宮城野萩の校章

東北大鬼城句会例会記録Ⅶ

村 上 谿 聲 主 宰 の 同 窓 句 会 例 会

第61回('15/07)から第69回('16/11)の例会記録です。

このほかの例会記録

例会記録Ⅰ第 1~ 9回('05/ 7~'06/11)
例会記録Ⅶ第61~69回('15/ 7~'16/11)
例会記録Ⅱ第10~20回('07/ 1~'08/ 9)
例会記録Ⅷ第70~78回('17/ 1~'18/ 5)
例会記録Ⅲ第21~30回('08/11~'10/ 5)
例会記録Ⅸ第79~87回('18/ 7~'19/11)
例会記録Ⅳ第31~40回('10/ 7~'12/ 1)
例会記録Ⅹ第88~99回('20/ 1~'21/11)
例会記録Ⅴ第41~51回('12/ 3~'13/11)
例会記録ⅩⅠ第100~111回('22/ 1~'23/11)
例会記録Ⅵ第52~60回('14/ 1~'15/ 5)
例会記録ⅩⅡ第111~………回('24/ 1~……)

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冬 柏
冬柏





第69回句会

2016年11月25日(金)  於 :学士会館
兼 題:冬近し、秋の蜂、鯛焼、冬柏、「楽」(要季語)。当季雑詠。


会員の互選の結果です。選者の配列は俳号の50音順です。
(次回以降一人ずつ繰り下げます)


印は特選に選ばれた作品です。
特選以外は原則清記順の記載で、順位ではありません。

<奥山游悦 選>
秋の蜂闘ひ了へて(ほう)けをり 柏葉
廃屋やカラカラと鳴る冬柏幸風
わっと来てさっと帰る子冬近し貞風
蔵跡に浜石あまた冬近し越庵
風に鳴る富士の裾野の冬柏幸風

<平山越庵 選>
二泊して無事に生還秋の蜂 貞風
騒乱の地球の裏の小春かな柏葉
わっと来てさっと帰る子冬近し貞風
旅の街鯛焼き売りに列をなし幸風
神々の集ひし社冬柏柏葉

<白石玄舟 選>
鯛焼の温みほっこり手渡され 游悦
輝ける日々もありたり秋の蜂幸風
黄落の街道筋を楽しめり弁慶
風に鳴る富士の裾野の冬柏幸風
秋の蜂闘ひ了へて(ほう)けをり柏葉

<小林幸風 選>
騒乱の地球の裏の小春かな 柏葉
秋蜂の辿り着きたる厨屋根游悦
鯛焼の温みほっこり手渡され游悦
早起きに抗うこころ冬近し游悦
神々の集ひし社冬柏柏葉

<三浦三甫 選>
神々の集ひし社冬柏 柏葉
輝ける日々もありたり秋の蜂幸風
鯛焼にしばし会話も途絶えたり幻舟
稲架掛の日の柔らかや冬隣柏葉
早起きに抗ふこころ冬近し游悦

<松本貞風 選>
秋の蜂闘ひ了へて(ほう)けをり 柏葉
廃屋やカラカラと鳴る冬柏幸風
騒乱の地球の裏の小春かな柏葉
三笠艦閑散として冬近し弁慶
神々の集ひし社冬柏柏葉

<深谷柏葉 選>
友逝きて佳句遺せり冬柏 游悦
街老いてピーポピーポと冬の朝幸風
輝ける日々もありたり秋の蜂幸風
ツケきかぬ鯛焼き店や貧書生貞風
鯛焼を懐に抱きオリオン座越庵

<武蔵弁慶 選>
ツケきかぬ鯛焼き店や貧書生 貞風
廃屋やカラカラと鳴る冬柏幸風
利他利己の役目終えたか冬の蜂越庵
早起きに抗ふこころ冬近し游悦
神々の集ひし社冬柏柏葉



< 鈴木蓮囲池 場外選
騒乱の地球の裏の小春かな 柏葉
わっと来てさっと帰る子冬近し 貞風
鯛焼きの温みほっこり手渡され 游悦
冬近し下駄が行き交ういで湯町玄舟
廃屋やカラカラと鳴る冬柏幸風
秋蜂の辿り着きたる厨屋根游悦
街老いてピーポピーポと冬の朝幸風
蔵跡に浜石あまた冬近し越庵
輝ける日々もありたり秋の蜂幸風
風に鳴る富士の裾野の冬柏幸風
神々の集ひし社冬柏柏葉

< 近  詠 >
紅葉狩塩川べりをなぞりけり蓮囲池
柿すだれ草屋根を継ぐ人は誰―〃―



<高点句再掲>
5点 神々の集ひし社冬柏 柏葉
3点 秋の蜂闘ひ了へて(ほう)けをり ☆☆柏葉
3点 騒乱の地球の裏の小春かな 柏葉
3点 廃屋やカラカラと鳴る冬柏幸風
3点 輝ける日々もありたり秋の蜂幸風
3点 早起きに抗ふこころ冬近し游悦
2点 鯛焼の温みほっこり手渡され 游悦
2点 ツケきかぬ鯛焼き店や貧書生 貞風
    他の2点句 ‥‥ 2句
    1 点 句 ‥‥12句(うち特選2)



印は互選で特選に選ばれたものです。(☆☆、☆☆☆は多重特選)
互選数に場外選は含みません。

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竜胆1



第68回句会

2016年9月23日(金)  於 :学士会館
兼 題:夜寒、花野、菊膾、竜胆、「喜」(要季語)。当季雑詠。

会員の互選の結果です。選者の配列は俳号の50音順です。
(次回以降一人ずつ繰り下げます)

!! 今回から新会員 大立目茂睡さんが加わりました!!


印は特選に選ばれた作品です。
特選以外は原則清記順の記載で、順位ではありません。


<平山越庵 選>
憂ひ深し生前退位菊膾 茂睡
竹林を興山が追ふ花野かな茂睡
打ち首の柿無残なる朝かな茂睡
吾亦紅とんぼ背負ひて揺るぎをり柏葉
竜胆に背中押されて山を越え玄舟

<白石玄舟 選>
秋蝉のか細き声や野辺送り  貞風
気がつけば寝具引き寄す夜寒かな弁慶
閉じ切った心を開く花野かな弁慶
弔ひて辿る家路の夜寒かな柏葉
振袖のおちょぼ口して菊膾越庵

<三浦三甫 選>
喜寿傘寿余命に揺れる秋の暮れ 貞風
気がつけば寝具引き寄す夜寒かな弁慶
秋揚羽弱き日差を舞ひ急ぐ柏葉
弔ひて辿る家路の夜寒かな柏葉
花野行く空の蒼さがついてくる柏葉

<松本貞風 選>
憂ひ深し生前退位菊膾 茂睡
竹林を興山が追ふ花野かな茂睡
打ち首の柿無残なる朝かな茂睡
竜胆や千代子の歌う濃紫三甫
振袖のおちょぼ口して菊膾越庵

<深谷柏葉 選>
独りなり喜寿のしわぶき秋彼岸 茂睡
蔵毀ち更地にしみる夜寒かな越庵
秋蝉のか細き声や野辺送り貞風
振袖のおちょぼ口して菊膾越庵
竹林を興山が追ふ花野かな茂睡

<武蔵弁慶 選>
竜胆に背中押されて山を越え 玄舟
遠き道辿りし末の花野かな玄舟
弔ひて辿る家路の夜寒かな柏葉
花野行く空の蒼さがついてくる柏葉
秋蝉のか細き声や野辺送り貞風

<大立目茂睡 選>
振袖のおちょぼ口して菊膾 越庵
旅の宿話題を添えて菊膾玄舟
竜胆に健気な子供見つけたり弁慶
単線路花野装う外来種貞風
吾亦紅とんぼ背負ひて揺るぎを柏葉



 
< 鈴木蓮囲池 場外選
独りなり喜寿のしわぶき秋彼岸 茂睡
竹林を興山が追ふ花野かな 茂睡
竜胆や千代子の歌う濃紫 三甫
単線路花野装う外来種貞風
秋揚羽弱気日差を舞ひ急ぐ柏葉
弔ひて辿る家路の夜寒かな柏葉
吾亦紅とんぼ背負ひて揺ぎをり柏葉
花野行く空の蒼さがついてくる柏葉
秋蝉のか細き声や野辺送り貞風



<高点句再掲>
4点 振袖のおちょぼ口して菊膾 越庵
3点 秋蝉のか細き声や野辺送り 貞風
3点 竹林を興山が追ふ花野かな茂睡
3点 弔ひて辿る家路の夜寒かな柏葉
2点 憂ひ深し生前退位菊膾 ☆☆茂睡
2点 竜胆に背中押されて山を越え 玄舟
2点 気がつけば寝具引き寄す夜寒かな 弁慶
2点 打ち首の柿無残なる朝かな 茂睡
2点 吾亦紅とんぼ背負ひて揺るぎをり 柏葉
2点 花野行く空の蒼さがついてくる 柏葉
    1 点 句 ‥‥10句(うち特選2)



印は互選で特選に選ばれたものです。(☆☆、☆☆☆は多重特選)
互選数に場外選は含みません。
「高点句再掲」は22.8.11に追補。

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高校球児

第67回句会

2016年7月22日(金)  於 :学士会館
兼 題:炎昼、雹(氷雨)、怪談(幽霊)、原爆忌、「児」(要季語)。当季雑詠。

会員の互選の結果です。選者の配列は俳号の50音順です。
(次回以降一人ずつ繰り下げます)

印は互選で特選に選ばれた作品です。
特選以外は原則清記順の記載で、順位ではありません。


<小林幸風 選>
天狗党幽霊籠る鰊蔵 越庵
幽霊にむかし苛めし友見たり玄舟
幽霊の糧は少女の悲鳴かな貞風
ボクサーの不意打ちのごと雹の玉弁慶
雹去りて話戻りぬ傘同士如雨

<三浦三甫 選>
炎昼や断捨離少し休みたり 幸風
炎昼の玉音端座祖父の霊越庵
閉校の最後の球児夏終わる貞風
夏芝居巨泉も永も反逆児游悦
流燈の川面を埋むる原爆忌柏葉

<岩渕如雨 選>
炎昼の深き眠りや石舞台 游悦
幽霊の糧は少女の悲鳴かな貞風
閉校の最後の球児夏終わる貞風
幽霊にひんやり添寝されにけり幸風
炎天の白き記憶や敗戦忌柏葉

<松本貞風 選>
折り鶴に託すオバマの原爆忌 游悦
炎昼の玉音端座祖父の霊越庵
雹去りて話戻りぬ傘同士如雨
幽霊と暮らす語り部原爆忌越庵
幽霊にひんやり添寝されにけり幸風

<深谷柏葉 選>
幽霊の糧は少女の悲鳴かな 貞風
俄か闇車も屋根も雹の音幸風
鶺鴒と遊びて山頂夏の雲幸風
閉校の最後の球児夏終わる貞風
幽霊の近づく気配滝不動游悦

<武蔵弁慶 選>
原爆忌沈黙守るエノラ・ゲイ 貞風
八月の蔵に声あり米騒動越庵
幽霊にむかし苛めし友見たり玄舟
天狗党幽霊籠る鰊蔵越庵
夏芝居巨泉も永も反逆児游悦

<奥山游悦 選>
炎昼や朱色気怠き中華街 如雨
炎昼や部屋の人形ぐったりと弁慶
雹去りて話戻りぬ傘同士如雨
流燈の川面を埋むる原爆忌柏葉
雹降りていっときの涼生気満つ柏葉

<白石玄舟 選>
折り鶴に託すオバマの原爆忌 游悦
炎昼に一服の風時を止む柏葉
雹去りて話戻りぬ傘同士如雨
炎昼や朱色気怠き中華街如雨
雹降りていっときの涼生気満つ柏葉

<平山越庵 場外選
閉校の最後の球児夏終わる 貞風
雹去りて話戻りぬ傘同士如雨
炎昼や内ポケットに濡れお札貞風
幽霊にひんやり添寝されにけり幸風
炎天の白き記憶や敗戦忌柏葉


 
< 鈴木蓮囲池 場外選
炎昼の街若人の長き脚如雨
折り鶴に託すオバマの原爆忌游悦
土灼くや球児一振り左中間如雨
雹去りて話戻りぬ傘同士如雨
炎昼や朱色気怠き中華街如雨
閉校の最後の球児夏終わる貞風
怪談は夏の定番講談師三甫
炎天の白き記憶や敗戦忌柏葉

< 近  詠 >
  内山竹林さん逝去の報に
友逝くや猛暑の如き生なりき蓮囲池



<高点句再掲>
5点 雹去りて話戻りぬ傘同士如雨
4点 閉校の最後の球児夏終わる 貞風
3点 幽霊の糧は少女の悲鳴かな 貞風
3点 幽霊にひんやり添寝されにけり幸風
2点 折鶴に託すオバマの原爆忌 ☆☆游悦
2点 天狗党幽霊籠る鰊蔵 越庵
2点 炎昼や朱色気怠き中華街 如雨
    他の2点句 ‥‥ 6句
    1 点 句 ‥‥12句(うち特選3)



印は互選で特選に選ばれたものです。(☆☆、☆☆☆は多重特選)
越庵さんの場外選は、5句投句のうえでの選ですので高点句まとめの互選数に含めました。

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梔子の花


第66回句会

2016年5月27日(金)  於 :学士会館
兼 題:卯月、夏霧、網戸、梔子(くちなし)(の花)、「選」(要季語)。当季雑詠。

会員の互選の結果です。選者の配列は俳号の50音順です。
(次回以降一人ずつ繰り下げます)

!! 今回から新会員 白石玄舟さんが加わりました!!


印は特選に選ばれた作品です。
特選以外は原則清記順の記載で、順位ではありません。


<三浦三甫 選>
梅雨晴れの声朗々と唐詩選 游悦
夕暮や守宮(やもり)仮庵(かりほ)の網戸かな幸風
残鶯や都県境の尾根林如雨
気怠さに卯月の昼餉氷見うどん越庵
ヒロシマの土踏むオバマ夏の雲貞風

<岩渕如雨 選>
網戸一枚外は漆黒峡の宿 柏葉
夕暮や守宮仮庵の網戸かな幸風
まつたうの青空見んと網戸開く弁慶
山肌をはかなく見せる夏の霧玄舟
気怠さに卯月の昼餉氷見うどん越庵

<松本貞風 選>
和書ゆかし梔子の花挟みたり 越庵
夏霧をまとふ旅人幣舞橋(ぬさまひばし)游悦
磐梯の峰より落ちる夏の霧弁慶
帽子はと訊かれて戻る夏はじめ如雨
少年の選球眼や風薫る弁慶

<深谷柏葉 選>
夏霧をまとふ旅人幣舞橋(ぬさまひばし) 游悦
磐梯の峰より落ちる夏の霧弁慶
疾き雲よ梔子の香を知らざるや如雨
遠くよりくちなしの白吾を招く游悦
蟇蛙もっともの言え選び時越庵

<武蔵弁慶 選>
落日や夏霧山野を這い昇る 幸風
くちなしの香りかげずに老いてゆく三甫
夏の霧峠をおおい歩み止む三甫
山肌をはかなく見せる夏の霧玄舟
網戸越し会話のはずむ老夫婦三甫

<奥山游悦 選>
気怠さに卯月の昼餉氷見うどん 越庵
和書ゆかし梔子の花挟みたり越庵
升酒をきりりと干して卯月かな幸風
夏霧に四方の彩り失せにけり玄舟
芝庭に篝火点り薄暑かな柏葉

<平山越庵 選>
庭草履借り梔子の香に寄りぬ  如雨
夏霧をまとふ旅人幣舞橋游悦
網戸より夜風と街の遠音かな游悦
現世を背負いて一二夏を老い幸風
升酒をきりりと干して卯月かな幸風

<白石玄舟 選>
升酒をきりりと干して卯月かな 幸風
くちなしの香り漂ふ鄙の里弁慶
網戸より夜風と街の遠音かな游悦
夏の霧峠をおおい歩み止む三甫
老いてなお学ぶことあり卯月かな弁慶

<小林幸風 選>
夏霧をまとふ旅人幣舞橋(ぬさまひばし) 游悦
和書ゆかし梔子の花挟みたり越庵
網戸より夜風と街の遠音かな游悦
選ぶより閃きで買うダービー馬貞風
夏霧に四方の彩り失せにけり玄舟



< 鈴木蓮囲池 場外選
升酒をきりりと干して卯月かな 幸風
気怠さに卯月の昼餉氷見うどん 越庵
梔子の花は白無垢恋の詩 貞風
和書ゆかし梔子の花挟みたり越庵
夏霧をまとふ旅人幣舞橋(ぬさまひばし)游悦
磐梯の峰より落ちる夏の霧弁慶
遠くよりくちなしの白吾を招く游悦
庭草履借り梔子の香に寄りぬ如雨
梅雨晴れの声朗々と唐詩選游悦
地震の地の苛立ち募る卯月雨柏葉


<高点句再掲>
4点 夏霧をまとふ旅人幣舞橋 ☆☆游悦
3点 和書ゆかし梔子の花挟みたり 越庵
3点 気怠さに卯月の昼餉氷見うどん 越庵
3点 升酒をきりりと干して卯月かな 幸風
3点 網戸より夜風と街の遠音かな游悦
    2 点 句 ‥‥ 5句
    1 点 句 ‥‥19句(うち特選4)


印は互選で特選に選ばれたものです。(☆☆、☆☆☆は多重特選)

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さくらイラスト

第65回句会 

2016年3月25日(金)  於 :学士会館
兼 題:薄氷(うすらひ)、花種蒔く、利休忌、鰊、望み(要季語)。当季雑詠。

会員の互選の結果です。選者の配列は俳号の50音順です。
(次回以降一人ずつ繰り下げます)


印は特選に選ばれた作品です。
特選以外は原則清記順の記載で、順位ではありません。

<岩渕如雨 選>
一煎の手元も重し宗易忌 幸風
薄氷の玻璃の光と溶けにけり越庵
花種蒔き急くと待つとのあはひかな越庵
群来(くき)去れど寺守れりと留萌人越庵
復興の町に産声戻る春貞風

<松本貞風 選>
花種蒔き急くと待つとのあはひかな  越庵
春や春病談議の縄暖簾幸風
薄氷や群れ行く稚魚の青く透き游悦
薄氷をいくつ(いぢ)めし傘の先如雨
春寒し友の生き身に望みつぐ游悦

<深谷柏葉 選>
一燈に一樹寄り添ふ花の雨   如雨
薄氷を(かくま)っているじょうろかな貞風
薄氷の玻璃の光と溶けにけり越庵
ヤン衆の声遠のきて鰊漁游悦
春や春病談議の縄暖簾幸風

<武蔵弁慶 選>
春寒し友の生き身に望みつぐ 游悦
わびさびの思いに寄せる利休の忌三甫
花種蒔き急くと待つとのあはひかな越庵
一煎の手元も重し宗易忌幸風
(にしん)群来(くき)今に伝へる古御殿柏葉

<奥山游悦 選>
薄氷や風のなすままはづれ岸 如雨
人は皆大きく育て花種撒く弁慶
きらきらと樹林に舞ひし別れ雪柏葉
薄氷をいくつ苛めし傘の先如雨
オホーツクや鰊の群来を見つめたし弁慶

<平山越庵 選>
きらきらと樹林に舞ひし別れ雪 柏葉
母の忌に花の種播く少し寒柏葉
薄氷や風のなすままはづれ岸如雨
一煎の手元も重し宗易忌幸風
()ツ国は今大漁か鰊雲幸風

<小林幸風 選>
薄氷をいくつ苛めし傘の先 如雨
(あと)の子に残さず踏みて薄氷(うすごほり)如雨
薄氷に小鳥集いし五色沼三甫
薄氷や群れ行く稚魚の青く透き游悦
春寒し友の生き身に望みつぐ游悦

<三浦三甫 選>
茶の道の大義に生きた利休の忌 弁慶
花種を蒔く少女らに風やさし游悦
きらきらと樹林に舞ひし別れ雪柏葉
春や春病談議の縄暖簾幸風
薄氷をいくつ苛めし傘の先如雨


<白石玄舟 試選>
薄氷や風のなすままはづれ岸 如雨
五年目の鎮魂の海春遠し柏葉
きらきらと樹林に舞ひし別れ雪柏葉
一燈に一樹寄り添ふ花の雨如雨
春や春病談議の縄暖簾幸風



< 鈴木蓮囲池 場外選
復興の町に産声戻る春 貞風
五年目の鎮魂の海春遠し柏葉
薄氷や風のなすままはづれ岸如雨
鰊群来今に伝へる古御殿柏葉
一燈に一樹寄り添ふ花の雨如雨
春や春病談義の縄暖簾幸風
薄氷や群れ行く稚魚の青く透き游悦


<高点句再掲>
4点 薄氷をいくつ(いぢ)めし傘の先 如雨
3点 きらきらと樹林に舞ひし別れ雪 柏葉
3点 一煎の手元も重し宗易忌 幸風
3点 花種蒔き急くと待つとのあはひかな 越庵
3点 春寒し友の生き身に望みつぐ 游悦
3点 春や春病談議の縄暖簾幸風
2点 薄氷や風のなすままはづれ岸 如雨
    他の2点句 ‥‥ 2句
    1 点 句 ‥‥15句(うち特選句2)


印は互選で特選に選ばれたものです。(☆☆、☆☆☆は多重特選)
互選数に場外選・試選は含みません。

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丙申 申新年


第64回句会

2016年1月22日(金)  於 :学士会館
兼 題:焚火、冬の海、千両、白鳥、声(要季語)。当季雑詠。

会員の互選の結果です。選者の配列は俳号の50音順です。
(次回以降一人ずつ繰り下げます)


印は特選に選ばれた作品です。
特選以外は原則清記順の記載で、順位ではありません。

<松本貞風 選>
庭先で焚火にかざす老い両手 三甫
吟行の人も飛び入る焚火の輪越庵
一筋の(やと)たち昇る落葉焚き竹林
波の花荒磯(ありそ)を駈ける越の海柏葉
無愛想な顔を集める焚火かな游悦

<深谷柏葉 選>
松原の根こそぎ消えて冬の海 貞風
吟行の人も飛び入る焚火の輪越庵
春の雪子供の声が新しい興山
水鳥の群れを分けたり初氷越庵
無愛想な顔を集める焚火かな游悦

<武蔵弁慶 選>
幾千の(みたま)の声ぞ冬の海 竹林
人の世の思い重なる年の暮れ三甫
後見の話題は重し実千両越庵
水鳥の群れを分けたり初氷越庵
片隅に侘し千両竹生島幸風

<奥山游悦 選>
水鳥の群れを分けたり初氷 越庵
多賀の杜巨煙(きょえん)を潜る初詣幸風
片隅に侘し千両竹生島幸風
波の花荒磯を駈ける越の海柏葉
地の魚の甘き歯応え冬の海越庵

<平山越庵 選>
人日や轆轤(ろくろ)の土の柔らかき 柏葉
背を向けて白鳥に声掛けてみる貞風
波の花荒磯を駈ける越の海柏葉
禁止され後も残せぬ焚火かな興山
歌舞伎座に響く掛け声実千両游悦

<伊東興山 選>
年の市客足止めるしゃがれ声 游悦
波の花荒磯を駈ける越の海柏葉
水鳥の群れを分けたり初氷越庵
床の間の華となりたる実千両弁慶
冬の海ベテラン漁師奮い立つ三甫

<小林幸風 選>
後見の話題は重し実千両 越庵
年の市客足止めるしゃがれ声游悦
伊豆沼の空埋め尽くす大白鳥游悦
無愛想な顔を集める焚火かな游悦
豊作を祈る農夫の焚火かな弁慶

<三浦三甫 選>
豊作を祈る農夫の焚火かな 弁慶
寺の池白鳥三羽静かなり興山
水鳥の群れを分けたり初氷越庵
北国の悲しみ秘める冬の海弁慶
床の間の華となりたる実千両弁慶

<内山竹林 選>
北国の悲しみ秘める冬の海 弁慶
()の魚の甘き歯応え冬の海越庵
去年(こぞ)に見し白鳥一羽群れに消え貞風
春の雪子供の声が新しい興山
波の花荒磯を駈ける越の海柏葉



< 鈴木蓮囲池 場外選
年の市客足とめるしゃがれ声游悦
地の魚の甘き歯応え冬の海越庵
多賀の杜巨煙を(くぐ)る初詣幸風
吟行の人も飛び入る焚火の輪越庵
初船に空飛ぶ雲の滋賀の湖幸風
人日や轆轤の土の柔らかき柏葉
幾千の霊の声ぞ冬の海竹林
水鳥の群れを分けたり初氷越庵
伊豆沼の空埋め尽くす大白鳥 游悦
無愛想な顔を集める焚火かな游悦
白鳥の水蹴る音や朝枕越庵

< 近  詠 >
木枯の中の氏神鈴が鳴る蓮囲池
禅僧のごとき面差し寒の鯉―〃―
朝の友梅一りんを愛で合えり―〃―


<高点句再掲>
5点 水鳥の群れを分けたり初氷 越庵
5点 波の花荒磯を駈ける越の海柏葉
3点 無愛想な顔を集める焚火かな游悦
2点 年の市客足止めるしゃがれ声 游悦
2点 後見の話題は重し実千両 越庵
2点 豊作を祈る農夫の焚火かな 弁慶
2点 北国の悲しみ秘める冬の海 弁慶
    他の2点句 ‥‥ 5句
    1 点 句 ‥‥14句(うち特選4)


印は互選で特選に選ばれたものです。(☆☆、☆☆☆は多重特選)
互選数に場外選は含みません。

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千両2

第63回句会

2015年11月27日(金)  於 :学士会館
兼 題:小春、障子、河豚、沢庵、飛(要季語)。当季雑詠。

'15年11月3日開催の『櫻草』同人会総会で、深谷柏葉さんが同人に推挙されました。

会員の互選の結果です。選者の配列は俳号の50音順です。
(次回以降一人ずつ繰り下げます)


印は特選に選ばれた作品です。
特選以外は原則清記順の記載で、順位ではありません。

<深谷柏葉 選>
縁側に折り鶴並ぶ小春かな 游悦
小春日やボジョレヌーボ共にあり三甫
東風吹けば唐戸渡しにフグのセリ竹林
大皿の円崩れゆく河豚刺身游悦
奥床し恩師の書斎白障子弁慶

<武蔵弁慶 選>
小春日や川原に朽ちし(かか)り舟 柏葉
戦後史も古りて陋屋(ろうおく)障子替え越庵
縁側に折り鶴並ぶ小春かな游悦
黄と紅落葉乞食の頭陀袋越庵
高速道落葉手裏剣飛んでくる貞風

<奥山游悦 選>
どの窓も明け放たれし小春日や 興山
戦後史も古りて陋屋(ろうおく)障子替え越庵
大根漬け生家の意地のありどころ越庵
湯に入れば信濃の香り初時雨柏葉
小春日や川原に朽ちし(かか)り舟柏葉

<平山越庵 選>
大皿の円崩れゆく河豚刺身 游悦
姦しき隣の席や小春なり幸風
高速道落葉手裏剣飛んでくる貞風
障子越し臥所(ふしど)で誓う明日起つと竹林
沢庵の初もの噛みて仄々(ほのぼの)幸風

<伊東興山 選>
腕を上げて妻は黙して障子貼り 貞風
小春日や医者の一言異常なし貞風
奥床し恩師の書斎白障子弁慶
冬空や飛天(ひてん)がゆったり舞っている弁慶
障子貼る母の足元赤子這う三甫

<小林幸風 選>
小春日や川原に朽ちし(かか)り舟 柏葉
小春日に高く飛び交う蝶二匹三甫
沢庵をかじり炬燵で春を待つ三甫
ハロウィンの子に会いたくて遠回り貞風
唐人の爆食もあり河豚御膳越庵

<三浦三甫 選>
小春日や医者の一言異常なし 貞風
黄と紅落葉乞食の頭陀袋越庵
どの窓も明け放たれし小春日や興山
小春日や川原に朽ちし(かか)り舟柏葉
自家製の沢庵漬けや加減よし弁慶

<内山竹林 選>
大根漬け生家の意地のありどころ 越庵
小春日に高く飛び交う蝶二匹三甫
後ろ手に障子を閉めて慟哭す游悦
湯に入れば信濃の香り初時雨柏葉
姦しき隣の席や小春なり幸風

<松本貞風 選>
後ろ手に障子を閉めて慟哭す 游悦
大皿の円崩れゆく河豚刺身游悦
大根漬け生家の意地のありどころ越庵
峡谷に命燃やして鬼怒の秋竹林
障子貼る母の足元赤子這う三甫



< 鈴木蓮囲池 場外選
大皿の円崩れゆく河豚刺身 游悦
縁側に折り鶴並ぶ小春かな游悦
後ろ手に障子を閉めて慟哭す游悦
姦しき隣の席や小春なり幸風
湯に入れば信濃の香り初時雨柏葉
高速道落葉手裏剣飛んでくる貞風

< 近  詠 >
意新たに傘寿の小春迎えけり蓮囲池
霜柱踏まれ朝陽に牙をむく―〃―
谺して向こうの紅葉手に採らむ―〃―
一筋の煙晩秋の田の面に―〃―
みかえれば仏塔のもと帰り花―〃―
木枯の中の氏神鈴が鳴る―〃―


<高点句再掲>
4点 小春日や川原に朽ちし(かか)り舟 ☆☆柏葉
3点 大皿の円崩れゆく河豚刺身 游悦
3点 大根漬け生家の意地のありどころ 越庵
2点 縁側に折り鶴並ぶ小春かな 游悦
2点 後ろ手に障子を閉めて慟哭す 游悦
2点 どの窓も明け放たれし小春日や 興山
2点 小春日や医者の一言異常なし 貞風
    他の2点句 ‥‥ 8句
    1 点 句 ‥‥11句(うち特選1)


印は互選で特選に選ばれたものです。(☆☆、☆☆☆は多重特選)
互選数に場外選は含みません。

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案山子


第62回句会

2015年9月25日(金)  於 :学士会館
兼 題:秋澄む、秋灯(燈)(あきともし or しゅうとう)蜻蛉(とんぼ)、彼岸花、白(要季語)。当季雑詠。

会員の互選の結果です。選者の配列は俳号の50音順です。
(次回以降一人ずつ繰り下げます)


印は特選に選ばれた作品です。
特選以外は原則清記順の記載で、順位ではありません。

<合田三鬼堂選>
七十年かくも軽きか虫しぐれ   柏葉
たおやかに素潜る海女や曼珠沙華幸風
不確かな父の遺言彼岸花貞風
無住寺に鬼が住みゐて秋ともす弁慶
秋灯を川にこぼして屋形船游悦

<武蔵弁慶 選>
秋灯を川にこぼして屋形船 游悦
秋灯す古書を漁りし神田街三鬼堂
論争の絶えて駅前西日さす三鬼堂
お御堂に戦禍の跡や曼珠沙華三鬼堂
蜻蛉飛ぶ空を仰げる老母かな興山

<奥山游悦 選>
古城の堀深閑として銀やんま  幸風
論争の絶えて駅前西日さす三鬼堂
秋澄むや湖の上なる磐梯山弁慶
あめ色の蜻蛉飛びゐし廃耕田柏葉
誰悼む畦に咲いたる彼岸花三鬼堂

<平山越庵 選>
不確かな父の遺言彼岸花  貞風
秋夜更け白色燈を懐かしむ三甫
秋澄むや富士を見たしと子と峠興山
宿の窓沈む漆黒秋灯し興山
湿原に青き翅透く蜻蛉かな游悦

<伊東興山 選>
お御堂に戦禍の跡や曼珠沙華  三鬼堂
豪雨禍の土手に三本彼岸花游悦
たおやかに素潜る海女や曼珠沙華幸風
無住寺に鬼が住みゐて秋ともす弁慶
秋灯を川にこぼして屋形船游悦

<小林幸風 選>
九月来ぬ転校生の頬白く  游悦
赤白の帽子が主役運動会弁慶
青空に蜻蛉スイスイ安保デモ三甫
空に舞ふ紙飛行機や秋澄めり游悦
負けん気の婦女俑に会う秋の夢越庵

<三浦三甫 選>
秋灯を川にこぼして屋形船  游悦
豪雨過の土手に三本彼岸花游悦
空海のゆかりの寺や彼岸花弁慶
富士の峰雲たなびきて秋ぞ澄む竹林
古城の堀深閑として銀やんま幸風

<内山竹林 選>
平和の灯弔ひて燃ゆ曼珠沙華   柏葉
たおやかに素潜る海女や曼珠沙華幸風
秋澄むや湖の上なる磐梯山弁慶
単線はあれから花野通学路貞風
朝顔の明日の蕾を数えけり貞風

<松本貞風 選>
悲しみは昨日のことと彼岸花  竹林
空に舞ふ紙飛行機や秋澄めり游悦
七十年かくも軽きか虫しぐれ柏葉
無住寺に鬼が住みゐて秋ともす弁慶
お御堂に戦禍の跡や曼珠沙華三鬼堂

<深谷柏葉 選>
秋灯を川にこぼして屋形船  游悦
豪雨禍の土手に三本彼岸花游悦
たおやかに素潜る海女や曼珠沙華幸風
不確かな父の遺言彼岸花貞風
秋夜更け白色燈を懐かしむ三甫



< 鈴木蓮囲池 場外選
豪雨禍の土手に三本彼岸花游悦
赤白の帽子が主役運動会弁慶
九月来ぬ転校生の頬白く游悦
秋澄むや湖の上なる磐梯山弁慶
秋灯を川にこぼして屋形船游悦
お御堂に戦禍の跡や曼珠沙華三鬼堂

< 近  詠 >
秋天や今日を始める万歩計蓮囲池



<高点句再掲>
5点 秋灯を川にこぼして屋形船 ☆☆☆游悦
4点 たおやかに素潜る海女や曼珠沙華幸風
3点 不確かな父の遺言彼岸花 貞風
3点 お御堂に戦禍の跡や曼珠沙華  三鬼堂
3点 無住寺に鬼が住みゐて秋ともす弁慶
3点 豪雨禍の土手に三本彼岸花游悦
2点 古城の堀深閑として銀やんま 幸風
2点 七十年かくも軽きか虫しぐれ 柏葉
    他の2点句 ‥‥ 4句
    1 点 句 ‥‥17句(うち特選3)


印は互選で特選に選ばれたものです。(☆☆、☆☆☆は多重特選)
互選数に場外選は含みません。

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金魚玉


第61回句会―10周年の句会― 

2015年7月24日(金)  於 :学士会館
兼 題:熱帯夜、裸・跣(裸足)、河鹿、睡蓮、心(要季語)。当季雑詠。

会員の互選の結果です。選者の配列は俳号の50音順です。
(次回以降一人ずつ繰り下げます)


印は特選に選ばれた作品です。
特選以外は原則清記順の記載で、順位ではありません。

<合田三鬼堂選>
熱帯夜少し地球の傾きて 貞風
限界の村はひつそり熱帯夜弁慶
遂に来ぬ睡蓮の池モネの庭幸風
崖を這ひ淵に飛び込む裸の子興山
河鹿聞く夜汽車の明り遠くみて竹林

<奥山游悦 選>
教室へ折り目正しき跣足かな 越庵
夏祭り百の心が一塊に竹林
本堂の廊下が軋む跣足かな弁慶
睡蓮に朝日そそぐや池の端三甫
ネイルして素足投げ出す浜辺かな三鬼堂

<平山越庵 選>
河鹿鳴く秘湯に魂を抜かれけり 貞風
夏祭り百の心が一塊に竹林
睡蓮の破顔一笑雨上がる游悦
熱帯夜少し地球の傾きて貞風
職退きて跣で過ごす背戸の納屋游悦

<伊東興山 選>
夏祭り百の心が一塊に 竹林
本堂の廊下が軋む跣足かな弁慶
棕櫚の葉の水玉ひかる梅雨晴間柏葉
枕辺のものみな黙す熱帯夜游悦
土俵上裸一貫汗光る柏葉

<小林幸風 選>
受験生難解忘れ河鹿聞く 興山
限界の村はひつそり熱帯夜弁慶
河鹿なく沢の入日のもう間近三鬼堂
夜濯(よすすぎ)の母の心は動かざる游悦
公園に裸足の子らの影も無し三甫

<三浦三甫 選>
街角を少女裸足で過ぎる謎 貞風
河鹿なく沢の入日のもう間近三鬼堂
夏雲に心あるらし風少し如雨
崖を這ひ淵に飛び込む裸の子興山
心労を癒してくれる冷し酒弁慶

<岩渕如雨 選>
熱帯夜少し地球の傾きて 貞風
限界の村はひつそり熱帯夜弁慶
棕櫚の葉の水玉ひかる梅雨晴間柏葉
枕辺のものみな黙す熱帯夜游悦
ネイルして素足投げだす浜辺かな三鬼堂

<内山竹林 選>
限界の村はひつそり熱帯夜 弁慶
崖を這ひ淵に飛び込む裸の子興山
睡蓮の破顔一笑雨上がる游悦
街角を少女裸足で過ぎる謎貞風
猛暑にも唐人銀座に溢れたり幸風

<松本貞風 選>
夜濯(よすすぎ)の母の心は動かざる 游悦
ひそやかに寄り合ふ心霊送り如雨
熱帯夜弥いや増す音の室外機幸風
睡蓮を画く父御(ててご)に手弁当越庵
五十五年前(くずほ)れし夢熱帯夜如雨

<深谷柏葉 選>
限界の村はひつそり熱帯夜 弁慶
目つむれば瀬音に勝る河鹿笛游悦
本堂の廊下が軋む跣足かな弁慶
ネイルして素足投げ出す浜辺かな三鬼堂
睡蓮や浄土の世界見るごとし弁慶

<武蔵弁慶 選>
受験生難解忘れ河鹿聞く 興山
街角を少女裸足で過ぎる謎貞風
噴水に子等裸足で跳ね廻る竹林
退()きて跣で過ごす背戸の納屋游悦
河鹿鳴く秘湯に魂を抜かれけり貞風



< 鈴木蓮囲池 場外選
夏祭り百の心が一塊に 竹林
河鹿笛ひととき途絶え榾落ちる 越庵
限界の村はひつそり熱帯夜弁慶
目つむれば瀬音に勝る河鹿笛游悦
本堂の廊下が軋む跣足かな弁慶
棕梠の葉の水玉ひかる梅雨晴間柏葉
受験生難解忘れ河鹿聞く興山
枕辺のものみな黙す熱帯夜游悦
河鹿鳴く瀬音交じりに峡の宿柏葉
睡蓮の破顔一笑雨上がる游悦
河鹿聞く夜汽車の明り遠く見て竹林
猛暑にも唐人銀座に溢れたり 幸風
暮れ馴染む美川の郷の河鹿笛幸風
職退きて跣で過ごす瀬戸の納屋游悦

< 近  詠 >
蛍飛ぶ語るべき人なき夕蓮囲池
炎天の歩幅短き傘寿の行―〃―



<高点句再掲>
5点 限界の村はひつそり熱帯夜 ☆☆弁慶
3点 熱帯夜少し地球の傾きて  ☆☆貞風
3点 街角を少女裸足で過ぎる謎 貞風
3点 夏祭り百の心が一塊に 竹林
3点 ネイルして素足投げ出す浜辺かな三鬼堂
3点 崖を這ひ淵に飛び込む裸の子興山
3点 本堂の廊下が軋む跣足かな弁慶
2点 受験生難解忘れ河鹿聞く ☆☆興山
2点 河鹿鳴く秘湯に魂を抜かれけり 貞風
2点 夜濯(よすすぎ)の母の心は動かざる 游悦
    他の2点句 ‥‥ 5句
    1 点 句 ‥‥16句(うち特選1)


印は互選で特選に選ばれたものです。(☆☆、☆☆☆は多重特選)
互選数に場外選は含みません。

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これまでの例会の開催日、兼題等は「開催記録」にまとめてあります。




   :  

<  会      員  >

谿 聲けいせい村上 幹也
 (主宰)
越 庵えつあん平山 隆一
玄 舟
げんしゅう
白石 紀彦 幸 風こうふう小林 幸司
三鬼堂さんきどう合田 俊知 三 甫さんぽ三浦 器允
貞 風ていふう松本 貞 柏 葉はくよう深谷 武
茂 睡もすい大立目 茂 弁 慶べんけい武蔵 好彦
游 悦ゆうえつ奥山 興悦 ・・・・

啓 窓けいそう高橋 啓悟 興 山こうざん伊東 興三
如 雨じょう岩渕 上 竹 風ちくふう加賀美 一
竹 林ちくりん内山 武司 仲 安ちゅうあん中野 安弘
蓮囲池れんいち鈴木 練一

(俳号50音順)


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