の心のままに枯蓮貞風
被災地に祈りよ届けどんと焼き幸風

<松本貞風 選>
吉凶を裏返したし去年今年 如雨
若水の満ち足る桶や山の宿游悦
初春や親と迎へし日の遥か如雨
如月に千の風舞う津波よだの浜竹林
刀折れや尽き果てて枯蓮蓮囲池
初春や年年富士の遠くなり柏葉

<深谷柏葉 選>
湧き出る決意新たに若井汲む 蓮囲池
初春や千潮乗り来る九十九里蓮囲池
初春や伊勢詣でより始めたり幸風
穏やかな日和もありぬ枯蓮如雨
風花や仮設へ二、三文を書く貞風
刀折れや尽き果てて枯蓮蓮囲池

<武蔵弁慶 選>
安達太良や抱かれてみたし雪女 越庵
枯蓮やいつか我が身のたどる道游悦
初春やどちらが似たか友と神越庵
豊かなる根埋む泥田蓮枯るる如雨
御仏の心のままに枯蓮貞風
被災地に祈りよ届けどんと焼き幸風


<互選句まとめ>
5点 風花や仮設へ二,三文を書く  ☆☆貞風
3点 御仏の心のままに枯蓮 貞風
3点 初春や三陸の海鎮もりて 游悦
3点 初春や千潮乗り来る九十九里  蓮囲池
3点 左義長の火の粉の舞ふや杜の闇  游悦
3点 如月に千の風舞う津波の浜  竹林
3点 穏やかな日和もありぬ枯蓮  如雨
3点 被災地に祈りよ届けどんと焼き  幸風
2点 踏み跡の形さまざまどんとかな ☆☆越庵
2点 湧き出る決意新たに若井汲む  ☆☆蓮囲池
2点 安達太良は智恵子の空よ初霞  柏葉
2点 初春や青松白砂波静か 仲安
 
    他の2点句 ‥‥  8句
    1 点 句 ‥‥ 22句
      (うち特選句 ‥‥  2句)
 

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千両2


第39回句会

2011年11月25日(金)  於 :学士会館
兼 題:珊瑚草、綿虫、秋祭、栗、遊(要季語)。当季雑詠。

'11年9月29日開催の『櫻草』同人会総会で、奥山游悦さんが同人に推挙されました。

会員の互選の結果です。
選者の配列順は俳号の50音順です。
(次回以降一人ずつ繰り下げます)


印は特選に選ばれた作品です。

<鈴木蓮囲池 選>
綿虫や失意の避難八ヶ月 貞風
綿虫やふわりと禍福受け流す弁慶
栗拾い子らの手にする線量計三甫
秋祭どどどんどんと遠太鼓游悦
オホーツク紅を極める珊瑚草興山

<平山越庵 選>
綿虫をもろ手で囲み話しかけ 貞風
遊びから新発見や星月夜興山
足るを知る心がありて栗の飯弁慶
秋祭どどどんどんと遠太鼓游悦
オホーツク荒ぶるきざし珊瑚草蓮囲池

<高橋啓窓 選>
秋祭郷は無人の原子村 貞風
美しき人在りし街雪化粧竹林
被曝地の栗誰に季を告げるべき蓮囲池
オホーツクの海青々し珊瑚草仲安
砂浜を朱に染めつくす珊瑚草游悦

<伊東興山 選>
珊瑚草まだ見ぬ装ひ夢に見る 弁慶
栗飯をよそふ妻の手渋に染み仲安
代替わり疎遠になりし秋祭越庵
秋祭宴の膳に主なく竹林
綿虫や消え行く命手のひらに仲安

<三浦三甫 選>
豊穣を祝ふ獅子舞秋祭 仲安
綿虫やふわりと禍福受け流す弁慶
四世代家族の囲む栗ご飯游悦
美しき人在りし街雪化粧竹林
野に遊びハイネを読んで秋深し游悦

<内山竹林 選>
栗飯をよそふ妻の手渋に染み 仲安
豊穣を祝ふ獅子舞秋祭仲安
四世代家族の囲む栗ご飯游悦
能取湖や夕日に映える珊瑚草啓窓
オホーツク紅を極める珊瑚草興山

<中野仲安 選>
遊ぶ気も失せて避難の秋暮るる 貞風
栗拾ふふと母の声拾いけり蓮囲池
東慶寺綿虫遊ぶ恩師の碑竹林
半生の繰り言独り栗をむく蓮囲池
被曝地の栗誰に季を告げるべき蓮囲池

<松本貞風 選>
綿虫やふわりと禍福受け流す 弁慶
代替わり疎遠になりし秋祭越庵
栗つづく常陸の国をさ迷えり越庵
オホーツクの色なき海よ珊瑚草柏葉
被曝避け遊ぶ子らなし行く秋野仲安

<深谷柏葉 選>
秋祭宴の膳に主なく 竹林
綿虫やふわりと禍福受け流す弁慶
四世代家族の囲む栗ご飯游悦
足るを知る心がありて栗の飯弁慶
オホーツク荒ぶるきざし珊瑚草蓮囲池

<武蔵弁慶 選>
綿虫や消え行く命手のひらに 仲安
秋祭郷は無人の原子村貞風
栗拾い子らの手にする線量計三甫
綿虫を追いかけさわぐ子らの声啓窓
オホーツク紅を極める珊瑚草興山

<奥山游悦 選>
綿虫や消え行く命手のひらに 仲安
綿虫やふわりと禍福受け流す弁慶
栗飯をよそふ妻の手渋に染み仲安
美しき人在りし街雪化粧竹林
オホーツク荒ぶるきざし珊瑚草蓮囲池



HP更新用に貞風幹事から毎回投句全句を送っていただいております。場外かつ事後ですが、小生も選のようなことをやってみました。お邪魔でしょうがご宥恕くださいますよう。
<岩渕如雨 場外選
秋祭郷は無人の原子村貞風
綿虫の重たき空を舞ふ日かな柏葉
半生の繰り言独り栗をむく蓮囲池
オホーツクの色なき海よ珊瑚草柏葉
被曝地の栗誰に季を告げるべき蓮囲池



<互選句まとめ>
5点 綿虫やふわりと禍福受け流す 弁慶
3点 綿虫や消え行く命手のひらに ☆☆仲安
3点 栗飯をよそふ妻の手渋に染み 仲安
3点 四世代家族の囲む栗ご飯  游悦
3点 美しき人在りし街雪化粧 竹林
3点 オホーツク荒ぶるきざし珊瑚草  蓮囲池
3点 オホーツク紅を極める珊瑚草  興山
2点 豊穣を祝ふ獅子舞秋祭 仲安
2点 秋祭郷は無人の原子村 貞風
2点 秋祭宴の膳に主なく 竹林
 
    他の2点句 ‥‥  5句
    1 点 句 ‥‥ 16句
      (うち特選句 ‥‥  3句)
 

印は互選で特選に選ばれたものです。(☆☆、☆☆☆は多重選)
2点句は特選に選ばれたもののみ記載。


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すすき


第38回句会

2011年9月22日(金)  於 :学士会館
兼 題:露草(月草)、虫(蟲)、天の川、秋思、立(要季語)。当季雑詠。

会員の互選の結果です。
選者の配列順は俳号の50音順です。
(次回以降一人ずつ繰り下げます)


印は特選に選ばれた作品です。

<平山越庵 選>
絵筆置き故郷の被曝秋思ふ 仲安
露草に孤高の貌や無縁墓蓮囲池
故郷は立ち入り禁止野分入る貞風
ハタと止む虫の音さては恋成就貞風
節電の街ひと筋に天の川蓮囲池

<高橋啓窓 選>
露草や目立たぬ装ひ母の影 弁慶
こちら地球生死の星よ天の川貞風
天の川能登の御陣乗遠く聞く柏葉
末法の世とも覚える秋思かな蓮囲池
屋根たたく雨音止みて虫の声仲安

<三浦三甫 選>
安達太良の智恵子の空に銀河澄む 弁慶
ローカル線秋風乗せて田を走る弁慶
野生化を拗ねてはならじ月見草越庵
立待の雲に翳りて酔ひ少し柏葉
子を託す線量計や秋の宿貞風

<中野仲安 選>
ふるさとを捨てる子らあり秋立ちぬ 弁慶
ローカル線秋風乗せて田を走る弁慶
図書館の窓からひとひら秋思う三甫
故郷は立ち入り禁止野分入る貞風
節電の街ひと筋に天の川蓮囲池

<松本貞風 選>
節電の街ひと筋に天の川 蓮囲池
野生化を拗ねてはならじ月見草越庵
露草に孤高の貌や無縁墓蓮囲池
一条の滝流るるや岩立ちて仲安
末法の世とも覚える秋思かな蓮囲池

<深谷柏葉 選>
安達太良の智恵子の空に銀河澄む 弁慶
慰霊地に銀漢ひとすじ奥黒部越庵
露草に孤高の貌や無縁墓蓮囲池
山岳やま野営愁思覚えしはじめなり越庵
ハタと止む虫の音さては恋成就貞風

<武蔵弁慶 選>
露草に孤高の貌や無縁墓 蓮囲池
末枯れ蝉時を尽せし宴かな柏葉
慰霊地に銀漢ひとすじ奥黒部越庵
図書館の窓からひとひら秋思う三甫
ハタと止む虫の音さては恋成就貞風

<鈴木蓮囲池 選>
当たり前を幸せと知る秋思かな 貞風
末枯れ蝉時を尽せし宴かな柏葉
立待の雲に翳りて酔ひ少し柏葉
子を託す線量計や秋の宿貞風
摩周湖や霧が走りて容姿見せ啓窓

<互選句まとめ>
4点 露草に孤高の貌や無縁墓 蓮囲池
3点 節電の街ひと筋に天の川 蓮囲池
3点 ハタと止む虫の音さては恋成就 貞風
2点 安達太良の智恵子の空に銀河澄む  ☆☆弁慶
 
    他の2点句 ‥‥  9句
    1 点 句 ‥‥ 10句
      (うち特選句 ‥‥  4句)
 


印は互選で特選に選ばれた句です。(☆☆、☆☆☆は多重選)
2点句は特選に選ばれたもののみ記載。


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金魚玉



第37回句会

2011年7月22日(金)  於 :学士会館
兼 題:香水、青嵐、 鬼灯(ほほづき)、虹、海(要季語)。当季雑詠。

会員の互選の結果です。
選者の配列順は俳号の50音順です。
(次回以降一人ずつ繰り下げます)


印は特選に選ばれた作品です。

<高橋啓窓 選>
いつの日か渡つてみたい虹の橋 弁慶
虹のの向うに明日の希望見む蓮囲池
香水のときめきほのか老いの身に蓮囲池
鬼灯を鳴らして笑顔おさなごや興山
香水のほのかな薫り涼をよぶ三甫

<伊東興山 選>
鼓笛隊ひるまず進む青嵐 游悦
いつの日か渡つてみたい虹の橋弁慶
青嵐雲の崩れて山洗ふ仲安
撫子の揉まれて勁し世界一越庵
ナイスオン妨げたるは青嵐三甫

<三浦三甫 選>
青嵐加賀百万石の屋敷門 蓮囲池
いつの日か渡つてみたい虹の橋弁慶
吾が街を覆う夕虹明日は晴れ越庵
夏の海幾多の命彷徨える弁慶
香水をつけて娘の初見合啓窓

<中野仲安 選>
夏の海幾多の命彷徨える 弁慶
虹の扉の向うに明日の希望見む蓮囲池
水底に魔人住みゐる夏の海游悦
夢覚めてなお人恋し夏の海貞風
香水のほのかな薫り涼をよぶ三甫

<松本貞風 選>
亡き人の現と願ふ星祭 柏葉
豊穣の海よなぞ打ち解けぬ夏の雲柏葉
鬼灯市若き二人の誓い合い三甫
青嵐加賀百万石の屋敷門蓮囲池
舟虫が驚き走る海の風興山

<深谷柏葉 選>
青嵐加賀百万石の屋敷門 蓮囲池
青嵐雲の崩れて山洗ふ仲安
香水のときめきほのか老いの身に蓮囲池
夢覚めてなお人恋し夏の海貞風
福島に重き八月六日来る貞風

<武蔵弁慶 選>
香水をつけて娘の初見合 啓窓
虹を見る子らの頭に放射能三甫
鬼灯に郷愁の色夜店の灯蓮囲池
炎天の白き記憶や敗戦忌柏葉
青嵐加賀百万石の屋敷門蓮囲池

<奥山游悦 選>
撫子の揉まれて勁し世界一 越庵
青嵐雲の崩れて山洗ふ仲安
外航路強き香水擦れ違う越庵
夢覚めてなお人恋し夏の海貞風
福島に重き八月六日来る貞風

<鈴木蓮囲池 選>
水底に魔人住みゐる夏の海 游悦
?瑰はまなすや蝦夷海霧じり切れてあでやかに啓窓
夏の海幾多の命彷徨える弁慶
夏校舎命あふるる町ひとつ貞風
鼓笛隊ひるまず進む青嵐游悦

<平山越庵 選>
仲見世に煩悩の波青嵐 蓮囲池
お先にと香水残し展示会游悦
鬼灯の赤く熟せし色気かな柏葉
虹消えてふともめごともいつか消え游悦
舟虫が驚き走る海の風興山

 
<互選句まとめ>
4点 青嵐加賀百万石の屋敷門 ☆☆蓮囲池
3点 夏の海幾多の命彷徨える 弁慶
3点 いつの日か渡つてみたい虹の橋  弁慶
3点 青嵐雲の崩れて山洗ふ  仲安
3点 夢覚めてなお人恋し夏の海 貞風
2点 撫子の揉まれて勁し世界一 越庵
2点 水底に魔人住みゐる夏の海 游悦
2点 香水をつけて娘の初見合  啓窓
2点 鼓笛隊ひるまず進む青嵐 游悦
 
    他の2点句 ‥‥  5句
    1 点 句 ‥‥ 16句
      (うち特選句 ‥‥  2句)
 


印は互選で特選に選ばれたものです。(☆☆、☆☆☆は多重選)
2点句は特選に選ばれたもののみ記載。


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雨蛙

第36回句会

2011年5月27日(金)  於 :学士会館
兼 題:小満、袋掛、噴井ふけゐ、ごきぶり、余花。東日本大震災に
関する句(春又は夏)。当季雑詠。

会員の互選の結果です。
選者の配列順は俳号の50音順です。
(次回以降一人ずつ繰り下げます)


印は特選に選ばれた作品です。

<伊東興山 選>
涅槃雪母子影抱く消防士 貞風
ごきぶりやひたむき生きる我が沈思弁慶
万の人いずこに眠る春の海仲安
袋掛明日の希望を包みけり蓮囲池
狙い手に呼吸を合わす油虫游悦

<三浦三甫 選>
春の海瓦礫の山を拝む僧 興山
ごきぶりも避難地探す地震の夜越庵
蠣集め唐桑からくわの海再起期す竹林
風評にめげず一家で袋掛弁慶
葉桜に朝日差し込み緑映え啓窓

<内山竹林 選>
てんでんこ生死の分かれ余花白し 越庵
小満や作付けのなき田はなげく蓮囲池
大津波遺影を胸に卒業歌仲安
春の海瓦礫の山を拝む僧興山
北方の噴井が醸す銘酒かな弁慶

<松本貞風 選>
春の海瓦礫の山を拝む僧 興山
ごきぶりも避難地探す地震なゐの夜越庵
てんでんこ生死の分かれ余花白し越庵
風評にめげず一家で袋掛弁慶
箸一膳噴井に浮かぶ侘住い蓮囲池

<武蔵弁慶 選>
ごきぶりも避難地探す地震の夜  越庵
小満や作付けのなき田はなげく蓮囲池
峠越え眼下に霞む余花の谷興山
小満の空に謦咳三回忌越庵
春の海瓦礫の山を拝む僧興山

<奥山游悦 選>
望郷の涙のメール余花一行 貞風
てんでんこ生死の分かれ余花白し越庵
線量の値に迷う余寒かな貞風
海底みなそこを見せて逆襲地震の波竹林
春の海瓦礫の前の僧侶かな興山

<鈴木蓮囲池 選>
海山をそこに呼び寄せ袋掛 越庵
風評にめげず一家で袋掛弁慶
峠越え眼下に霞む余花の谷興山
小満の空に謦咳三回忌越庵
北方の噴井が醸す銘酒かな弁慶

<平山越庵 選>
箸一膳噴井に浮かぶ侘住い 蓮囲池
小満や日々恙無く漲れり弁慶
蠣集め唐桑の海再起期す竹林
袋掛老夫ゆつたり手際よく修人
蘭学のここに生れし余花燦々蓮囲池

<高橋啓窓 選>
北方の噴井が醸す銘酒かな 弁慶
地震去りて見上ぐる崖に余花の風游悦
梨棚や笑顔飛出す袋掛け興山
古稀なるも人には負けぬ袋掛け游悦
袋掛明日の希望を包みけり蓮囲池

  
<互選句まとめ>
5点 春の海瓦礫の山を拝む僧 ☆☆興山
3点 ごきぶりも避難地探す地震の夜 越庵
3点 てんでんこ生死の分かれ余花白し 越庵
3点 北方の噴井が醸す銘酒かな 弁慶
3点 風評にめげず一家で袋掛 弁慶
2点 箸一膳噴井に浮かぶ侘住い 蓮囲池
 
    他の2点句 ‥‥  5句
    1 点 句 ‥‥ 16句
      (うち特選句 ‥‥  3句)
 


印は互選で特選に選ばれたものです。(☆☆、☆☆☆は多重選)
2点句は特選に選ばれたもののみ記載。




谿 聲 主 宰 選

――第31回句会以来の主宰選です――
<特選>は特に選定していませんので、全句<佳選>としています。
掲載は俳号の50音順です。
 
<佳 選>
海山をそこに呼び寄せ袋掛越庵
小満の空に謦咳三回忌越庵
鈴蘭の森に漂う良き香り啓窓
峠越え眼下に霞む余花の谷興山
四万しまの湯は山分け入りて余花曇柏葉
余花散りて恩師眠れる東慶寺竹林
大津波泥土の中に木の芽萌ゆ仲安
大津波遺影を胸に卒業歌仲安
線量の値に迷う余寒かな貞風
トンネルを抜けて里山余花にあり弁慶
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さくら

第35回句会

2011年3月25日(金)  於 :(通信句会)
兼 題:花曇、陽炎、風車かざぐるま、巣箱、蒲公英。当季雑詠。

今回は東日本大震災のため通信による投句・互選となりました。

会員の互選の結果です。
選者の配列順は俳号の50音順です。
(次回以降一人ずつ繰り下げます)


印は特選に選ばれた作品です。

<三浦三甫 選>
世の末はかくの如きか三月に 游悦
陽炎をまとい一両電車くる蓮囲池
迷ひ子のしかと握りしかざぐるま柏葉
カタカタと余震の揺する空巣箱越庵
廃屋の屋根にたんぽぽ二三輪仲安

<中野仲安 選>
底知れぬ地震なゐのゆらぎに春の雪 游悦
無心なれどなほ想ひあり花曇修人
世を眺め己を見詰め花曇越庵
陽炎をまとい一両電車くる蓮囲池
朽ち果てし巣箱樹の上声響く興山

<松本貞風 選>
カタカタと余震の揺する空巣箱 越庵
陽炎をまとい一両電車くる蓮囲池
陽炎や流れし家のまぼろしか游悦
迷ひ子のしかと握りしかざぐるま柏葉
万人の露命呑み込む春の波弁慶

<深谷柏葉 選>
宿痾しゅくあともつきあい疲れ花曇り 蓮囲池
陽炎や防災頭巾の終業子越庵
陽炎をまとい一両電車くる蓮囲池
風向きも被災を招く風車越庵
蒲公英の棚田を一つずつ結び 蓮囲池

<武蔵弁慶 選>
世を眺め己を見詰め花曇 越庵
陽炎や流れし家のまぼろしか游悦
三陸の孤島に残る風車游悦
廃屋の屋根にたんぽぽ二三輪仲安
世の末はかくの如きか三月に游悦

<奥山游悦 選>
カタカタと余震の揺する空巣箱 越庵
宿痾ともつきあい疲れ花曇り蓮囲池
陽炎をまとい一両電車くる蓮囲池
風向きも被災を招く風車越庵
亡き友が希望託した巣立鳥弁慶

<鈴木蓮囲池 選>
御柱天空を突く花曇 弁慶
花曇り合掌のの二階開く柏葉
陽炎や防災頭巾の終業子越庵
迷ひ子のしかと握りしかざぐるま柏葉
蒲公英や赤い靴履く女の子貞風

<平山越庵 選>
陽炎をまとい一両電車くる 蓮囲池
花曇り合掌の家の二階開く柏葉
迷ひ子のしかと握りしかざぐるま柏葉
たんぽぽは坊主となりぬ潔し修人
地震津波放射線降る雪の果貞風

<高橋啓窓 選>
陽炎や流れし家のまぼろしか 游悦
津波去り人影もなき花曇游悦
よちよちと歩く片手に風車仲安
月影にカタコト揺るる巣箱かな修人
万人の露命呑み込む春の波弁慶

<伊東興山 選>
迷ひ子のしかと握りしかざぐるま 柏葉
津波去り人影もなき花曇游悦
陽炎や流れし家のまぼろしか游悦
鳥来ぬと細工しすぎの巣箱かな仲安
連翹の目立ちすぎたる宴かな柏葉

<互選句まとめ>
6点 陽炎をまとい一両電車くる 蓮囲池
5点 迷ひ子のしかと握りしかざぐるま 柏葉
4点 陽炎や流れし家のまぼろしか 游悦
3点 カタカタと余震の揺する空巣箱 ☆☆越庵
2点 世の末はかくの如きか三月に  游悦
2点 宿痾ともつきあい疲れ花曇り 蓮囲池
2点 世を眺め己を見詰め花曇  越庵
 
    他の2点句 ‥‥  6句
    1 点 句 ‥‥ 14句
      (うち特選句 ‥‥  2句)
 

印は互選で特選に選ばれたものです。(☆☆、☆☆☆は多重選)
2点句は特選に選ばれたもののみ記載。


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俵ねずみ


第34回句会

2011年1月28日(金)  於 :学士会館
兼 題:御降り、山茶花、氷柱、雑煮。当季雑詠。

会員の互選の結果です。
選者の配列順は俳号の50音順です。
(次回以降一人ずつ繰り下げます)

!! 今回から新会員深谷 柏葉さんが加わりました!!


印は特選に選ばれた作品です。

<中野仲安 選>
人生の下書きはなし筆始 弁慶
洟垂れて追いつ抜かれつつらら喰う幸風
初釜に着飾つた妻いそいそと啓窓
太氷柱出入りを塞ぐ槍衾やりふすま越庵
四方晴れて垂氷かがやき陽の雫幸風
御降りを受けし我が身のひきしまり游悦

<松本貞風 選>
御降りや酔うてわが子の決意聞く 柏葉
初茶湯白き指先まぶしくて游悦
人生の下書きはなし筆始弁慶
太氷柱出入りを塞ぐ槍衾越庵
真つ直ぐに生きている証し雑煮食ふ弁慶
半眠り雑煮の膳の老いし母幸風

<深谷柏葉 選>
山茶花や素足の僧の高箒 蓮囲池
人しづか終着駅の大氷柱修人
竹の葉を包み輝く氷柱かな興山
山眠る恩師も眠る東慶寺竹林
仁王立つ大山たいざん春を押し包み幸風
半眠り雑煮の膳の老いし母幸風

<武蔵弁慶 選>
氷柱して棟を寄せ合う谷部落 蓮囲池
炊き出しの雑煮食らうて故郷くに思う三甫
山茶花や素足の僧の高箒蓮囲池
立往生窓に氷柱の車列かな貞風
山眠る恩師も眠る東慶寺竹林
御降に家族揃つて祝い酒啓窓

<平山越庵 選>
氷柱もぎ捧げ銃して小屋を発つ 蓮囲池
竹の葉を包み輝く氷柱かな興山
人生の下書きはなし筆始弁慶
一椀に郷土まるごと雑煮餅蓮囲池
山茶花や素足の僧の高箒蓮囲池
御降りや参道長靴の列となり蓮囲池

<高橋啓窓 選>
御降りや酔うてわが子の決意聞く 柏葉
人しづか終着駅の大氷柱修人
山荘の氷柱に映る蔵王かな游悦
朝日受け七色放つ軒氷柱仲安
孫子にも我が家の雑煮なじみおり竹林
氷柱負い袋田の滝森閑と竹林

<伊東興山 選>
御降に家族揃つて祝い酒 啓窓
冬枯に夕陽を映す円覚寺竹林
人生の下書きはなし筆始弁慶
一椀に郷土まるごと雑煮餅蓮囲池
みちのくの味を受け継ぐ雑煮かな游悦
山茶花の露一滴や明けの空柏葉

<小林幸風 選>
御降りや酔うてわが子の決意聞く 柏葉
産土の違いも語り雑煮かな越庵
立往生窓に氷柱の車列かな貞風
山茶花の剪定されて空き店舗貞風
御降りを受けし我が身のひきしまり游悦
氷柱もぎ捧げ銃して小屋を発つ蓮囲池

<三浦三甫 選>
山茶花や素足の僧の高箒 蓮囲池
スカイツリークレーンは挑む冬天に貞風
人生の下書きはなし筆始弁慶
一椀に郷土まるごと雑煮餅蓮囲池
人波に我が身任せて初詣修人
山茶花や天女ひらりと舞い降りぬ弁慶

<小川修人 選>
ふるさとは恩讐の彼方雑煮食ふ 柏葉
洟垂れて追いつ抜かれつつらら喰う幸風
山荘の氷柱に映る蔵王かな游悦
氷柱をも口に含んだ幼い日弁慶
朝日受け七色放つ軒氷柱仲安
山茶花の一片落ちて妻の愚痴三甫

<内山竹林 選>
冬の川暮れて一筋薄明り 貞風
人生の下書きはなし筆始弁慶
朝日受け七色放つ軒氷柱仲安
しんしんと大地に突きさす寒さかな仲安
四方晴れて垂氷煌き陽の雫幸風
山茶花の一片落ちて妻の愚痴三甫

 
<互選句まとめ>
6点 人生の下書きはなし筆始 弁慶
4点 山茶花や素足の僧の高箒 ☆☆蓮囲池
3点 御降りや酔うてわが子の決意聞く ☆☆☆柏葉
3点 朝日受け七色放つ軒氷柱 仲安
3点 一椀に郷土まるごと雑煮餅 蓮囲池
2点 氷柱もぎ捧げ銃して小屋を発つ  蓮囲池
2点 御降に家族揃つて祝い酒 啓窓
 
    他の2点句 ‥‥ 11句
    1 点 句 ‥‥ 21句
     (うち特選句 ‥‥ 3句)
 


印は互選で特選に選ばれたものです。(☆☆、☆☆☆は多重選)
2点句は特選に選ばれたもののみ記載。


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もみじ


第33回句会

2010年11月26日(金)  於 :学士会館
兼 題:行く秋、刈田、菊、凩、雨(要季語)。当季雑詠。

会員の互選の結果です。
選者の配列順は俳号の50音順です。
(次回以降一人ずつ繰り下げます)


印は特選に選ばれた作品です。

<松本貞風 選>
ゴム長の跡の残りし刈田かな 游悦
訪ね来し荷風の墓に秋時雨游悦
八十路にてノーベル賞の菊日和游悦
遠刈田榛名の裾へ眠りつき蓮囲池
行く秋やうつむく少女終電車弁慶

<武蔵弁慶 選>
凩を乗せてダンプの唸りゆく 貞風
凩のころがす朴葉歩を急かす蓮囲池
木枯しにあらがふごとく太極拳游悦
ゴム長の跡の残りし刈田かな游悦
凩に法螺の音和する高尾山修人

<鈴木蓮囲池 選>
晩鐘や刈田に長き己が影 修人
凩に手を携えて若夫婦啓窓
谷津刈田くの字の先を歩みけり越庵
木枯しにあらがふごとく太極拳游悦
ゴム長の跡の残りし刈田かな游悦

<平山越庵 選>
町二つチャイム行き交ふ刈田かな 貞風
木枯しにあらがふごとく太極拳游悦
秋黴雨一葉落ちても気概あり弁慶
行く秋を白骨の湯に身をほぐす蓮囲池
行く秋や鉄塔の街貌を変え蓮囲池


<高橋啓窓 選>
行く秋や湖畔の二人初夜の色 貞風
凩に法螺の音和する高尾山修人
訪ね来し荷風の墓に秋時雨游悦
菊薫り墓石新たに三回忌三甫
ふるさとの刈田やさしく吾迎え弁慶

<伊東興山 選>
晩鐘や刈田に長き己が影 修人
凩のころがす朴葉歩を急かす蓮囲池
木枯しにあらがふごとく太極拳游悦
八十路にてノーベル賞の菊日和游悦
菊の香や心も癒す阿弥陀堂仲安

<三浦三甫 選>
訪ね来し荷風の墓に秋時雨 游悦
八十路にてノーベル賞の菊日和游悦
行く秋や番が睦む寺の池興山
晩鐘や刈田に長き己が影修人
菊の香や心も癒す阿弥陀堂仲安

<小川修人 選>
煩ひも駈け抜けて行く冬時雨 越庵
木枯しにあらがふごとく太極拳游悦
菊薫り墓石新たに三回忌三甫
行く秋や湖畔の二人初夜の色貞風
行く秋やうつむく少女終電車弁慶

<中野仲安 選>
菊晴れや懸崖孔雀の羽拡げ 蓮囲池
木枯しにあらがふごとく太極拳游悦
八十路にてノーベル賞の菊日和游悦
黄金波帰路は刈田に月光興山
古民家に菊自慢居て客一人貞風

<互選句まとめ>
6点 木枯しにあらがふごとく太極拳 游悦
4点 八十路にてノーベル賞の菊日和 游悦
3点 晩鐘や刈田に長き己が影 ☆☆修人
3点 ゴム長の跡の残りし刈田かな 游悦
3点 訪ね来し荷風の墓に秋時雨 游悦
2点 行く秋や湖畔の二人初夜の色 貞風
    他の2点句 ‥‥  5句
    1 点 句 ‥‥ 14句
 


印は互選で特選に選ばれた句です。(☆☆、☆☆☆は多重選)
2点句は特選に選ばれたもののみ記載。


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すすき


第32回句会

2010年9月24日(金)  於 :学士会館
兼 題:団栗、きりぎりす、流星、運動会、水(要季語)。当季雑詠。

会員の互選の結果です。
選者の配列順は俳号の50音順です。
(次回以降一人ずつ繰り下げます)


印は特選に選ばれた作品です。

<武蔵弁慶 選>
少年の夢ははやぶさ流れ星 貞風
山ふたつ越えて母来し運動会貞風
運動会敬老席にどっしりと三甫
どんぐりや縄文人の歌を聞く越庵
団栗の山へ帰るか夕鴉修人

<鈴木蓮囲池 選>
少年の夢ははやぶさ流れ星 貞風
山ふたつ越えて母来し運動会貞風
夕闇に溶けゆく富士と鱗雲修人
はや釣りの水輪あちこち秋の色修人
芭蕉見し佐渡の夜空に流れ星弁慶

<平山越庵 選>
地に還る団栗輪廻の音と思ふ 蓮囲池
山ふたつ越えて母来し運動会貞風
雨止みて草いきいきときりぎりす仲安
筆置きて水辺に憩ふ残暑かな仲安
芭蕉見し佐渡の夜空に流れ星弁慶

<高橋啓窓 選>
少年の夢ははやぶさ流れ星 貞風
山ふたつ越えて母来し運動会貞風
島尻に流星墜ちて霊眠る蓮囲池
団栗や童詩の世界醸し出す弁慶
どんぐりや縄文人の歌を聞く越庵

<三浦三甫 選>
芭蕉見し佐渡の夜空に流れ星 弁慶
団栗の数を競へり子と父と游悦
競争の事始なり運動会越庵
孫の手に引かれて楽し運動会啓窓
山水で果菜を浸す秋の里弁慶

<小川修人 選>
少年の夢ははやぶさ流れ星 貞風
悪ガキもこの日は主役運動会游悦
きりぎりす国と吾との貧を鳴く越庵
チミチップ湖面を走る流れ星啓窓
どんぐりや縄文人の歌を聞く越庵

<中野仲安 選>
きりぎりす無縁仏に雅を奏で 蓮囲池
夕闇に溶けゆく富士と鱗雲修人
団栗の弾ける音や野の祠 蓮囲池
秋水にヤマベ飛び跳ね一葉落つ啓窓
芭蕉見し佐渡の夜空に流れ星弁慶

<松本貞風 選>
どんぐりや縄文人の歌を聞く 越庵
綱引きとならば出て行く運動会蓮囲池
どこやらでまた喚声の運動会仲安
チミチップ湖面を走る流れ星啓窓
団栗の山へ帰るか夕鴉修人

<互選句まとめ>
4点 少年の夢ははやぶさ流れ星 ☆☆☆☆貞風
4点 どんぐりや縄文人の歌を聞く 越庵
4点 芭蕉見し佐渡の夜空に流れ星 弁慶
4点 山ふたつ越えて母来し運動会 貞風
    3 点 句 ‥‥  なし
    2 点 句 ‥‥  3句
    1 点 句 ‥‥ 18句
     (うち特選句 ‥‥ 2句)
 


印は互選で特選に選ばれたものです。(☆☆、☆☆☆は多重選)
3点句はなし。2点句は特選に選ばれたもののみ記載しますが、該当なし。



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金魚玉



第31回句会

2010年7月23日(金)  於 :学士会館
兼 題:喜雨、日焼、落し文、西瓜、踊。当季雑詠。

谿 聲 主 宰 選
<特 選> 
黙祷の刻々赤く広島忌貞風
懇ろにさん俵かけ大西瓜越庵
   ※ さんだわら(桟 俵)=俵の両端の口に当てる円形の藁蓋(わらぶた)
 
<佳 選> 
喜雨のあと大地の香り満ち満ちて                仲安
菜園に喜雨とはしやぎし妻の顔興山
ここかしこよさこいそおらん夏嵐修人
湯の町の湯の香にほへる踊りかな弁慶
西瓜食う子らの頭上に飛行雲三甫
日焼けして語りあきずに山土産蓮囲池
声援にとどめをさして西瓜割 游悦
夕焼けに染まつて遊ぶ元気な子啓窓
碁敵が自作の西瓜下げて来し蓮囲池





以下は会員の互選の結果です。
選者の配列順は俳号の50音順です。

印は特選に選ばれた作品です。

<奥山游悦 選>
開墾の村は喜雨無く日が暮れて 貞風
日焼けして語りあきずに山土産蓮囲池
今日ばかり踊らにや損と町ぐるみ蓮囲池
祖の城址我に拾えと落し文越庵
碁敵が自作の西瓜下げて来し蓮囲池

<平山越庵 選>
喜雨未だ老犬焦れて吠えにけり 修人
苦しみも嫌悪も忘れ踊る群れ仲安
落し文一生の恥あの世まで貞風
日焼けして語りあきずに山土産蓮囲池
碁敵が自作の西瓜下げて来し蓮囲池

<高橋啓窓 選>
喜雨のあと大地の香り満ち満ちて 仲安
去る人に思ひ伝へず落し文弁慶
ここかしこよさこいそおらん夏嵐修人
西瓜食う子らの頭上に飛行雲三甫
落し文山河は昔のままにして蓮囲池

<伊東興山 選>
苦しみも嫌悪も忘れ踊る群れ 仲安
黙祷の刻々赤く広島忌貞風
何色で染めんあの子の日焼顔貞風
人も樹も大地も嬉々と喜雨のあと仲安
迷子泣く日焼けの首にペンダント游悦

<三浦三甫 選>
碁敵が自作の西瓜下げて来し 蓮囲池
菜園に喜雨とはしやぎし妻の顔興山
汗かけと言われた父の目に慈愛啓窓
夜来喜雨火壇の跡の黒さかな越庵
年よりも若く輝く踊笠啓窓

<小川修人 選>
去る人に思ひ伝へず落し文 弁慶
日傘行くスカイツリーを上に乗せ游悦
浜日焼け撮み食いせし煮干しかな越庵
落し文ころころころと妻の手に仲安
年よりも若く輝く踊笠啓窓

<中野仲安 選>
夜来喜雨火壇の跡の黒さかな 越庵
何色で染めんあの子の日焼顔貞風
湯の町の湯の香にほへる踊りかな弁慶
汗かけと言われた父の目に慈愛啓窓
喜雨来たり村の山々生き生きと啓窓

<松本貞風 選>
碁敵が自作の西瓜下げて来し 蓮囲池
去る人に思ひ伝へず落し文弁慶
乾き切つた心に染みる喜雨いたる弁慶
キャッチする球児の安堵日焼顔弁慶
迷子泣く日焼けの首にペンダント游悦

<武蔵弁慶 選>
開墾の村は喜雨無く日が暮れて 貞風
背中見せサーブの少女日焼して修人
井戸端で母の冷やした西瓜食う啓窓
人も樹も大地も嬉々と喜雨のあと仲安
喜雨いたる畔道急ぐ農二人游悦

<互選句まとめ>
4点 碁敵が自作の西瓜下げて来し ☆☆蓮囲池
3点 去る人に思ひ伝へず落し文 弁慶
2点 開墾の村は喜雨無く日が暮れて ☆☆貞風
2点 苦しみも嫌悪も忘れ踊る群れ 仲安
2点 夜来喜雨火壇の跡の黒さかな 越庵
    他の2点句 ‥‥  6句
    1 点 句 ‥‥ 20句
 


印は互選で特選に選ばれたものです。(☆☆、☆☆☆は多重選)
2点句は特選に選ばれたもののみ記載。


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「句 会 会 報」(谿聲主宰作成)は こちらの「開催記録」からご覧になれます。('08.02.04)





<  会      員  >

谿 聲けいせい村上 幹也
 (主宰)
蓮囲池れんいち鈴木 錬一
幸 風こうふう小林 幸司 越 庵えつあん平山 隆一
貞 風ていふう松本 貞 仲 安ちゅうあん中野 安弘
弁 慶べんけい武蔵 好彦 如 雨じょう岩渕 上
修 人しゅうじん小川 修 竹 林ちくりん内山 武司
竹 風ちくふう加賀美 一 興 山こうざん伊東 興三
三 甫さんぽ三浦 器允 啓 窓けいそう高橋 啓悟
游 悦ゆうえつ奥山 興悦 柏 葉はくよう深谷 武



(初 出 順)


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