萩の香る宮城野

東北大鬼城句会例会記録Ⅲ

村 上 谿 聲 主 宰 の 同 窓 句 会 例 会

このページは第21回('08/11)から第30回('10/5)までの例会記録です。

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このほかの例会記録

例会記録Ⅰ第 1~ 9回('05/ 7~'06/11)
例会記録Ⅶ第61~69回('15/ 7~'16/11)
例会記録Ⅱ第10~20回('07/ 1~'08/ 9)
例会記録Ⅷ第70~78回('17/ 1~'18/ 5)
例会記録Ⅲ第21~30回('08/11~'10/ 5)
例会記録Ⅸ第79~87回('18/ 7~'19/11)
例会記録Ⅳ第31~40回('10/ 7~'12/ 1)
例会記録Ⅹ第88~99回('20/ 1~'21/11)
例会記録Ⅴ第41~51回('12/ 3~'13/11)
例会記録ⅩⅠ第100~111回('22/ 1~'23/11)
例会記録Ⅵ第52~60回('14/ 1~'15/ 5)
例会記録ⅩⅡ第111~………回('24/ 1~……)

誤字、表記違いあるいは作者名等に気づかれましたらお知らせください。
ご注意:インターネットエクスプローラ8(IE8.0)では形式が崩れるところがあります。


雨蛙

第30回句会

2010年5月28日(金)  於 :鬼城草庵
兼 題:薄暑、繭又は蚕、ダービー、海月、石楠花。「恋」。当季雑詠

  3年ぶりの高崎・鬼城草庵での句会は、会員8名に加えて地元の「櫻草」同人7名の参加を得て盛大に開催されました。欠席の会員の投句を含めて対象の句は80句、各人の選は6句、なかなか難しい選句でした。
  谿聲主宰は諸事不自由の中選句してくださいました。久々に主宰の選を掲載します。


谿 聲 主 宰 選

<特 選> 
初恋はわが胸の中櫻貝季与
沖に向けテナーサックス夕薄暑游悦

<佳 選> 
ほととぎす恋を託せし万葉歌越庵
ダービーの記憶の中にハイセイコー良子
石楠花や君に添はんと深山より越庵
蠶棚たて母屋すつかり取られけりトシ子
峠道繭にまつわる哀史あり蓮囲池
昔日の蚕の匂ひ残す町興山






以下は会員と特別参加「櫻草」同人の互選の結果です。

選者の配列順は俳号の50音順です。
(次回以降一人ずつ繰り下げます)


印は特選に選ばれた作品です。


<平山越庵 選>
チェーンソー唸る里山薄暑かな 修人
大宇宙海月となつて仰ぎたし修人
胎内にあるごと海月海明くる如雨
恋ゆえや犬遠吠えす夏の夜郁子
絹羽織る繭の命の重さかな游悦
石楠花に隠れて神札所ふだしょ巫女ひとり如雨 

<高橋啓窓 選>
初恋はわが胸の中櫻貝 季与
宇治川の小波さざなみ光る薄暑かな興山 
鬼城庵訪うて期すこと若葉風青郎
石楠花に初旅らしき二人かな蓮囲池
ほととぎす恋を託せし万葉歌越庵
君が弾くショパンに酔ひて薄暑かなトシ子

<伊東興山 選>
絹羽織る繭の命の重さかな 游悦
石楠花に初旅らしき二人かな蓮囲池
番待ちの碓氷製糸の繭の山親史
石楠花や君に添はんと深山より越庵
寝静まる闇に蚕や桑を裂く貞風
初恋はわが胸の中櫻貝季与

<岩渕如雨 選>
絹羽織る繭の命の重さかな 游悦
大宇宙海月となつて仰ぎたし修人
石楠花に初旅らしき二人かな蓮囲池
とばり出て髪かき上ぐる薄暑かな蒐火
ざまあみろ孑孑浮いて捕られけり親史
初恋はわが胸の中櫻貝季与

<松本貞風 選>
初恋はわが胸の中櫻貝  季与
繭籠る少女覚ひし「銀の匙」修人
君が弾くショパンに酔ひて薄暑かなトシ子
蠶棚ごだなたて母屋すつかり取られけりトシ子 
絹羽織る繭の命の重さかな游悦
石楠花に隠れて神札所巫女ひとり如雨

<武蔵弁慶 選>
上州の女工哀史や捨蚕  蒐火
チェーンソー唸る里山薄暑かな修人
ダービーの記憶の中にハイセイコー良子
意と情に流るる渡世海月かな蒐火
峠道繭にまつわる哀史あり蓮囲池
歩を合はす拾ひ歩きや夕薄暑良子

<奥山游悦 選>
上州の女工哀史や捨蚕 蒐火
二の腕のまだ白くして薄暑かなトシ子
幽玄に色ある能や杜若越庵
ときめきを秘めて一瞥更衣貞風
初恋はわが胸の中櫻貝季与
雲垂れて潮目に揺れる海月かな興山


  以下特別参加の『櫻草』同人の選です
<村上郁子 選>
 「櫻草」同人
ダービーや番狂わせは人の世も トシ子
チェーンソー唸る里山薄暑かな修人
蠶棚たて母屋すつかり取られけりトシ子
絹豆腐小鉢にとりて薄暑かな如雨
初恋はわが胸の中櫻貝季与
昔日の蚕の匂ひ残す町興山

<岸 季与 選>
 「櫻草」同人
絹羽織る繭の命の重さかな 游悦
ダービーの歓声やがて溜息へ游悦
ダービーや番狂わせは人の世もトシ子
繭掻や静寂しじま戻りて書を開く青郎
幽玄に色ある能や杜若越庵
ダービーの歓声去りて紙吹雪修人

<福島蒐火 選>
 「櫻草」同人
繭籠る少女覚ひし「銀の匙」 修人
二の腕のまだ白くして薄暑かなトシ子
片思ひ破れて薄暑手紙焼く貞風
失恋の人間否定木下闇親史
峠道繭にまつわる哀史あり蓮囲池
沖に向けテナーサックス夕薄暑游悦

<坂口青郎 選>
 「櫻草」同人
蘭学の事始めとぞ海月分け 蓮囲池
ほととぎす恋を託せし万葉歌越庵
人恋ひてニセアカシヤに迷ひたりトシ子
峠道繭にまつわる哀史あり蓮囲池
石楠花に隠れて神札所巫女ひとり如雨
目的は成らずも帰路の薄暑光如雨

<高橋親史 選>
 「櫻草」同人
初恋はわが胸の中櫻貝 季与
鬼城庵訪うて期すこと若葉風青郎
とばり出て髪かき上ぐる薄暑かな蒐火
寝静まる闇に蚕や桑を裂く貞風
海月追ふ振りし岩場や君と僕青郎
ダービーや国歌独唱馬耳東風貞風

<樋口トシ子選>
 「櫻草」同人
野菊の墓読み捨てて君ジューンブライド 青郎
浜風露北の砂丘に楚々と咲き啓窓
上州の女工哀史や捨蚕蒐火
汽笛して海月の海を連絡船郁子
初恋はわが胸の中櫻貝季与
ダービーや国歌独唱馬耳東風貞風

<高橋良子 選>
 「櫻草」同人
ダービーや番狂わせは人の世も トシ子
ほととぎす恋を託せし万葉歌越庵
野菊の墓読み捨てて君ジューンブライド青郎
初恋はわが胸の中櫻貝季与
ダービーの歓声去りて紙吹雪修人
昔日の蚕の匂ひ残す町興山


<互選句まとめ>
9点 初恋はわが胸の中櫻貝  ☆☆☆季与
5点 絹羽織る繭の命の重さかな  ☆☆☆游悦
3点 上州の女工哀史や捨蚕 ☆☆蒐火
3点 ダービーや番狂わせは人の世も ☆☆トシ子
3点 チェーンソー唸る里山薄暑かな  修人
3点 ほととぎす恋を託せし万葉歌 越庵
3点 石楠花に隠れて神札所巫女ひとり如雨
3点 石楠花に初旅らしき二人かな蓮囲池
3点 峠道繭にまつわる哀史あり 蓮囲池
2点 繭籠る少女覚ひし「銀の匙」  修人
2点 野菊の墓読み捨てて君ジューンブライド 青郎
    他の2点句 ‥‥11句
    特選1点句 ‥‥ 1句
    他の1点句 ‥‥22句

印は互選で特選に選ばれたものです。(☆☆、☆☆☆は多重選)


いくつか歴史的仮名遣いでない句がありますが、清記されたまま掲載しています。
句会の席で字句を訂正されたものは修正しています。他に修正される向きがありましたら申し出でください。
以前の句会の記録についても同様に申し出ください。

鬼城草庵でのこの句会の様子が『櫻草』に掲載されました。
ここをクリックしてご覧ください。


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さくら

第29回句会

2010年3月26日(金)  於 :学士会館
兼 題:別れ霜、春泥、卒業、畑打、白魚、辛夷。当季雑詠
会員の互選の結果です。
選者の配列順は俳号の50音順です。

  (次回以降一人ずつ繰り下げます)


印は特選に選ばれた作品です。

<平山越庵 選>
白魚を胃の腑に感じ吐息かな 修人
畑打ちや百代の景今年また蓮囲池
別れ霜出稼ぎの夫いま還る蓮囲池
ドクターヘリ春泥降らし発ちにけり貞風
オカリナの外れ調子に春の雷修人

<高橋啓窓 選>
卒業や門に母子の笑顔満つ 興山
ふるさとの原野に残る別れ霜弁慶
青空に讃美歌響く辛夷かな弁慶
朝採りの菜のみずみずし別れ霜仲安
畑を打つ仕草の父に似てきたる游悦

<伊東興山 選>
白魚の一寸の身に玉光す 蓮囲池
畑打の機具も錆びたり老いの街幸風
温暖化梅が終わつて別れ霜幸風
ドクターヘリ春泥降らし発ちにけり貞風
朝採りの菜のみずみずし別れ霜仲安

<小川修人 選>
翌檜の大樹振り向き卒業す 蓮囲池
蒼穹の父祖と音信田打ちかな越庵
不ぞろひの声も交りて卒業歌游悦
畑を打つ仕草の父に似てきたる游悦
突き貫けて辛夷開拓の物語蓮囲池

<中野仲安 選>
畑打や土のふくらみ感じをり 弁慶
落葉樹透かして光る辛夷かな興山
氷踏み泥中遊びし時遥か幸風
春雷を遠耳にして板仕舞う越庵
白魚やひた向き生きる命あり弁慶

<松本貞風 選>
春泥を拭ひて通夜の客となり  仲安
畑打ちや百代の景今年また蓮囲池
不ぞろひの声も交りて卒業歌游悦
オカリナの外れ調子に春の雷修人
春泥を飛んで春泥踏みにけり弁慶

<武蔵弁慶 選>
白魚の一寸の身に玉光す 蓮囲池
蒼穹の父祖と音信田打ちかな越庵
白魚の指しなやかにハープ弾く游悦
朝採りの菜のみずみずし別れ霜仲安
急カーブ辛夷の大樹空に満ち越庵

<奥山游悦 選>
畑打や土のふくらみ感じをり 弁慶
翌檜の大樹振り向き卒業す蓮囲池
別れ霜恐れて鉢を軒下に興山
白魚の一寸の身に玉光す蓮囲池
春雷を遠耳にして板仕舞う越庵

<鈴木蓮囲池 選>
年老いて手放す畑の別れ霜 游悦
不ぞろひの声も交りて卒業歌游悦
朝採りの茶のみずみずし別れ霜仲安
白魚漁嬰(やや)も手を貸す地曳網貞風
春泥を飛んで春泥踏みにけり弁慶

<互選句まとめ>
4点 朝採りの菜のみずみずし別れ霜仲安
3点 白魚の一寸の身に玉光す ☆☆蓮囲池
3点 蒼穹の父祖と音信田打ちかな越庵
3点 不ぞろひの声も交りて卒業歌游悦
2点 畑打や土のふくらみ感じをり ☆☆弁慶
2点 別れ霜恐れて鉢を軒下に 興山
2点 翌檜の大樹振り向き卒業す 蓮囲池
1点 卒業や門に母子の笑顔満つ 興山
1点 白魚を胃の腑に感じ吐息かな 修人
1点 春泥を拭ひて通夜の客となり 仲安
1点 年老いて手放す畑の別れ霜 游悦
          (2点句、1点句は互選特選に選ばれたもののみ掲出。)
    他の2点句…… 7句
    他の1点句……13句
 


印は互選で特選に選ばれたものです。(☆☆、☆☆☆は多重選)


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俵ねずみ

第28回句会

2010年1月22日(金)  於 :学士会館
兼 題:牡蠣、おでん、初釜、冬将軍。当季雑詠

会員の互選の結果です。
選者の配列順は俳号の50音順です。

(次回以降一人ずつ繰り下げます)
<高橋啓窓 選>
健やかなことが嬉しく初点前 蓮囲池
初釜や香炉の寅も目を細め游悦
おでん鍋湯気の向うに女(ひと)の顔三甫
八甲田兵(つわもの)倒す冬将軍竹林
焼き牡蠣に松島の恋なつかしむ竹林

<伊東興山 選>
冬将軍墨絵の世界描きけり 弁慶
水鳥や距離を保ちて微妙なり貞風
初釜や香炉の寅も目を細め游悦
一茶忌や心も温むおでん酒修人
被曝者の眠る辺りか牡蠣筏貞風

<三浦三甫 選>
初釜や香炉の寅も目を細め 游悦
もともとは森の恵みぞ牡蠣の味游悦
健やかなことが嬉しく初点前蓮囲池
俊敏な孫に敗けたりかるたとり興山
冬将軍墨絵の世界描きけり弁慶

<小川修人 選>
牡蠣鍋やきまりて慷慨する人と 蓮囲池
健やかなことが嬉しく初点前蓮囲池
八甲田兵倒す冬将軍竹林
わだかまり忽ち消ゆるおでん酒游悦
被曝者の眠る辺りか牡蠣筏貞風

<岩渕如雨 選>
雑踏も冬将軍に言葉なし 興山
去年ここに友のありしを牡蠣の鍋蓮囲池
松島の青々と見ゆ牡蠣筏游悦
昭和史に己を重ね年新た弁慶
浜人の声して三和土(たたき)牡蠣の桶越庵

<内山竹林 選>
もともとは森の恵みぞ牡蠣の味 游悦
松島の青々と見ゆ牡蠣筏游悦
おでん鍋湯気の向うに女の顔三甫
浜人の声して三和土牡蠣の桶越庵
被曝者の眠る辺りか牡蠣筏貞風

<松本貞風 選>
ご心配なくと言はれて初茶席 如雨
健やかなことが嬉しく初点前蓮囲池
読初めやなほ新しき子規俳論修人
雑踏も冬将軍に言葉なし興山
冬将軍墨絵の世界描きけり弁慶

<武蔵弁慶 選>
被曝者の眠る辺りか牡蠣筏 貞風
初釜や香炉の寅も目を細め游悦
松島の青々と見ゆ牡蠣筏游悦
友来たり話しが尽きずおでん酒啓窓
おでん鍋湯気の向うに女の顔三甫

<奥山游悦 選>
浜人の声して三和土牡蠣の桶 越庵
散紅葉残らず散らす冬将軍竹林
初釜の茶室に残る人の香や 興山
読初めやなほ新しき子規俳論修人
制服のままの確かな初点前如雨

<鈴木蓮囲池 選>
制服のままの確かな初点前 如雨
浜人の声して三和土牡蠣の桶越庵
八甲田兵倒す冬将軍竹林
初釜や投げ売り羽織買うて着る貞風
被曝者の眠る辺りか牡蠣筏貞風

<平山越庵 選>
冬将軍墨絵の世界描きけり 弁慶
もともとは森の恵みぞ牡蠣の味游悦
昭和史に己を重ね年新た弁慶
読初めやなほ新しき子規俳論修人
それぞれに好めるおでん酒もまた如雨


印は特選に選ばれた作品です。


<互選句まとめ>
5点 被曝者の眠る辺りか牡蠣筏  貞風
4点 冬将軍墨絵の世界描きけり  ☆☆弁慶
4点 健やかなことが嬉しく初点前  蓮囲池
4点 浜人の声して三和土牡蠣の桶  越庵 
4点 初釜や香炉の寅も目を細め  游悦
3点 もともとは森の恵みぞ牡蠣の味  游悦
3点 おでん鍋湯気の向うに女の顔三甫
3点 読初めやなほ新しき子規俳論修人
3点 八甲田兵倒す冬将軍竹林
3点 松島の青々と見ゆ牡蠣筏游悦
2点 雑踏も冬将軍に言葉なし 興山
2点 制服のままの確かな初点前 如雨
1点 ご心配なくと言はれて初茶席 如雨
1点 牡蠣鍋やきまりて慷慨する人と 蓮囲池
           (2点句、1点句は互選特選に選ばれたもののみ掲出。)
    他の2点句…… 1句
    他の1点句……11句
 


印は互選で特選に選ばれたものです。(☆☆、☆☆☆は多重選)


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もみじ


第27回句会

2009年11月27日(金)  於 :学士会館
兼 題:夜なべ、柚子、身に入(し)む、稲架(はさ、はざ、とうか)、熊。当季雑詠。
会員の互選の結果です。
選者の配列順は俳号の50音順です。

(次回以降一人ずつ繰り下げます)
<三浦三甫 選>
安曇野の日暮は早し稲架の影 修人
居炉裏辺に夜なべする母ふと偲ぶ啓窓
減反で稲架の干し稲寂しげに啓窓
音もなく川渡る風身にしみる興山
窓際で夜なべする娘は夢多し興山

<小川修人 選>
柚子一個買うて山旅締め括る 越庵
山の幸柚子一滴が引き締める蓮囲池
山宿の熱き一椀柚子香る仲安
好景気引き寄せ願う熊手かな弁慶
夜鍋する妻いつの間に老眼鏡貞風

<中野仲安 選>
身に入むや可も不可もなく古希迎ふ 修人
熊や知る人世の無慈悲銃の的貞風
遭遇を話す手振りも熊に似て越庵
夜鍋する妻いつの間に老眼鏡貞風
安曇野の日暮は早し稲架の影修人

<松本貞風 選>
なんまいだ稲架向こうより祖父の声 越庵
山の幸柚子一滴が引き締める蓮囲池
柚子一個買うて山旅締め括る越庵
遭遇を話す手振りも熊に似て越庵
窓際で夜なべする娘は夢多し興山

<武蔵弁慶 選>
なんまいだ稲架向こうより祖父の声 越庵
山の幸柚子一滴が引き締める蓮囲池
大焚火神に届けと熊祭り啓窓
遭遇を話す手振りも熊に似て越庵
夜鍋する妻いつの間に老眼鏡貞風

<鈴木蓮囲池 選>
安曇野の日暮は早し稲架の影 修人
柚子一個買うて山旅締め括る越庵
ファスナーに鋲打つ音の夜なべかな越庵
山宿の熱き一椀柚子香る仲安
夜鍋する母の面影今もなお弁慶

<平山越庵 選>
降りて来て熊一村を騒がせる 蓮囲池
歯が浮くと云いつ村の子柚子かじる貞風
稲干して空を見上げて謡ひたし游悦
稲刈りを終えた田んぼに犬集う三甫
浩瀚に食らいつきたり夜なべの灯蓮囲池

<高橋啓窓 選>
安曇野の日暮は早し稲架の影 修人
間に合いし孫子の晴れ着夜なべして仲安
音もなく川渡る風身にしみる興山
夜鍋する母の面影今もなお弁慶
蓋とれば柚子の香るや茶碗蒸游悦


印は特選に選ばれた作品です。

<互選句まとめ>
4点 安曇野の日暮は早し稲架の影 ☆☆☆修人
3点 柚子一個買うて山旅締め括る  越庵
3点 遭遇を話す手振りも熊に似て越庵
3点 夜鍋する妻いつの間に老眼鏡貞風
3点 山の幸柚子一滴が引き締める蓮囲池
2点 なんまいだ稲架向こうより祖父の声 ☆☆越庵
1点 降りて来て熊一村を騒がせる 蓮囲池
1点 身に入むや可も不可もなく古希迎ふ 修人
           (2点句、1点句は互選特選に選ばれたもののみ掲出。)
    他の2点句…… 4句
    他の1点句……12句
 


印は互選で特選に選ばれたものです。(☆☆、☆☆☆は多重選)


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すすき


第26回句会

2009年9月25日(金)  於 :学士会館
兼 題:月、良夜、枝豆、コスモス、風(季題は自由)。当季雑詠。
会員の互選の結果です。
選者の配列順は俳号の50音順です。

(次回以降一人ずつ繰り下げます)
<小川修人 選>
 語らいて語りつくせぬ良夜かな 仲安
 積ん読の本を枕に秋の月仲安
 枝豆のはじけて政権交代す越庵
 立山の闇曼荼羅や月の舟越庵
 だだ茶豆出羽三山を仰ぎ見る仲安

<中野仲安 選>
 立山の闇曼荼羅や月の舟 越庵
 月は今自慢の窓に納まりぬ貞風
 暗闇の山路の標(しるべ)峰の月興山
 病む吾を慈しむごと良夜かな修人
 風通る更地の主紅芙蓉越庵

<松本貞風 選>
 病む吾を慈しむごと良夜かな 修人
 積ん読の本を枕に秋の月仲安
 語らいて語りつくせぬ良夜かな仲安
 うさぎ等の童話の世界秋の月弁慶
 阿寒湖やマリモ伝説閨の月啓窓

<武蔵弁慶 選>
 語らいて語りつくせぬ良夜かな 仲安
 名月や姿現せかぐや姫修人
 好きだった枝豆供え母しのぶ啓窓
 病む吾を慈しむごと良夜かな修人
 だだ茶豆出羽三山を仰ぎ見る仲安

<平山越庵 選>
 月は今自慢の窓に納まりぬ 貞風
 里帰り枝豆添えて祖母無口貞風
 秋風や故人偲びて石を積む仲安
 肌抜けるこの風里の栗落ちる貞風
 議事堂は夢見る鳩の良夜かな貞風

<高橋啓窓 選>
 語らいて語りつくせぬ良夜かな 仲安
 鈴虫の音に誘われて琴をひく三甫
 秋風や故人偲びて石を積む仲安
 コスモスの風に吹かれて足湯かな修人
 肌抜けるこの風里の栗落ちる貞風

<伊東興山 選>
 コスモスの風に吹かれて足湯かな 修人
 月は今自慢の窓に納まりぬ貞風
 語らいて語りつくせぬ良夜かな仲安
 秋桜乙女の仕草風に揺れ弁慶
 我が庭や盆地見下ろす良夜かな弁慶

<三浦三甫 選>
 月は今自慢の窓に納まりぬ 貞風
 あずき炊く香りの甘き秋彼岸修人
 散策し知らず識らずに秋の風弁慶
 うさぎ等の童話の世界秋の月弁慶
 風通る更地の主紅芙蓉越庵


印は特選に選ばれた作品です。


<互選句まとめ>
5点 語らいて語りつくせぬ良夜かな ☆☆☆仲安
4点 月は今自慢の窓に納まりぬ ☆☆貞風
3点 病む吾を慈しむごと良夜かな  修人
2点 コスモスの風に吹かれて足湯かな 修人
2点 立山の闇曼荼羅や月の舟  越庵
           (2点句、1点句は互選特選に選ばれたもののみ掲出。)
    他の2点句…… 6句
    他の1点句……12句
 


印は互選で特選に選ばれたものです。(☆☆、☆☆☆は多重選)


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金魚玉


第25回句会

2009年7月24日(金)  於 :学士会館
兼 題:雲、泳ぐ、川開、はまなす、汗(季題は自由)。当季雑詠。
会員の互選の結果です。
選者の配列順は俳号の50音順です。

(次回以降一人ずつ繰り下げます)
<中野仲安 選>
玫瑰はまなす飛沫しぶきに霞む北の海 興山 
大川や玉屋鍵屋と川開き三鬼堂
海峡の花はハマナス大地這う三鬼堂
川開き着飾つたひとあでやかに啓窓 
西瓜食む子らの額に汗にじむ三甫

<松本貞風 選>
語部の河辺に泳ぐ河童かな 仲安
人影に声ひそむるや朝の蓮如雨
汗かけと云われた父をふと偲ぶ啓窓
遠泳の視界は海と空と雲游悦
はまなすの鉄路に沿うて北の果て越庵

<武蔵弁慶 選>
今日の汗流して明日を眺めけり 越庵
語部の河辺に泳ぐ河童かな仲安
大川や玉屋鍵屋と川開き三鬼堂
灯点るや泳ぎ足らざる裸の子如雨
遠泳や大海原に無一物游悦

<鈴木蓮囲池 選>
今日の汗流して明日を眺めけり 越庵
山頂を離れたがらぬ夏の雲游悦
ノンちゃんの雲に乗りたし蟇修人
人影に声ひそむるや朝の蓮如雨
はまなすの鉄路に沿うて北の果て越庵

<平山越庵 選>
ノンちゃんの雲に乗りたしひきがえる 修人 
五葉松剪定五分玉の汗弁慶
はまなすや沖には小舟ひとつなし如雨
大海へ思ひをつなぐ川泳ぎ弁慶
この日ばかり江戸の血騒ぐ川開き蓮囲池

<高橋啓窓 選>
大海へ思ひをつなぐ川泳ぎ 弁慶
玫瑰に夕日落ちゆくオホーツク蓮囲池
遠泳や大海原に無一物游悦
若き日や大志を抱き雲の峰弁慶
西瓜食む子らの額に汗にじむ三甫

<伊東興山 選>
万歩計満足ならず汗拭ふ 如雨
夏の場所浴衣姿が涼をよぶ三甫
大海へ思ひをつなぐ川泳ぎ弁慶
おおい雲吾を載せてよ麦の秋蓮囲池
はまなすの鉄路に沿うて北の果て越庵

<合田三鬼堂 選>
遠泳の視界は海と空と雲 游悦
人影に声ひそむるや朝の蓮如雨
白鵬も盤石ならず汗光る修人
ベランダにしがみつきたる川開き越庵
万歩計満足ならず汗拭ふ如雨

<三浦三甫 選>
若き日や大志を抱き雲の峰 弁慶
はまなすや詩情を醸す調べあり弁慶
山頂を離れたがらぬ夏の雲游悦
船頭の漕ぐ手軽やか川開き游悦
玫瑰や北の砂丘に良き香り啓窓

<小川修人 選>
遠泳や大海原に無一物 游悦
遠泳の視界は海と空と雲游悦
夕映えの風にまかせし汗の顔如雨
この日ばかり江戸の血騒ぐ川開き蓮囲池
はまなすの鉄路に沿うて北の果て越庵

<岩渕如雨 選>
遠泳や大海原に無一物 游悦
語部の河辺に泳ぐ河童かな仲安
大海へ思ひをつなぐ川泳ぎ弁慶
おおい雲吾を載せてよ麦の秋蓮囲池
ひつじ草雲と水面を競いおり越庵

※ 玫瑰(はまなす)の「玫」は、コジックか明朝表示しかできませんのでご了承ください。

印は特選に選ばれた作品です。


<互選句まとめ>
4点 遠泳や大海原に無一物 ☆☆游悦
4点 大海へ思ひをつなぐ川泳ぎ 弁慶
4点 はまなすの鉄路に沿うて北の果て  越庵
3点 語部の河辺に泳ぐ河童かな  仲安 
3点 遠泳の視界は海と空と雲 游悦
3点 人影に声ひそむるや朝の蓮 如雨
2点 今日の汗流して明日を眺めけり ☆☆越庵
2点 ノンちゃんの雲に乗りたし蟇  修人
2点 万歩計満足ならず汗拭ふ  如雨
2点 若き日や大志を抱き雲の峰  弁慶
2点 大川や玉屋鍵屋と川開き三鬼堂
2点 西瓜食む子らの額に汗にじむ 三甫
2点 山頂を離れたがらぬ夏の雲 游悦
2点 この日ばかり江戸の血騒ぐ川開き 蓮囲池
2点 おおい雲吾を載せてよ麦の秋蓮囲池
1点 玫瑰や飛沫に霞む北の海 興山
    他の1点句 ‥‥ 15句
 


印は互選で特選に選ばれたものです。(☆☆、☆☆☆は多重選)


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雨蛙


第24回句会

2009年5月22日(金)  於 :学士会館
兼 題:空(季題は自由)、葉桜、卯波、ホトトギス、冷麦。当季雑詠。
会員の互選の結果です。
選者の配列順は俳号の50音順です。

<松本貞風 選>
日本の空が大好き鯉のぼり 游悦
ほととぎす夢見つ笑ふ赤子かな弁慶
不如帰啼いて企み省みず如雨
磯のりを取る手にやさし卯波立つ仲安
葉桜や啄木生れし寺に入る如雨

<武蔵弁慶 選>
葉桜や生れ変はれる強さあり 游悦
神石に卯波も寄りて神詣で隆一
甲斐路あり雲たちのぼる夏の空仲安
時鳥峡に一声臼を引く蓮囲池
十重二十重上総十里に卯波寄り蓮囲池

<奥山游悦 選>
朝靄に姉の訃告げし不如帰 隆一
ほととぎす夢見つ笑ふ赤子かな弁慶
浜風露北の砂丘に楚々と咲き啓窓
磯のりを取る手にやさし卯波立つ仲安
山に入れば姿は見えず子規三鬼堂

<平山隆一 選>
葉桜や生れ変はれる強さあり 游悦
冷麦の色を争う子らの箸三甫
不如帰啼いて企み省みず如雨
釣り糸をきりりとしぼる卯浪かな游悦
梅雨空に塔の幾何学模様立つ弁慶

<鈴木蓮囲池 選>
日本の空が大好き鯉のぼり 游悦
磯のりを取る手にやさし卯波立つ仲安
ぐずる子をそぞろ抱きて卯波かな貞風
釣り糸をきりりとしぼる卯浪かな游悦
皐月波余生横たふ氷川丸弁慶

<高橋啓窓 選>
時鳥峡に一声臼を引く 蓮囲池
漁船の悲劇をとどむ卯波寄す三鬼堂
葉桜や詠み人知らず一基の碑蓮囲池
首塚に歴史の音色椎若葉隆一
十重二十重上総十里に卯波寄り蓮囲池

<伊東興山 選>
磯のりを取る手にやさし卯波立つ 仲安
ほととぎす夢見つ笑ふ赤子かな弁慶
葉桜は堀に影濃く電車過ぐ三鬼堂
万緑や無窮の空をちりばめる貞風
青空に一片の雲卯波立つ啓窓

<合田三鬼堂 選>
時鳥峡に一声臼を引く 蓮囲池
冷麦の色を争う子らの箸三甫
畑仕事終えて冷麦一人居る仲安
冷麦や柱時計の眠るまま蓮囲池
梅雨空に塔の幾何学模様立つ弁慶

<三浦三甫 選>
葉桜や生れ変はれる強さあり 游悦
キス釣りの船酔い仄か卯波立つ興山
駅前の冷麦うましひとり旅游悦
何時の日か大空翔けん鯉幟修人
葉桜や己の姿重ね合ふ弁慶

<小川修人 選>
十重二十重上総十里に卯波寄り 蓮囲池
冷麦の色を争う子らの箸三甫
冷麦や柱時計の眠るまま蓮囲池
駅前の冷麦うましひとり旅游悦
葉桜は堀に影濃く電車過ぐ三鬼堂

<岩渕如雨 選>
万緑や無窮の空をちりばめる 貞風
贅沢な里よ郭公不如帰貞風
冷麦や柱時計の眠るまま蓮囲池
葉桜や生れ変はれる強さあり游悦
日本の空が大好き鯉のぼり游悦

<中野仲安 選>
漁船の悲劇をとどむ卯波寄す 三鬼堂
ほととぎすやまとまほろば美し国修人
山越えて冷麦涼し峠茶屋啓窓
釣り糸をきりりとしぼる卯浪かな游悦
青空に一片の雲卯波立つ啓窓


印は特選に選ばれた作品です。


<互選句まとめ>
4点 葉桜や生れ変はれる強さあり ☆☆☆游悦
4点 磯のりを取る手にやさし卯波立つ 仲安
3点 時鳥峡に一声臼を引く ☆☆蓮囲池
3点 日本の空が大好き鯉のぼり ☆☆游悦
3点 十重二十重上総十里に卯波寄り  蓮囲池
3点 釣り糸をきりりとしぼる卯浪かな 游悦
3点 冷麦の色を争う子らの箸三甫
3点 冷麦や柱時計の眠るまま蓮囲池
3点 ほととぎす夢見つ笑ふ赤子かな弁慶
2点 万緑や無窮の空をちりばめる 貞風
2点 漁船の悲劇をとどむ卯波寄す 三鬼堂
2点 青空に一片の雲卯波立つ啓窓
2点 駅前の冷麦うましひとり旅游悦
2点 梅雨空に塔の幾何学模様立つ弁慶
2点 葉桜は堀に影濃く電車過ぐ三鬼堂
2点 不如帰啼いて企み省みず如雨
1点 朝靄に姉の訃告げし不如帰 隆一
    他の1点句 ‥‥ 16句
 


印は互選で特選に選ばれたものです。(☆☆、☆☆☆は多重選)


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さくら


第23回句会

2009年3月27日(金)  於 :学士会館
兼 題:山笑ふ、春の野、朝寝、燕、連翹。当季雑詠。
会員の互選の結果です。
選者の配列順は俳号の50音順です。
<武蔵弁慶 選>
校庭をわがもの顔に舞ふつばめ 仲安
馬の背に朝寝の夢か峠越え三鬼堂
枯山水連翹石を食みいたり蓮囲池
ふるさとの夢に遊びし朝寝かな游悦
軒庇いま燕の旅装解き蓮囲池

<奥山游悦 選>
枯山水連翹石を食みいたり 蓮囲池
草も木も手足のばして山笑ふ仲安
連翹の思いの丈の浅黄空修人
朝寝して今日の計らい定まらず蓮囲池
入会の詮議がくがく初燕隆一

<平山隆一 選>
酒蔵を過る直線初燕 修人
連翹の一枝病床を明るくし仲安
山笑ふ定年の日の橋の上貞風
春の野や彼方はダムの放流中貞風
朝寝して今日の計らい定まらず蓮囲池

<鈴木蓮囲池 選>
鬱屈の窓を開くれば山笑ふ 修人
徒然の日々を楽しむ朝寝かな修人
連翹の思いの丈の浅黄空修人
耕人に声かけられる春野かな隆一
駒牽いて戻る農家のいたちはぜ三鬼堂

<高橋啓窓 選>
春の野に萌え出づる草緑増す 仲安
草も木も手足のばして山笑ふ仲安
春の野や遠くて近き少年期弁慶
連翹や眩しいほどの垣根越し弁慶
入会の詮議がくがく初燕隆一

<合田三鬼堂 選>
春の野に大地の息吹聞く筵 蓮囲池
雪解けてアイヌ古潭に蕗の薹啓窓
初雛を飾り帰省を待つ身かな貞風
枯山水連翹石を食みいたり蓮囲池
横切りぬ虫を目で追う雛燕貞風

<小川修人 選>
つばくらや古酒醸し出す蔵屋敷 弁慶
里山の呱呱の声聞き山笑ふ弁慶
美しや河津桜の雪化粧啓窓
駒牽いて戻る農家のいたちはぜ三鬼堂
入会の詮議がくがく初燕隆一

<中野仲安 選>
徒然の日々を楽しむ朝寝かな 修人
連翹の雨に打たれし黄花かな游悦
春の野に大地の息吹聞く筵蓮囲池
耕人に声かけられる春野かな隆一
横切りぬ虫を目で追う雛燕貞風

<松本貞風 選>
春の野や遠くて近き少年期 弁慶
山笑ふ峠の下の濁り酒隆一
酒蔵を過る直線初燕修人
枯山水連翹石を食みいたり蓮囲池
朝寝して今日の計らい定まらず蓮囲池


印は特選に選ばれた作品です。


<互選句まとめ>
4点 枯山水連翹石を食みいたり  蓮囲池
3点 朝寝して今日の計らい定まらず蓮囲池
3点 入会の詮議がくがく初燕隆一
2点 徒然の日々を楽しむ朝寝かな 修人
2点 春の野に大地の息吹聞く筵 蓮囲池
2点 酒蔵を過る直線初燕 修人
2点 春の野や遠くて近き少年期 弁慶
2点 草も木も手足のばして山笑ふ仲安
2点 連翹の思いの丈の浅黄空修人
2点 耕人に声かけられる春野かな隆一
2点 横切りぬ虫を目で追う雛燕貞風
2点 駒牽いて戻る農家のいたちはぜ三鬼堂
1点 校庭をわがもの顔に舞ふつばめ 仲安
1点 鬱屈の窓を開くれば山笑ふ 修人
1点 つばくらや古酒醸し出す蔵屋敷 弁慶
1点 春の野に萌え出づる草緑増す 仲安
    他の1点句 ‥‥ 13句
 


印は互選で特選に選ばれたものです。(☆☆、☆☆☆は多重選)


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俵ねずみ


第22回句会

2009年1月23日(金)  於 :学士会館
兼 題:七草、鏡餅、手袋、凍る、葱。当季雑詠。
会員の互選の結果です。
選者の配列順は俳号の50音順です。

<奥山游悦 選>
山峡の夜のしじまに月凍る 仲安
七草粥口元ゆるむ百二歳幸風
庭に生ふ三種みくさを入れて七日粥修人
葱刻む朝日射し込む厨かな修人
仄暗き御堂にでんと鏡餅修人

<平山隆一 選>
厳頭に凍てつくしぶき海烏 修人
宅地化のそこまで寄せて葱白し蓮囲池
熱退きし朝また同じ根深汁如雨
凍てし頬を覆ひて長き橋渡る如雨
めじろ来て凍てる水桶ためしつゝ武司

<鈴木蓮囲池 選>
明暗の日々もあるべし初暦 游悦
凍てる島眼下に急ぐ北航路三鬼堂
手袋の中に秘めたる生命線弁慶
山峡の夜のしじまに月凍る仲安
夕明りあふれし水に葱洗ふ游悦

<高橋啓窓 選>
凍てる島眼下に急ぐ北航路 三鬼堂
葱鍋の湯気に香りぬ寒の酒幸風
七草粥口元ゆるむ百二歳幸風
夕明りあふれし水に葱洗ふ游悦
仄暗き御堂にでんと鏡餅修人

<伊東興山 選>
道場に気合一声鏡餅 游悦
手袋の片方失くした銀座かな三鬼堂
床の間の恵比須が笑う鏡餅三鬼堂
夕明りあふれし水に葱洗ふ游悦
修行僧凍てつく坂を上りけり游悦

<合田三鬼堂 選>
平成の成人登る丘凍てり 興山
仙台の甘さ抜群曲り葱弁慶
七草粥口元ゆるむ百二歳幸風
母編みし片手の手袋捨てられず仲安
厳頭に凍てつくしぶき海烏修人

<小川修人 選>
凍滝の留る水に落ちる水 蓮囲池
凍てる島眼下に急ぐ北航路三鬼堂
鎌倉の老舗を飾る鏡餅弁慶
オリオン座凍てつく夜の初詣武司
吟行の群れも混ざりて鏡割隆一

<岩渕如雨 選>
凍滝の留る水に落ちる水 蓮囲池
手袋の中に秘めたる生命線弁慶
床の間の恵比須が笑う鏡餅三鬼堂
道場に気合一声鏡餅游悦
吟行の群れも混ざりて鏡割隆一

<内山武司 選>
山峡の夜のしじまに月凍る 仲安
七草粥口元ゆるむ百二歳幸風
凍る暮宴の帰路の友倒る幸風
母が摘む春七草の良き香り啓窓
庭に生ふ三種を入れて七日粥修人

<中野仲安 選>
凍てし頬を覆ひて長き橋渡る 如雨
庭の菜を混ぜて極めり七草や興山
庭に生ふ三種を入れて七日粥修人
道場に気合一声鏡餅游悦
年の瀬に抜き身で届く深谷葱武司

<松本貞風 選>
葱積みし車見送る農夫の目 仲安
母編みし片手の手袋捨てられず仲安
凍てる森楷書行書の様変り弁慶
年の瀬に抜き身で届く深谷葱武司
道場に気合一声鏡餅游悦

<武蔵弁慶 選>
夕明りあふれし水に葱洗ふ 游悦
手袋の片方失くした銀座かな三鬼堂
母編みし片手の手袋捨てられず仲安
庭の菜を混ぜて極めり七草や興山
少年の日の七草やほろ苦き游悦

印は特選に選ばれた作品です。


<互選句まとめ>
4点 道場に気合一声鏡餅 游悦
4点 夕明りあふれし水に葱洗ふ 游悦
4点 七草粥口元ゆるむ百二歳幸風
3点 山峡の夜のしじまに月凍る ☆☆ 仲安
3点 凍てる島眼下に急ぐ北航路 三鬼堂
3点 庭に生ふ三種を入れて七日粥 修人
3点 母編みし片手の手袋捨てられず仲安
2点 凍滝の留る水に落ちる水 ☆☆蓮囲池
2点 厳頭に凍てつくしぶき海烏 修人
2点 凍てし頬を覆ひて長き橋渡る 如雨
2点 吟行の群れも混ざりて鏡割隆一
2点 手袋の中に秘めたる生命線弁慶
2点 手袋の片方失くした銀座かな三鬼堂
2点 床の間の恵比須が笑う鏡餅三鬼堂
2点 年の瀬に抜き身で届く深谷葱武司
2点 庭の菜を混ぜて極めり七草や興山
2点 仄暗き御堂にでんと鏡餅修人
1点 葱積みし車見送る農夫の目 仲安
1点 平成の成人登る丘凍てり 興山
1点 明暗の日々もあるべし初暦 游悦
    他の1点句 ‥‥ 13句
 


印は互選で特選に選ばれたものです。(☆☆は多重選)


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もみじ


第21回句会

2008年11月23日(金)  於 :学士会館
兼 題:短日・新酒・鮭・蜻蛉・紅葉。当季雑詠。

会員の互選の結果です。
選者の配列順は俳号の50音順です。
<平山隆一 選>
乾鮭からざけに北の風みる銀座かな 三鬼堂 
山紅葉一雲しばし放さざる蓮囲池
払うてもついと寄り来る赤蜻蛉游悦
禅寺の紅葉見上げる池の鯉興山
地震ないの傷残して北へむら紅葉蓮囲池 

<鈴木蓮囲池 選>
乾鮭に北の風みる銀座かな 三鬼堂
利酒や木曽の地名の七笑修人
短日や木曽の関所へ山迫る修人
植木職うえきしの手仕舞う音や日短し隆一 
神代より伝わる色やからぶ鮭隆一 

<高橋啓窓 選>
山紅葉山の匂ひの里にまで 弁慶
短日やねぐらを移す鳥の群貞風
紅葉ばを踏みて峠の富士仰ぐ仲安
植木職の手仕舞う音や日短し隆一
神代より伝わる色や乾ぶ鮭隆一

<伊東興山 選>
払うてもついと寄り来る赤蜻蛉 游悦
密漁の鮭持ち帰る子供かな三鬼堂
日溜りで佇むひとのシルエット三甫 
植木職の手仕舞う音や日短し隆一
鬼鎮社のいつしか話題は菊花賞三鬼堂

<合田三鬼堂 選>
地震の傷残して北へむら紅葉 蓮囲池
ひぐま待つ知床上る鮭の群啓窓
まず一献恩師に捧ぐ新酒かな游悦
短日や木曽の関所へ山迫る修人
山峡の宿に新酒と古き友隆一

<小川修人 選>
山峡の宿に新酒と古き友 隆一
山あいの湯の香ほのぼの夕紅葉 啓窓
払うてもついと寄り来る赤蜻蛉 游悦
紅葉ばを踏みて峠の富士仰ぐ仲安
奥山の紅葉に今戸の招き猫三鬼堂

<中野仲安 選>
大空の底ひに集ふ秋茜 弁慶
短日やねぐらを移す鳥の群貞風
新酒の香聴く常連の小店かな蓮囲池
乾鮭に北の風みる銀座かな三鬼堂
秘密基地祖父手作りの新酒あり貞風

<松本貞風 選>
地震の傷残して北へむら紅葉 蓮囲池
短日や木曽の関所へ山迫る 修人
黄金の銀杏並木はモーツアルト幸風
空腹に音流し込む鮭茶漬蓮囲池
鬼鎮社のいつしか話題は菊花賞三鬼堂

<武蔵弁慶 選>
涵徳亭書に後楽と返り花  隆一
着陸の障子の音や赤蜻蛉 貞風
乾鮭に北の風みる銀座かな三鬼堂
インディアン水車鮭捕る千歳川修人
背鰭立て先を争ふ鮭軍団 游悦


<以下は当日句会欠席者による番外選句です>

<奥山游悦 選>
植木職の手仕舞う音や日短し 隆一
短日やねぐらを移す鳥の群貞風
短日や木曽の関所へ山迫る修人
前掛けの襟元なおす新酒かな三鬼堂
新酒酌む高原の宿闇しずか修人

<岩渕如雨 選>
短日や木曽の関所へ山迫る 修人
山紅葉一雲しばし放さざる蓮囲池
短日やねぐらを移す鳥の群貞風
紅葉割つて釣り上げられし魚かな貞風
植木職の手仕舞う音や日短し隆一


印は特選に選ばれた作品です。

<互選句まとめ>
4点 乾鮭に北の風みる銀座かな ☆☆三鬼堂
3点 地震の傷残して北へむら紅葉 ☆☆蓮囲池
3点 払うてもついと寄り来る赤蜻蛉 游悦
3点 短日や木曽の関所へ山迫る 修人
3点 植木職の手仕舞う音や日短し隆一
2点 山峡の宿に新酒と古き友 隆一
2点 禅寺の紅葉見上げる池の鯉 興山
2点 利酒や木曽の地名の七笑修人
2点 短日やねぐらを移す鳥の群 貞風
2点 紅葉ばを踏みて峠の富士仰ぐ仲安
2点 鬼鎮社のいつしか話題は菊花賞三鬼堂
2点 神代より伝わる色や乾ぶ鮭隆一
1点 涵徳亭書に後楽と返り花 隆一
1点 大空の底ひに集ふ秋茜 弁慶
1点 山紅葉山の匂ひの里にまで 弁慶
    他の1点句 ‥‥ 17句
 


印は互選で特選に選ばれたものです。(☆☆は多重選)


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「句 会 会 報」(谿聲主宰作成)は こちらの「開催記録」からご覧になれます。('08.02.04)





<  会      員  >

谿 聲けいせい村上 幹也
 (主宰)
蓮囲池れんいち鈴木 錬一
幸 風こうふう小林 幸司 越 庵えつあん: 
(隆一改メ)
平山 隆一
貞 風ていふう松本 貞 仲 安ちゅうあん中野 安弘
弁 慶べんけい武蔵 好彦 如 雨じょう岩渕 上
修 人しゅうじん小川 修 竹 林ちくりん: 
(武司改メ)
内山 武司
竹 風ちくふう加賀美 一 興 山こうざん伊東 興三
三 甫さんぽ三浦 器允 啓 窓けいそう高橋 啓悟
游 悦ゆうえつ奥山 興悦 三鬼堂さんきどう
(俊知改メ)
合田 俊知

(客員)(「櫻草」同人)

「櫻草」同人(特別参加)
 村 上 郁 子いくこ  岸   季 与きよ
 福 嶋 蒐 火しゅうほ  坂 口 青 郎せいろう
 高 橋 親 史ちかし  樋 口 トシ子としこ
 高 橋 良 子りょうこ (掲 出 順)
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